Text by 山元翔一
Text by 田中亮太
Text by RDC "Sound Horizon"
踊ることは楽しいな、といつも思っている。まず身体を動かすこと自体が気持ちいい。細胞や筋肉が喜んでいることを感じられるし、日々のイヤなことやツラさをひとときでも忘れさせてくれる。それが音響に優れたクラブや野外パーティーで、腕の長けたDJに誘われるものであれば、なお最高だ。
素晴らしいサウンドシステムと特別なDJは、音楽のなかへと自分が入っていくような、ほかにないジャーニーへとつれていってくれる。そのなかで1人になることもできるし、フロアから少し離れて友だちと話すこともできる。自由に過ごせるところが、ダンスミュージックのカルチャーのいいところだと思う。そこにいる多くの人が、他者を属性――何であるか/どこからきたか、によってジャッジしないと決めているところも。
だけど、もしあなたがクラブカルチャーやダンスミュージックに敷居の高さを感じているのであれば、CYKというパーティーに足を運んでみるのがいいかもしれない。
Nari、Naoki Takebayashi、DNG、Kotsuという4人の若いDJによって運営されるこのハウスミュージックコレクティブは、2016年に始動。以降、多くのアップカミングな海外アクトを招き、Circus TokyoやContactなど渋谷のクラブを舞台にしながら、エナジーに溢れたパーティーを重ねてきた。今年の『FUJI ROCK FESTIVAL』のRED MARQUEEへと出演したことで、名前を知った人もいるだろう。彼らもまた、クラブ内でのハラスメントや差別を許さない姿勢をはっきりと打ち出しており、パーティーという空間においては、その場にいるすべての人が平等であるべきだと信じながら、特別な夜をつくり続けている。
そんなCYKの6周年パーティーが、12月3日、彼らにとって過去最大規模となるSpotify O-EASTで開催される。メインフロアを4人のみのオールナイトロングセットで送るという同パーティーは、コロナ禍、さらにContactとVISIONという渋谷のクラブカルチャーを代表していた2つの箱の閉店など、少なからぬダメージを受けながらも、タフに、しなやかに生き続けている東京のダンスミュージックシーンの活況を、伝えるものになるだろう。
10月末、川崎のちどり公園で開催された『Rainbow Disco Club』主催のオールナイトパーティー『RDC "Sound Horizon"』に出演したばかりの4人に話を訊いた。
CYK(シーワイケー) / Photo by Masanori Naruse
Nari、Kotsu、Naoki Takebayashi、DNGによる東京拠点のハウスミュージックコレクティブ。広義のハウスミュージックを軸に、国内外からカッティングエッジなアーティストを招聘。2022年12月3日、6周年パーティーをSpotify O-EASTと東間屋で開催する。
─まず、『Rainbow Disco Club』(以下、RDC)を振り返ってもらえたらと思います。今回の『RDC "Sound Horizon"』では、CYKはメインフロア「RDC Stage」でのファーストアクトとして開演15時からの3時間を任されていました。
DNG:90ぐらいの遅めのBPMからスタートして、ゆっくり空気をつくっていく意識でDJしましたね。『RDC』の空気に合った気持ちのいい音をチョイスしつつ、そのなかで自分たちの音楽的嗜好も表現しようと4人で話していました。
Kotsu:AntalやMotor City Drum Ensemble(※)みたいなアクトが得意とする温かい音は『RDC』の特徴だと思うんですけど、ぼくらもその温度感は頭にありました。
これまで『RDC』のオープニングアクトを務められることが多かったSisiさんのセレクターっぽいスタイルも意識していたかな。ぼくらもR&Bやストリートソウルからブギーまでを行き来する幅広い選曲をしたいなって。
左から:DNG、Kotsu、Nari、Naoki Takebayashi / Photo by Masanori Naruse
DNG:ぼくらなりのバレアリック感を出そうとは思っていましたね。バレアリックはジャンルではなく、いろいろなものを包括したムードを表現する言葉だと思うんですけど、その自由な空気感が『RDC』っぽさなんじゃないかなと。
特にぼくらがやらせてもらった早い時間帯は、お客さんもクラブ慣れしている人が多いので、自由に過ごされている印象ですし。
Nari:CYKが『RDC』に出るのは、配信を含めて4回目だったんですけど、それまではいわゆるスタンダードなハウスで勝負していたので、今回はほかの面も提示したいなとは思っていました。
Kotsu:この日はぼくらもハウスを4~5曲しかかけなかったよね。「ハウスミュージック・コレクティブ」と名乗っているのに(笑)。まぁハウスはやっぱりBPM120くらいがハマるからなんですけど。
Kotsu:そのなかで自分が本当に好きなボーカルハウスの曲(Harlem Gemの“More Than You Can Wish”)を終盤にかけた瞬間、一気に突き抜けた感じがあった。ここから夜にかけて朝までのいい展望が見えた気がしたんです。
―ほかの3人にも、自分がDJしているときでも、それ以外でも、今回の『RDC』で印象的な瞬間をお聞きしたいです。
Naoki:ぼくはHarukaさんとWata IgarashiさんのB2Bセットですね。
7月にLIQUIDROOMで開催された『FUTURE TERROR』を観て、「マジやべぇな」と思ったんですけど、今回もすごかった。2人とも楽しそうにやられているのがいいですし、各々がかけた曲を尊重しつつ、次の選曲でさらにアップデートしていくのが流石だなって。
―HarukaさんとWataさんのセットはハードめで、絶対にテンションを落とさないという気迫を感じさせるものでしたよね。
左から:Haruka、Wata Igarashi / Photo by Masanori Naruse
Kotsu:伊豆の『RDC』はパーティーっぽい雰囲気なんですけど、今回の川崎はレイヴっぽかったですよね。HAAi、HarukaさんWataさん、Hodgeという順番でしたけど、ハードでクラブトラックスという感じのサウンドが続いていた。
ここ数年のダンスミュージックはBPMが上がっていく傾向にあると思うんですけど、その潮流をたしかめるという点でも勉強になった。
DNG:明け方にメインではPeachがDJしていて、彼女はBPMが速めでトランスとも折衷されていて、という最近のUKハウスの傾向、トレンドを体現してきた人だと思うんですけど、それまでの流れともっとも違ったポイントは、彼女の扱う音はハウスのキックなので、跳ねるようなグルーヴですごく軽やかだったんですよね。
だからぼくも夕方から踊って疲れきっているはずなのに、おのずと足が動いた。ブース前にどんどん人が集まっていったし、最前で踊りながら「お前も来いよー」と周りを誘いまくっている人がいると思ったら、Kotsuだった。その光景がめちゃくちゃよくて(笑)。
一同:(笑)。
Peachのステージ前で盛り上がるDNG、Kotsu、HAAi / Photo by Masanori Naruse
DNG:その一方、Peachの裏ではサイドステージの「The Top」でYAMARCHYさんがDJをしていたじゃないですか。彼は渋谷の「翠月-MITSUKI-」(※)というクラブでブッキングをやっている人なんですけど、東京を問わず日本各地のローカルのDJやクラバーからすごく信頼されている人。
そんなYAMARCHYさんだからこそ、「The Top」のほうにもいっぱい仲間たちが集まっていました。YAMARCHYさんならではのドープでオブスキュアなハウスと、美しい朝焼けのなかの愛に溢れたフロアという対比が感動的で、また泣けて。
―あの時間のYAMARCHYさんのDJは最高でしたね。朝日もあいまって、この風景を見たくて、みんながここに集まっているんだなと感じました。Nariさんはいかがですか?
Nari:ぼくはHAAiですね。やっぱり2018年12月のCYKに出てもらっているという経緯もありますし、『RDC』という大きな現場で再会できたことにも感動した。
さらにHAAiはCYKで初来日して以降、向こうの大きいフェスに出たりと経験を重ねたことで、より多くの人々を躍らせるための技術を磨いてきた印象があった。その成長にも刺激をもらいました。
HAAi / Photo by Masanori Naruse
―CYKは2016年に結成されて以降、HAAiやMall Grab、Avalon Emerson、Baba Stiltz、Ross From Friendsなど多くの海外DJを招いてパーティーを開催してきましたよね。
Nari:そうですね。もともとNachtbrakerというアムステルダムのDJが来日する際に、会場のCircus Tokyoから「何かパーティーを企画してくれないか?」とぼくに依頼がきたのがきっかけでした。それで、同じ大学のNaokiとSNSでつながっていた平井くん(DNG)を誘ったんです。
DNG:2016年ごろにビートダウンハウスというジャンルのリバイバルが流行っていて、ぼくもハマっていたんですけど、それをプレイする同世代のDJは少なかったんです。そのなかでNariやKotsuは自分に近い方向性を持っていて、おのずとつながっていった。CYKの結成を機に集合した感じですね。
以降は、自分たちが呼びたいDJを自分たちでオファーしたこともあります。東京のクラブシーンは、海外のDJを招致する人と、彼らが出演するパーティーを運営する人が別というケースがわりと多いんですけど、CYKはその両方を務めていて、プロモーターでありオーガナイザーなんですよね。同時に、Nachtbrakerのときのように招聘業務を会場側にお任せしたケースも少なくないですが、いずれにしても周囲と協力してパーティーを重ねてきました。
CYKのパーティーより
ー自分たちやDJ仲間のミックスをあげている「CYK TOKYO RADIO」を運営していたり、2021年12月にContactで開催した5周年では東京外の地方で活動する若手DJを積極的にブッキングしていたりと、CYKには周囲へのフックアップの意識が高いと感じています。
Kotsu:「入り口になりたい」という話はよくするよね。CYKは入り口であり、また合流できる場所であってほしい。
Naoki:コミュニティーとして求められている感じはします。行けば友達と会えるし、新しい知り合いもできるし。ぼくはCYKのパーティーを「デカい飲み会」と言っているんです(笑)。
Kotsu:それを謳っているイベントはなかなかないよね。その意識も大事だと思う。
CYKのパーティーより / 「CYK TOKYO RADIO」を聴く(SoundCloudを開く)
ーとはいえ身内ノリにならないようにもすごく気をつけているじゃないですか。たとえば、ゲストを一切出さないとか。「パーティーの場ではそこにいる全員が平等である」ということも大切にしているのかなって。
DNG:そういう話もすごくします。でも、何か正しいことをしたいというよりは、かっこいいことをしたい/かっこ悪いことはしたくない、みたいな話の延長線上で決めているかもしれない。
それを突き詰めていくと、どんな人であれセーフティーな状況で踊れる、平等に楽しめる場所がいいよねと思った。いかにお客さん対して嘘をつかないようにするには、みたいな話に自然となったんです。
ー素晴らしいですね。いまの東京のクラブシーンをどう見ていますか? ここ数年はコロナ禍もあり、大変だったとは思うのですが。
DNG:CYKに関していうと、コロナ禍で独り歩きしたという面もあると思います。ぼくら自身のパーティーをやれないなかで『RDC』の配信や『フジロック』に出演できたことで話題をつくれて、一気に客層の幅を広げられた。コロナで屈んだぶんのジャンプはできたのかなという実感はあって。
Nari:コロナ禍のなかでのポジティブな面でいうと、20歳から23歳ぐらいの若い世代がクラブに増えた気はしています。
彼らもこの数年は遊び場がなかったので、翠月のようなクラブを見つけて行くようになったり。そのなかから自分たちでパーティーをはじめる人たちも出てきているし、それはすごくいいことだと思いますね。
CYKのパーティーより
ー海外のDJを呼べないことで、国内勢のみでパーティーをつくらなきゃいけない数年が続きましたよね。それによって異世代間の交流が深まっていっている印象は、外からも受けていました。
Nari:たしかに大御所といえるような方との共演は増えましたね。それも大きかったと思います。そういう流れがあって、ぼくがNOBUさんの『FUTURE TERROR』に出させてもらうことになったのかもしれないし。
ーみなさんから見て、いまの東京のクラブカルチャーは面白いですか?
DNG:難しいっすね。シーンが面白いかどうかは、遊ぶ人それぞれの見え方かなと思う。ただ間違いなく、東京、ひいては日本にはすごいDJがいっぱいいます。CYKは入り口としてわかりやすいものではあるんですけど、別にその代表ではないし、ぼくら以外にも本当にやばい人たちが数えきれないほどいるわけで。
Kotsu:東京はダンスミュージックを聴く人の母数が多いし、細分化されたなかで各々が楽しんでいる。その成熟度は、ほかの地域にはないものだと思う。でも、よくも悪くもジャンルというか遊び方を狭めている感じもあって、もうちょっと人が混ざるといいなとも思います。
こないだ翠月でKABUTOさんとぼくとKARUTAの3人で回したんですけど、その日はダンスミュージックが好きなクラバーだけじゃなく、ラッパーとかアパレル関係者とかいろいろな人が来ていて。
そういう混ざり方こそ東京のよさだと思うし、それをやれていたのがContactとVISION(※)だったと思う。その役割を担える場所があってこそ、東京は活き活きすると思うんです。
CYKのパーティーより
ーその面では、ContactとVISIONの閉店で失われているものは少なからずありますよね。
Kotsu:そうですね。CYKはハウスを土台にしつつ、ハウスでつながるさまざまな表現者を巻き込む意識が強かったので、Contactの持つクロスオーバー感と相性がよかった。そんな場所がいまないのは寂しいです。
DNG:Contact は、Yellow、eleven、AIRという東京のダンスミュージックカルチャーにとってのランドマークをつくってきた会社がはじめたクラブでしたよね。そうした文脈のある場所でぼくらなりの表現をできていたというのは、すごく自信になっていました。
Kotsu:東京は夜遊びとしてクラブが根づいていますよね。渋谷のアパレルで働いている人が仕事終わりに居酒屋に行き、そのあとにクラブに来るといった習慣が定着している。音楽オタクじゃない人が踊って帰るという文化があると思うんです。
『RDC “Sound Horizon”』より / Photo by Jiroken
Kotsu:ただ、そのぶんクラブのなかで音楽談義をすることが少ないなとも思っていて。地方はダンスミュージックを好きな人の母数は多くないですけど、そのぶんクラブが音楽に対して熱い人が集まる場所になっている印象があるんです。
ーなるほど。Kotsuさんはいま京都に住まれていますし、この1~2年はさまざな地方にDJで足を運ぶようになっていますよね。そこでの発見も多いんじゃないですか?
Kotsu:地方でのDJは、ジャンル一辺倒のお客さんが少ないぶん、自分のプレイもジャンルを飛び越えたうえでハウスを表現するセットになることが多い。その経験が自分の力になっている気はします。
一方で、数年前よりもダンスミュージックで踊る若い子が確実に増えているという実感もあるんです。たとえばこのあいだ、CYKとして山形の『岩壁音楽祭』に出たんですけど、数年前に一人でプレイしたときよりも明らかにフロアのノリが違っていた。
ここ数年、日本のラッパーやバンドもダンスミュージックに接近している人が増えてきたと思うし、ダンスミュージックにリスナーの耳が慣れてきているように感じます。
『岩壁音楽祭』より。Photo by Hide Watanabe / 関連記事:なぜ運営の裏側や内情、収支をも明かすのか?『岩壁音楽祭』の達成は山形の秘境から何を伝えるか(記事を開く)
ーその指摘は面白いですね。逆に、こういうふうになれば東京のシーンはもっと面白くなりそうなのに、というアングルはありますか?
Nari:曲をつくれるDJがもっといるといいですよね。ぼくはいまトラックメイクに力を入れはじめているんです。やっぱりほかの人のレコードや楽曲を買ってプレイするだけでは限界があるというか、自分の色をもっと出すには、自分の曲をつくるのがいいのかなと思う。
DJ同士で音楽づくりの話をもっとできたり、発表できたりするようになれば、さらにシーンが面白くなると思いますね。結果的に、それが東京ならではの音みたいなものにつながってくるんじゃないかな。
DNG:たしかに、東京/日本っぽいサウンドがもっと明確になるといいよね。
たとえばぼくらが好きなスウェーデンのアーティストーーAxel Boman、Kornél Kovács、Baba Stiltz、SAMO DJなんかも音楽的にすごく近いわけではないけれど、なんかスウェーデンっぽい感じはある。ミュンヘンだったら「Public Possession」、アムステルダムだったら「Rush Hour」とか、その街をイメージできるようなレーベルも海外には多いですし。
Nari:オーストラリアとかも特有の音があるもんね。コロナ禍のなかで、ぼくらに近いDJだとStones TaroさんやTorei、Little Dead Girlあたりはトラックメイクの重要性を感じとって、より制作に力を入れるようになったし、実際に彼らの楽曲は国内外で評価されている。素晴らしいなと思います。
Kotsu:さっきの日本らしさという点でいうと、「批評待ち」のところもあるのかなと思う。コロナ禍で日本はほぼ鎖国された状態だったけど、それゆえにDJやミュージシャンが各々に自分たちのことを見つめ直した期間ではあった。
でも、そこで考えた「日本らしさ」や「東京らしさ」が実際どういうものであるのかは、海外のアーティストが来日するようになって、共演したり、日本への感想を聞いたりしたときに、少しずつわかってくるのかなって。
DNG:そうだね。外からの言葉としてぼくらも理解する気はする。そういう意味では、トラックメイカーもそうですけど、それをさらに伝える人やプロモーター、あるいは裏方のエージェントとか、細かな部分で人がまだ足りていないのかもなと思います。
もちろん、いまシーンにいる人のサポートあっての自分たちCYKだから感謝も大きいですし、人間的にも魅力的な人ばかりなんですけど、それでもシーンとしてもっと上がっていくためーー資本主義的なレース上で勝つとかそういうことでなく、よりよいエコシステムで遊んでいくためには、足りないことがたくさんある。このインタビュー自体もそういう足りないものを補う作業のひとつだと思うんです。
ーそうでありたいと思います。
ー12月3日(土)にはCYKの6周年パーティーがSpotify O-EASTと東間屋で開催されます。前年の会場だったContactから格段にキャパシティーを拡大させましたね。
DNG:伊豆と川崎の『RDC』、そして『フジロック』のRED MARQUEEに出演した2022年の締めくくりとして、より大きい会場を選ぶというのは自然ではありました。これは特に話し合いもなく「やろうぜ!」という感じだったよね?
Kotsu:うん。Contactが閉まることも知ってたし。O-EASTはいまパーティーに力を入れているよね。クラブ営業に向けてスピーカーを増設したらしいし。
Nari:『RDC』のアフターパーティーもO-EASTで開催されたし、ぼくらのあとにはレジェンドのDJ Harveyも来るしね。
DNG:LIQUIDROOMやUNIT……東京にはライブハウスの深夜営業としてのDJパーティーという遊び場の系譜が脈々とあるじゃじゃないですか。
ぼくも『HOUSE OF LIQUID』(※)とかめちゃくちゃ行っていましたし、ああいう大きいパーティーはワクワクしますよね。それを自分たちでもやりたかったというのもある。
CYKの6周年パーティーのフライヤー画像
ー今回は久しぶりのCYKのみでのオールナイトロングのセットですが、ゲストを呼ばずに4人だけで一晩をつくろうと決めた理由は?
Kotsu:オールナイトロングのセットを最後にやったのが2019年なので、そろそろやろうかって意識がありつつ、円安にともなう海外DJのギャラや航空費の高騰もあって、いまゲストを国外から呼ぶ感じでもないなと。いろいろな要素が絡まって、タイミングとして悪くないなとなりました。
DNG:これはほかの3人にも初めて話すんですけど、この1年間ぐらいでみんなのアーティストとしての欲が高まってきている印象があるんです。
CYKはDJと同等にオーガナイザーとしての立場でもあって、そうした面からもパーティーをつくってきた。でも、『RDC』や『フジロック』を経て、「自分たちもアーティストとしてちゃんとやっていこうよ」という意識が出てきたんです。周りからそれを求められている感じもするし。
『フジロック』に出させてもらっておいて、アーティストとしての自覚が高まってきました、みたいなのも何なんだという話ですけど(笑)。
ー(笑)。6周年を控えている段階ですが、さらに次のビジョンはありますか?
DNG:CYKはコロコロと変わる欲望に、つねに忠実にやってきたんですよね。
Kotsu:長期的なビジョンで動かしてきたというより、中期的な目標に向かって逆算して打っていく感じではあったよね。そのなかでも、デイのパーティーを開催したいとか、レストランみたいなところでもっとセレクター的にやってみたいとか、いろいろ考えてはいます。
DNG:大きい会場が続いたから、次は小っちゃいところでやりたいよね、とかね。だからパーティーっていうプラットフォームのなかでやれることをやっていこうということなのかな。
DNG:ぼくらはみんなでパーティーするのが好きなんです。『フジロック』とか『RDC』とか大きいところに呼んでもらえている一方、自分たちのパーティーをするという根底をちゃんと大切にできているのは嬉しいですね。
いい曲をかけて、4人で「これやばいね」となり、そこにお客さんのレスポンスがある。そういうプリミティブな楽しさを、変わらずモチベーションにできているというのは大きい。あと、明け方みんなで飯食うのが楽しいとか、パーティーの前飲みが最高だとか、そういうことなのかなって。
Naoki:CYKはパーティー前の飲みからすごく楽しいんです。もうその時点から「今日、すげえいい日だったな」と思えるんですよね。