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ザクワン・ザイディが逆転チャンピオン!欠場の埜口遥希は3点差のランキング2位に/2022FIMアジアロード(ARRC)第5戦タイラウンド

2022年11月22日 21:20  AUTOSPORT web

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2022FIMアジアロード チャンピオン ザクワン・ザイディ(Honda Asia-Dream Racing with SHOWA)
 シリーズ最終戦となるFIM アジアロードレース選手権(ARRC)第5戦がタイのチャン・インターナショナル・サーキットで11月18日~20日に開催された。注目は最高峰ASB1000クラスのタイトル争いの行方。第4戦までに4勝を挙げポイントリーダーとなっていた埜口遥希(SDG Motor Sports HARC-PRO Ph.)が、まさかの欠場。逆転タイトルの可能性のあるライダーは3人に絞られていた。

 第4戦マレーシア、セパン・インターナショナル・サーキットのレース2で今シーズン4勝目を挙げた埜口は、154ポイントを獲得し暫定ランキングトップをキープ。暫定ランキング2位のザクワン・ザイディ(Honda Asia-Dream Racing with SHOWA)が135ポイント、カスマ・ダニエル・カスマユディン(YAMAHA Racing Team ASEAN)とアヌパブ・サルムーン(YAMAHA Thailand Racing Team)が115ポイントで続いていたが、有利な状況で最終戦を迎えるはずだった。

 しかし、スポット参戦した全日本ロードレース選手権最終戦鈴鹿のST1000クラスで130Rで他車に追突されるアクシデントで第6胸椎を骨折してしまい欠場を余儀なくされてしまう。埜口とザクワンとの差は19ポイント。カスマとアヌパブとの差は39ポイントという状況だった。

 2レース制で行われるARRCだけに、ザクワンが逆転する可能性は高かったが、アヌパブとチームメイトのアピワット・ウォンタナノン(YAMAHA Thailand Racing Team)や伊藤真一率いるAstemo SI Racing Thai Hondaのパサウィット・ティティワララックなど地元勢も速い。また、埜口の代役として全日本ロードJSB1000クラスの榎戸育寛が参戦。初めてのARRC、初めてのブリーラムだが、昨年はST1000クラスを走っておりダンロップタイヤの経験もあるだけにJSB1000ライダーの実力を見せつけて欲しいところだった。

 レース1はポールポジションスタートのカスマが速さを見せ今季2勝目をマーク。アヌパブが2位、アピワットが3位、パサウィットが4位と続き、ザクワンは5位に沈んでいた。それでもレース1を終えた時点でザクワンは埜口に9ポイント差に迫り6位以内に入れば逆転チャンピオン。カスマもトップまで14ポイント差となっていた。

 日曜日朝のウォームアップ走行はドライだったが、その後、雨が降り他のクラスはヘビーウエットでのレースとなっていた。その後、雨は止むがASB1000クラスのレース2を迎えるころには、微妙なハーフウエットという難しいコンディションとなっており、多くのライダーは、レインタイヤをチョイス。

 そして運命のファイナルレースを迎える。ホールショットを奪ったのは、榎戸だった。レース1は問題が発生し思うような走りができなかったが、その鬱憤を晴らすべくトップを快走する。ザクワンはしっかりトップグループにつけていたが、カスマは出遅れてしまっていた。

 3周目の最終コーナーでは、アピワットが榎戸をかわしトップに立つと、続く4周目の3コーナーでは、ザクワンがトップに立つなど、序盤のトップグループは混沌としていた。そのうちにカスマもトップグループに追い付き、アヌパブを先頭にアピワット、ザクワン、カスマ、榎戸と続いていた。

 終盤に入りレースが大きく動いたのは9周目だった。3コーナーのブレーキングでアピワットがインに入りきれず転倒。アヌパブに接触してしまい、まさかの同士討ち。このアクシデントでカスマがトップに浮上。榎戸、ザクワンと続くが、背後からは別格の速さで迫ってきているライダーがいた。その名は、スハタイ・チャンサップ(EEST NJT Racing)。かつて全日本ロードGP125を走ったこともあるライダーであり、今回はワイルドカード参戦していた。スリックタイヤをチョイスしており、残り2周余りという11周目にトップに立ち、そのまま独走で優勝を果たしてしまう。

 2番手には榎戸が上がり、自己ベストを更新する走りで2位でゴール。注目の3位争いは、バックストレートエンドのブレーキングでカスマがコースアウト。アズラン・シャー・カマルザマン(ONEXOX BMW TKKR Team)を先頭にザクワン、カスマ、アヌパブと続き最終コーナーへ。ザクワンとしては、カスマにかわされてもタイトル獲得という状況だった。最終コーナーでカスマはザクワンをかわし4位でゴール。ザクワンは5位でチェッカーフラッグを受け逆転でシリーズチャンピオンを獲得した。

 ザクワンのポイントは埜口を3ポイント上回り157。埜口は154ポイントでシリーズランキング2位。カスマは153ポイントでランキング3位となった。

 ザクワンは「僕たちは、ホンダCBR1000RR-Rでレースをするために2年待ちましたし、その甲斐があり、3度目のARRCチャンピオン、ASB1000では初めてタイトルを獲得することができました。決して諦めず、いつも一緒に突き進んでくれた、すばらしいチームに感謝します。忘れられないシーズンになりました」とコメント。

 埜口が走ることができていればチャンピオンは確実だったはずだが、これもレース。早く身体を回復させて、またチャレンジしてもらいたいものだ。

 また、このレースで伊藤勇樹が10年所属してきたYAMAHA RACING ASEANを離れることを明らかにした。今シーズンはASB1000クラスランキング6位。長年活躍してきたARRCからは卒業する。