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あえて“海外生まれ”のマンガを読みたいときもある #トーキョーごきげん倶楽部

2022年11月21日 18:21  isuta

isuta

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おもしろそうな作品はとにかく片っ端から読んでみる、マンガ好きエディター・toonaがここのところ気になっているのが、“海外生まれのマンガ作品”

単純なストーリー展開はもちろん、その国ならではの文化的背景とか、絵のタッチとか、日本作品との違いを感じるのが楽しいんです。違いだけでなく、むしろ意外な共通点に気づくこともしばしば。

並べているだけでなんとなく絵になる、ビジュアルのかわいさもポイントです。

品川駅の本屋さん「ペーパーウォール」でおもしろそうなマンガ発見

少し前に買い揃えた、こちらの3冊。品川駅構内、エキュートの中にある「ペーパーウォール」という書店で購入しました。

あの本屋さん、品揃えが絶妙なんですよね。特にマンガの選書が私好みで、「何かおもしろそうなのないかな~」と立ち寄ると、お店を出る頃には決まって数冊抱えているのです。

そういう出合いも、実店舗の本屋さんを訪れる楽しみの1つですよね。

少女の青春と葛藤を描いた『スピン』

ティリー・ウォルデンの著書『スピン』

『スピン』(著:ティリー・ウォルデン/訳:有澤真庭)は、とある少女のほろ苦く繊細な青春時代を描いた、アメリカ発のマンガ作品です。

淡い色味の表紙に惹かれて手に取ってみると、ずっしりとした重みと厚さにびっくり!400ページにもわたる大作だから、これは読み応えがありそう…。

スケートという競技の世界がしっかり濃厚に描かれているのも、スポ根マンガ好きにはうれしいポイント。著者のティリー・ウォルデンさん自身、5歳でスケートをはじめて以来17歳までの間、フィギュアとシンクロナイズドスケートの競技を続けてきたというから納得です。

ティリー・ウォルデンの著書『スピン』の表紙を開いた部分

イラストはかわいいけれど、描かれている世界はしっかりリアルで、ちょっぴり残酷。それがまた読者をじりじりと、切なくもどかしく、また懐かしい気分にさせるんです。

別の国を生きる少女の話ではあるけれど、思春期特有の悩みとか、感情の機微とか、そういったものは万国共通な部分があるんだなぁと思わされました。

あの頃、わたしにはスケートの才能があった。それが煩わしかった。 そして、ひそかに女の人に恋をした。何度も何度も。 わずか22歳にしてイグナッツ賞&ブロークンフロンティア賞受賞、アイズナー賞候補! グラッフィック・ノベル界を震撼させた新たな才能が描く、 スケートと同性への恋に目覚め、喜び、泣いた、ひとりの少女の青春メモワール。 (河出書房新書 公式HPより)

“普通のしあわせ”を探すパリジェンヌの姿を描いた『クレール』

オード・ピコーの著書『クレール』

『クレール』(著:オード・ピコー/訳:大西愛子)は、フランス生まれのベストセラーコミック。

帯に書いてある「クレールは、わたし。そしてあなただ。」という山内マリコさんのコメントにドキッとさせられて、ついつい手に取ってしまいました。

開いてみて驚いたのが、“コマ割り”がないこと!絵と絵の間に区切りの線が引かれていないので、最初はちょっと読みづらさを感じるかもしれません。

オード・ピコーの著書『クレール』の表紙を開いたところ

このマンガの主人公は、“普通のしあわせ”を見つけたいともがく女性・クレール。

周りの友達が歩んでいるような普通の人生を、なんで自分は手に入れられないんだろう…。そんな悩みを抱えています。思い描いていた“大人”になれていない気がしてしまうことって、きっと誰にでもあるのでは?

もがきながらも、たまに投げやりになったりしながらも、自分なりのしあわせを探すクレールの姿に自分を重ねれば、そんな日々も肯定できる気がします。

ちょっと皮肉っぽい表現に滲む、フランスらしいエスプリもたまらない!

クレールは新生児室(NICU)に勤める看護師。 仕事熱心だけど、プライベートでは相手との関係が長続きしないのが悩み。 親友や職場の同僚は順調にパートナーを見つけ、家庭を築いているのに——。 そんなある日のこと、パーティーでフランクという男性と知り合いに。 今度こそ運命の人だと信じ、同棲し始めるクレールだが……。 (DU BOOKS 公式HPより)

こんな女性もいたんだ!って勇気をもらえる『キュロテ・ドゥ』

ペネロープ・バジューの著書『キュロテ・ドゥ 世界を変えた15人のスゴい女たち』

最後は、『キュロテ・ドゥ 世界を変えた15人のスゴい女たち』(著:ペネロープ・バジュー/訳:関澄かおる)をご紹介。タイトルにもあるとおり、世界を変えたスゴい女性、15人の逸話が紹介されています。

先に紹介した2冊と違うのは、登場する15のストーリーが、全てフィクションではなく実話であるということ。いわゆる伝記的なマンガ作品です。

ペネロープ・バジューの著書『キュロテ・ドゥ 世界を変えた15人のスゴい女たち』の表紙を開いたところ

紹介されている女性たちは、誰もかれも「culottée(生意気)」な、でもだからこそ道を切り拓くことができた、“スゴい女性”揃いです。

学校の授業では習ったこともない人ばかりが登場して、新たな発見がたっぷり。歴史の授業が嫌いだった私でも、これなら興味しんしんです。

右にならえで空気を読むことが求められる今の時代、“異端”とさえ思われていた人たちの活躍を知り、ページをめくるたびに背中を押される気分になれる、そんな1冊でした。

空気を読むなんてくそくらえ。 “向こう見ず”で“図々しく”、 我が道を開拓した偉大なる女性たちの物語、再び! (DU BOOKS 公式HPより)

次は何を読もうかな?

品川駅構内の書店「ペーパーウォール」で購入した、海外生まれのマンガ作品3冊

海外生まれのマンガ作品って、思っていた以上にたくさんあって、掘れば掘るほど気になる作品ばかり。また品川駅の「ペーパーウォール」をパトロールしてみようと思います。

とりあえず『キュロテ・ドゥ』に関しては、前作をすっ飛ばして続編の方を読んじゃったので、次こそ『キュロテ』を買ってみるつもり。