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King Gnu、THE RAMPAGE、SUPER BEAVER、TREASURE、ぼっちぼろまる……11月30日リリースの新譜5作をレビュー

2022年11月29日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

King Gnu『Stardom』

 毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は11月30日リリースのKing Gnu『Stardom』、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE『ROUND UP feat. MIYAVI / KIMIOMOU』、SUPER BEAVER『ひたむき』、TREASURE『THE SECOND STEP : CHAPTER TWO』、ぼっちぼろまる『ぼっちのうたI』の5作品をピックアップした。(文:森=森朋之、松本=松本侃士)


(関連:King Gnu、王座を掴んだ初の東京ドーム公演 “ロックのカタルシス&バンドの絆”で到達した偉大なる通過点


■King Gnu『Stardom』


 King Gnuのニューシングル表題曲「Stardom」(2022 NHKサッカーテーマ)は、ワールドカップを強く意識した楽曲。トライバルハウス、オルタナティブロックなどを有機的に融合させたサウンドメイク、繊細な心象風景からはじまり、〈夢にまで見たStardom/さあ 命揺らせよBlow Life〉と鼓舞するリリック、壮大なスケール感とドラマ性を称えたメロディラインなど、まさにアンセムと呼ぶに相応しい楽曲に仕上がっている。メンバー全員の技術とセンスをさく裂させながら、バンドとしての強烈な個性に結びつける構成も素晴らしい。カップリングには「雨燦々」(TBS系日曜劇場『オールドルーキー』主題歌)を収録。クラシカルな弦の響き、優しさと切なさに触れたメロディが心に残る、King Gnu流J-POPの最新バージョンだ。(森)


■THE RAMPAGE from EXILE TRIBE『ROUND UP feat. MIYAVI / KIMIOMOU』


 12月29日、30日に東京・有明アリーナにて全国ツアーの最終公演を控えるTHE RAMPAGEから、初のダブルAサイドシングルが届けられた。鋭利な手触りと爆発的なダイナミズムが押し寄せるギターサウンドを軸にした「ROUND UP feat. MIYAVI」(映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』日本版主題歌)は、曲が進むにつれて疾走感と攻撃性を増していく超アッパーチューン。〈善悪(モラル)跨いだヘイトにピリオド〉など現代社会の暗部に切り込むリリックも刺激的で痛快だ。「KIMIOMOU」(テレビ東京水ドラ25『キス×kiss×キス~メルティングナイト~』オープニング主題歌)は、アコースティックな音像と穏やかで切ない恋愛感情が溶け合うミディアムバラード。RIKU、川村壱馬、吉野北人のボーカル表現の違いをじっくりと味わってほしい。(森)


■SUPER BEAVER『ひたむき』


 アニメ『僕のヒーローアカデミア』(日本テレビ系)第6期オープニングテーマ。『ヒロアカ』の物語を彩るために作られた楽曲ではあるが、この「ひたむき」というタイトルを見て、強烈な“SUPER BEAVERらしさ”を感じた人は多いと思う。〈どれだけ面と向きあっても 想いすれ違うかもしれない/じゃあ意味がないと嗤うかい/いや、意志を持って笑いたい〉〈いつだって今日が人生のピーク 超えていけ/踏み出す人の 真ん中にある 決意は未来だ〉といった、愚直で、ストイックで、何よりも誠実な言葉たちが散りばめられた同曲は、そのままSUPER BEAVERというバンドのテーマソングとしても響く。彼らの新しい代表曲になっていくことは間違いないだろう。また、間奏部分にシンガロングのパートが挿入されており、2番のAメロでは手拍子の音が大々的にフィーチャーされている。おそらく観客の声と手拍子が重なることを見据えて制作されたはずで、ライブハウスやフェスのステージでその景色が実現する日は、そう遠くはないはずだ。原曲よりもさらに深く歌を響かせるアレンジを施したカップリングの「秘密(Acoustic ver.)」も素晴らしい。(松本)


■TREASURE『THE SECOND STEP : CHAPTER TWO』


 BIGBANG、BLACKPINKなどを輩出したYG ENTERTAINMENTから2020年の夏に韓国でデビューし、瞬く間に世界的な注目を集めたボーイズグループ TREASURE。iTunes30カ国でアルバムチャート1位を獲得した1stミニアルバムに続く『THE SECOND STEP : CHAPTER TWO』の日本盤となる本作は、彼らのボーダレスな音楽性、自己肯定感を促してくれるリリックを前面に押し出した作品となった。そのコンセプトをもっとも端的に示しているのが、リードトラック「HELLO -JP Ver.-」。スタジアムEDMの進化系と称すべき開放的なトラック、そして寂しさや虚しさを真っ直ぐに見据えながら“もし君ともう一度出会えたら、燃え尽きてもいい”という強いメッセージを放つ歌詞は、TREASUREのポジティブな魅力をさらに増幅させている。透明なピュアネスと凛とした意志を併せ持ったメンバーのボーカル、ラップにも注目だ。(森)


■ぼっちぼろまる『ぼっちのうたI』


 シンガーソングライター/バーチャルYouTuberのぼっちぼろまるから届けられた最新EP。まず特筆すべきは、6月のリリース時にTikTokチャートを鮮やかに席巻した代表曲「おとせサンダー」だ。リリース前からTikTokの急上昇チャートで1位を獲得し、リリース以降はBillboard JAPAN「TikTok Weekly Top 20」で5週連続1位を記録した。今回初めて彼の存在を知った方は、まずは「おとせサンダー」を聴いてみてほしい。快楽中枢をダイレクトに刺激するようなシャープなバンドサウンドが非常に痛快で、また爽快なメロディが光るサビにおける押韻もとても気持ちいい。一聴すれば、他の名だたるアーティストたちのヒットソングの中で、この曲が長きにわたり台風の目であり続けた理由を感じ取れるはずだ。中毒性のあるギターリフで攻めまくる「シン・タンタカタンタンタンタンメン」や、大胆にモータウンビートを導入した「アソボー行進曲」といった他の収録曲も、フロアの熱狂をはっきりとイメージできるような起爆力を誇っていて、今作をきっかけに彼のライブ/フェスシーンへの躍進が大きく加速していく予感がする。火がついたきっかけはTikTokではあるが、彼が秘めるポテンシャルは、間違いなくそのシーンだけには収まりきらないほど大きなものである。(松本)