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流行語大賞候補の「きつねダンス」、ファイターズの商標出願に立ちはだかる謎会社

2022年11月30日 10:31  弁護士ドットコム

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その年に話題になった言葉を選ぶ『現代用語の基礎知識』選「ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート語が今年も発表され、12月1日に大賞が決まる。


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30語のうちの1つに選ばれた「きつねダンス」は、プロ野球「北海道日本ハムファイターズ」のファイターズガールによるイニング間の応援ダンスで、楽曲「The Fox」にあわせて踊る振り付けのかわいらしさから、SNSなどで広がりを見せた。



特許庁の検索サイト「J-PlatPat」によると、この「きつねダンス」の商標は、ファイターズ(株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント)が出願している。



タオルやTシャツなどのアパレルやスポーツ興行での展開を見越しているようだ。



気になるのは、実は、もう1社が同じ「きつねダンス」の商標を出願している点だ。大阪府茨木市の民間会社によるもの。他人の商標の先取りとなるような商標登録出願を大量におこなうことで知られ、そのような状況について、特許庁がかつて注意を呼びかけていた。



出願は、ファイターズ側が今年7月14日。大阪府の会社が1週間後の同28日となっている。



民間会社の出願は、ファイターズの出願・登録に何か影響するのだろうか。齋藤理央弁護士に聞いた。



●弁護士の回答は

今回は、ファイターズの出願が先なので基本的に影響はないでしょう。



先願主義と言って、商標は基本的に先に出願されたものが登録されることになります。また、仮に先に大量出願がされていても慌てる必要はありません。大阪府の会社の状況は『審査待ち(方式未完)』」となっていて、手数料の支払いがされていないことを意味しています。



大量出願には、多数の商品・役務を指定して、あとから正当な理由で出願登録をしたい事業者などが現れたとき、必要な商品、役務に絞って出願を分割し、最小限の手数料で出願を有効にする狙いがあるようです。



しかし、法改正で、すべての役務・商品に手数料を払わない限り出願を分割できないことになりました。



したがって、大量出願者は手数料を払えない可能性があり、その場合、大量出願は無効になります。仮に手数料を払えたとしても大量出願を無効と主張する方法は他にもあるため、登録したい商標が大量出願の対象となっていても、慌てずに専門家にご相談ください。




【取材協力弁護士】
齋藤 理央(さいとう・りお)弁護士
今井関口法律事務所。著作権などコンテンツiP(知的財産)やITトラブルなど情報法分野に重点をおいている。重点分野で最高裁判決、知財高裁判決などの担当案件の他、講演、書籍や論文執筆監修など多数。自身のウェブサイトでも活発に情報発信をしている。東京弁護士会所属。著作権法学会、日本知財学会会員、弁護士知財ネット、東弁IT法研究部等に所属。
事務所名:今井関口法律事務所
事務所URL:https://i2law.con10ts.com/