「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ」の“大ヒット御礼舞台挨拶”が、本日11月20日に東京・新宿バルト9で開催された。
【大きな画像をもっと見る】舞台挨拶にはキリト役の松岡禎丞、河野亜矢子監督、三木一馬チーフプロデューサー、大澤信博チーフプロデューサーが登壇。また原作者の川原礫がリモートで参加した。
今作の見どころについて、松岡は「前作の『星なき夜のアリア』から時系列が進んでいて、アスナとキリトの関係がどんどん“かかあ天下”になっていってるなと。まあ桐ヶ谷和人くん的にはそれが一番いいと思うんですよ。キリトの亭主関白なんてものは見たくないですから」と述べ、「とあるシーンでアスナにやられるところを楽しみにしていただけたら」とアピールした。
「アリア」と「スケルツォ」の違いについて、河野監督は「この企画をやるかやらないか、というときに大澤プロデューサーと面談したんですが、私が『絶対やるぞ!』と言ったのが“アスナの成長の物語”だったんですね。『アリア』では1人で強くなっていく、だったけど、『スケルツォ』ではどういう方向性で強くなるかというのを、皆さん感じることはたくさんあると思いますが、多角的に捉えられるように詰め込みました」と作品に込めた思いを語っていく。
今年は「ソードアート・オンライン」のアニメシリーズ10周年であり、作中の「ソードアート・オンライン」がサービスを開始した年でもあるメモリアルイヤー。13年続く原作とともに「SAO」シリーズで一番思い出に残っていることを問われた川原は「やっぱり原作もアニメも『アリシゼーション編』をやりきれたことですね。最初の頃から(担当編集である)三木さんも『アリシゼーション編』までやりたいっていうのを目標にしていて。それを原作でもアニメでも達成できたっていうのは、私もだいぶエンディング感がありました」と感慨深げな様子。「ただ、そのへんで終わるかと思っていた展開が終わっていないので。これからも次なる目標に向かってがんばっていきたい」と意欲的な姿勢を見せた。
松岡はこの10年を振り返り「思い出に残ってることしかない」と断言しつつも、「どのシーン、どの回を見返してみたとしても、そのときの収録現場の空気感をパッて思い出せるくらい濃密だった」と述懐。「(音響監督の)岩浪(美和)さんの現場って、1回の収録がめちゃめちゃ早いんですよね。岩浪さんの録り方は天性のものなんだろうなって感じます」と明かし、とある回では通常のアニメのアフレコは収録時間を4、5時間ほどキープしている中、2時間ほどで録りきったというエピソードを披露した。
去る11月6日には「ソードアート・オンライン -フルダイブ-」と題したイベントが開催された「SAO」シリーズ。このイベントに関して、大澤氏は「作中でゲームがローンチした日に10周年のイベントができたことはすごくよかった」と喜ぶ。「音楽をやっている梶浦由記さんの“梶浦由記バンド”と言ったらいいのかな、それもすごくよくてボス感があるなあと思っていたら、最後にシークレットのラスボスが登場と。もちろん我々は知っていたんですけど、LiSAさんが出てきたのは震えるくらいすごかった」と、サプライズで登場したLiSAのパフォーマンスについて触れた。
また話題は同イベントで展開されたユナのライブに。松岡は「ユナのライブはヤバすぎました!」と興奮しながらも、1つクレームがあると申し出る。「台本上、ユナのライブの後に、修剣学院時代のキリトと(島崎信長演じる)ユージオの朗読があって。リハのときからユナのライブを見て『ヤッバ!』って感動していたんですよ。でも本番のときに気付いちゃったんですよね。このユナのライブでみんな泣いたりいろんな感情が渦巻いたりしている中、『えっ、ここから1人で出ていくの?』って。本来なら(イベントに出演予定だった)信長と一緒に左右から出て行く予定だったんですよ。そのときだけは正直信長には申し訳ないですけど『アイツ……!』と思って(笑)。(スタッフにステージに向かって)『どうぞ』って言われた瞬間に右足が震えました」と本音をぶちまけた。三木氏は「ただ、その後お役目を務めた松岡さんが素晴らしかったのは、きっと皆さんもわかっていると思います」と続けると、会場からは称賛の拍手が贈られた。
「ソードアート・オンライン -フルダイブ-」のイベント内では完全新作オリジナル劇場版の制作も発表となった。今後の「SAO」シリーズに期待することについて聞かれた川原は「『自分ががんばる』としか言えないですけど、ここまで来たからにはさらに10年後……2032年にもう1回『フルダイブ』をやりたいなと思っています」と展望を語り、会場も大きな拍手でそれに応える。そして松岡は「まずは……『ユナイタル・リング』のアニメ化」、河野監督も「私ももっと見たいな、アルゴとか、ミトとか……」とそれぞれ今後の「SAO」シリーズについての展開に胸を膨らませた。
※島崎信長の崎は立つ崎が正式表記。
(c)2020 川原 礫/KADOKAWA/SAO-P Project