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なにわ男子、3作連続シングルチャート首位 “正統派ジャニーズ”に振りきった表題曲から見えるグループとしての美学

2022年11月26日 10:11  リアルサウンド

リアルサウンド

なにわ男子『ハッピーサプライズ』(通常盤)

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2022-11-28/


 2021年11月にデビューシングル『初心LOVE』が発売されてから約1年、2022年12月の『第73回NHK紅白歌合戦』へ初出場が決まったなにわ男子。『初心LOVE』、2022年4月リリースの『The Answer / サチアレ』に続き、3rdシングル『ハッピーサプライズ』も、2022年11月28日付のオリコン週間シングルランキングで1位を獲得しました。本作の初週売り上げは51万6000枚で、3枚連続で初週売り上げは50万枚を突破しています。


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 ダウンロード販売やサブスクなどのデジタル配信はないぶん、ここではYouTubeの再生回数に注目してみましょう。執筆時点で、表題曲「ハッピーサプライズ」MVの「YouTube ver.」は600万回再生、「Dance ver.」は50万回再生、 「YouTube Original LIP ver.」は150万回再生、「Recording Movie」は550万回再生と、すでに計1000万回再生を優に突破。『紅白』に出場するにも納得の人気ぶりだと言えるでしょう。


 楽曲を聴いていくと、「ハッピーサプライズ」は溌溂としたストリングスに導かれていくサウンド。メンバーが歌いあげるポイントも練られており、高橋恭平の〈忙しなく過ぎていく毎日が〉で聴くことができる、少しかすれたボーカルも心地良く響きます。間奏では、ストリングスとファンキーなギターの絡みあいを聴くことができますが、間奏でここまでストリングスの存在感が大きいのも、J-POPでは珍しいのではないでしょうか。歌詞は冬を舞台にしつつも、MVでは花吹雪が舞い、終盤まで雪は出てこないという演出が施されているのも印象的です。


 なにわ男子のシングル表題曲は、ジャニーズのアイドルだからこそ出せる魅力に振りきっています。それはいわゆるK-POPっぽくないということでもありますが、要はサウンド面で今のアメリカのR&Bのトレンドをリファレンスしていないというのがポイントです。一方で、カップリングの「#MerryChristmas」になると、トラックも楽曲もまさにR&B。そして、メンバーはヒップホップ的な譜割りもしっかり歌いこなしているのです。つまり、彼らの実力的にはR&Bにも対応可能。それでもタイトルナンバーには「ハッピーサプライズ」を選ぶ点に、なにわ男子というグループの美学を感じます。


 なお、「#MerryChristmas」のMVは、公開から1カ月足らずで350万回に迫る再生数を記録。1本の映像だけでこの数字を獲得しており、「令和の新定番クリスマスソング誕生!」と銘打ってクリスマスに振り切った映像も人気を博している理由なのでしょう。


 通常盤のカップリング「One Pocket」はせつないミディアムバラード。「君に恋をした」は、厚いストリングスなどが「ハッピーサプライズ」に近い路線で、Bメロのフィル・スペクター風味にも耳を引かれました。まだまだ見せていないポテンシャルがあるのではと期待させるシングルが『ハッピーサプライズ』です。(宗像明将)