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SEVENTEEN、日本1st EPがアルバムチャート堂々首位 緩急ついた選曲の妙、“J-POP性”ある華やかなアレンジも

2022年11月19日 10:11  リアルサウンド

リアルサウンド

SEVENTEEN『DREAM』(通常盤)

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-11-21/


 2022年11月21日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのはSEVENTEENの日本1st EPとなる『DREAM』で、売上枚数は497,571枚。続いて2位には、ジェジュンの3年7カ月ぶりのアルバム『Fallinbow』が続き、推定売上枚数は28,091枚だった。その他トップ10圏内の初登場作品は、4位Task have Fun『Violet tears』(9,055枚)、7位RADWIMPS, 陣内一真『すずめの戸締まり』(8,443枚)の2作にとどまった。今年6月に発売されたKing & Prince『Made in』が5位、2021年7月に発売された『Re:Sense』が8位に浮上しているが、11月7日~13日という集計期間から考えると、同月4日に発表された一部メンバーの脱退を受けた動きと思われる。チャートを見て、思わずそのニュースのインパクトを振り返ってしまった。


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 さて、今回取り上げたいのは首位のSEVENTEEN『DREAM』。1st EPという扱いなのは、これまでの2枚の日本ミニアルバムとは曲数が異なるためあえて区分を設けたのだろう。書き下ろしリード曲の「DREAM」を冒頭に、2021年の『Attacca』収録の「Rock with you」、2020年の『; [Semicolon]』収録の「All My Love」の日本語バージョン、さらにグループ初の全英語詞曲として今年4月に発表された「Darl+ing」が「Holiday ver.」としてリアレンジして収録されている。


 シャッフルするリズムが軽快さを演出しつつ、浮遊感のあるコードのサウンドやボーカルの厚みがまさしくドリーミーな「DREAM」は、メロディアスな魅力とグルーヴの気持ちよさが噛み合った1曲。アップテンポなビートにロックなディストーションギターがアツい「Rock with you」、一転してぐっとテンポを抑えたストレートなバラード「All My Love」という緩急は選曲の妙というところか。


 なかでも興味深いのは、「Darl+ing -Holiday ver.-」。シンプルだがフックのあるベースラインが楽曲の原動力になっていたオリジナルとは対照的なアレンジになっている。シンプルなギターとパッドがイントロとなる構成自体、いきなり歌から始まる原曲とは異なっているし、最初のヴァース(Aメロ)では、弾力のあるベースラインがなめらかにゆらぐグルーヴを醸すかわりに、やや音域高めのベースラインが16分音符で前へ一歩一歩進んでいくかのように鳴っている。続くプレコーラス(Bメロ)は最初のクライマックスのひとつだが、このドラマチックに動き回るストリングスを聴いてしまうと、原曲はかなり抑制されているように感じられる。


 この違いが如実に感じられるのがラストの展開で、ブリッジ(Cメロ)から最後のコーラス(サビ)に入ると、その前半に日本のポップス用語で言うところの「落ちサビ」(盛り上がる前に一度バックトラックが引いてアクセントになる)が入って、改めてコーラスになる。構成自体は原曲もこちらのバージョンも同じなのだけれど、後者ではさまざまな楽器を駆使して装飾したサウンドが、最後の展開をこれでもかと盛り上げる。この華やかさはさすが「Holiday ver.」という名前を冠するだけあって、なにかとドラマに事欠かない年の瀬にふさわしいアレンジだろう。


 と同時に、このバージョンが日本でのEPに収録されたことも、この華やかさと無関係ではないかもしれない。私見だが、ストリングスをはじめとしたメロディ楽器で楽曲を装飾し、ドラマチックに仕上げるのはある種の「J-POP性」とかなり強く結びついている(この連載でも何度か言及したことがある)。良し悪しを言う話でもないけれど、仮に推測が正しかったら、この傾向は2022年も健在ということなのかしら、とぼんやり考えてしまうのだった。(imdkm)