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後悔しないバイクの選び方【後編】長く乗るか、すぐ乗り換えるか、売買するならどこがベスト?

2022年11月18日 07:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
一台のバイクに何十年も長く乗る人もいれば、数年も経たずに次々と乗り換える人もいます。また、バイクを売買するにしても、その方法はいくつもあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。



バイク選びのポイントの第3回(後編)は、バイクを乗り換えるタイミングや売買の方法、保険の必要性について解説します。

■長く乗るか、すぐに乗り換えるか



一台のバイクに長く乗る人もいれば、1年もしないうちに乗り換えてしまう人もいます。バイクは楽しく乗るのが一番ですので、どちらが正しいというわけではないのですが、それぞれにメリットやデメリットもあります。



長く乗る場合、定期メンテや故障などを経験していくうちに、自分のバイクの弱点や、日々の調子から対処法も分かってきます。オーナーズクラブに参加すれば、より多くの情報や友人も得られるでしょう。また、一台のバイクに長く乗り続けることで、バイクという乗物が走ったり曲がるときの挙動や、ブレーキやコーナリングで自分と愛車の限界値もつかめてきます。『よく知り尽くした相棒だから』という理由で同じモデルを乗り継ぐ人も少なくありません。


デメリットとしては、ほかのバイクの魅力のほか、最新モデルに装備された技術の恩恵を受けられないことです。昔でいえばアルミフレームやラジアルタイヤといったものでしたが、現在はABSやトラクションコントロールといった安全面で有利なものがあります。また、車検のあるバイクは新車登録から13年以上経過すると重量税も上がります。一部の有名な旧車は高騰していますが、基本的には古いモデルの市場価値は下がり、経年劣化が進んだ部品の交換や修理も必要になってきます。



新型車を短期間で乗り換えるならトラブルも少なく、人気車ならば下取りも高査定が期待できます。モデルの年代やジャンル、エンジン特性、メーカーによる違いも楽しむことができるでしょう。スポーツバイクからオフロード、アメリカンなど、さまざまな形のモデルがあり、重量やディメンションの違いがバイクの走りにどんな影響をあたえるのかも分かってくるはずです。「バイクの基本特性を知る」という意味では、一つのバイクに長く乗ることとは違ったアプローチになりますが、どちらもそれなりに距離を走りこむ必要はあります。

■『こんなはずでは…』もしも買った後に後悔したら



何カ月も悩んだ結果や、パッと見て何かを感じたなど、そのモデルの購入を決める理由は人それぞれですが、買ったあとに後悔する可能性もゼロではありません。納車翌日に特別仕様車が追加されたり、他社から魅力的な競合モデルが発表されるなど、80年代のバイクブーム時は珍しくありませんでした。



『これも運命のめぐりあわせ』と、買ったバイクを大事にできればいいですが、どうしてもガマンができないならば早急に買い替えるのも一つの方法です。キズ一つない状態の新車なら下取り査定は高いですし、そのバイクを欲しがっている知人を探すというのもよいでしょう。愛情も消え、洗車もメンテもされないバイクも可哀そうですし、何よりも乗っていて楽しくなければ意味がありません。



違うケースとしては、買ったバイクの形や音は気に入ってるけど、しばらく乗っているうちに不具合や不満がでることです。長時間の走行でお尻が痛くなったり、思ったよりも燃費が悪い、故障の頻発、タイヤなどの高い維持費が高額、駐輪スペースに入れにくいなど、さまざまなことが考えられます。



「乗り心地が悪い」といった程度ならば、サスペンションを調整したり、シートの素材をカスタムして改善することもできますので、バイクショップや用品店に相談してみるべきでしょう。そのバイクの構造的に難しい場合は買い替えしか方法がありませんが、乗り換えたバイクで別の不満が出ることもあります。



とはいえ、自分の理想にピッタリあったフルオーダーのバイクというのも存在しません。バイクは雨風も受け、夏は暑く、冬は寒いと苦労の多い乗物ですので、多少の不満もかわいいと思う人もいます。大事なのは「そのバイクが大好き」であること。愛情がなくなったときが買い替え時でしょう。


■バイクを買うのはどこがよい?



エンジンをオーバーホールできるようなセミプロなら、自分で目利きをして一番安いお店で買うこともできますが、なかなか普通の人の場合はそうもいきません。購入後もメンテナンスや修理などの面でつきあっていくため、きちんとしたバイクショップを選びたいものです。

正規ディーラー



新車ならば、一番安心なのはメーカーの正規ディーラーでしょう。特典や保証も充実しており、メンテナンスのスキルやスピード、コストも安定しています。人気車の場合はディーラーでしか扱っていないモデルもあり、最近ではメーカー認定の中古車も揃えています。デメリットは、他メーカーへの乗り換えや、古いモデルの修理対応が充分にできないケースもあることです。

個人経営のバイクショップ



昔ながらの個人経営店は入りにくいかもしれませんが、意外に面倒見の良いお店が数多くあります。腕の良いメカニックがいる場合、ディーラーでは高額なアッセンブリー(複数部品の組み合わせ)交換と診断された故障を、昔ながらの手法で部品の分解・修理してしまいます。デメリットとしては、やはり相性の良し悪しがあることや、車両や部品の供給、修理などに時間を要することでしょう。

大型の販売店



全国に多くの店舗を持つ大型販売店では、あらゆるメーカーの新車・中古車まで幅広く扱っています。引っ越しをしても近隣の店に整備データが引き継がれ、全国の店舗で受けられるメンテナンスやロードサービスのほか、ツーリングで利用できる宿泊施設まで展開しています。ディーラー限定販売のモデル以外であれば、こちらもおすすめです。

ネットオークションなどの個人売買

ネットオークションでは格安で車両の売買ができますが、初心者やメカが苦手な方にはおすすめできません。基本はノークレーム・ノーリターンで保証もなく、出品者がショップであっても、業者オークションに出せないほどのダメージをかかえている可能性もあります。購入後は自力で修理するような覚悟が必要です。


■売るなら、下取り、買取、個人売買、どれが得?



バイクを手放す場合はいくつかの方法があります。新しくバイクを買い替えるお店での「下取り」、新しいバイクは買わず、ただ買い取ってもらうだけの「買取」、そして、知人やネットオークションなど、個人間で行う「個人売買」です。



昔は「下取り」のほうが「買取」よりも絶対によい、といわれていた時期がありました。その理由は、かつては悪質な買取業者も数多く存在し、広告や電話では『どこよりも高く買います』といいつつも、実際の査定時に訪れるとさまざまな理由をつけて評価額を下げ、買い取るまで居座るといったケースも少なくなかったからです。



現在は悪質な業者は減りましたが、それでも事前の簡易査定よりも低いという不満の声も聞かれます。表示されている上限額は、室内保管で雨天未走行、走行距離もほどんど走っていないようなレアケースでしょう。やはり交渉は必要ですが、場合によっては思っていたよりも高い査定がつくこともあります。「下取り」のメリットは購入するバイクの手続きも同時に行えることですが、どちらにしてもバイクはキレイに掃除されている方が査定時の印象がよいはずです。



「個人売買」は業者を通さないので、そのマージンを引いた高額な取引が期待できます。ただ、価格の交渉だけでなく、譲渡に必要な書類の手続きも個人間で行わなければなりません。手続きや支払いの遅延などで金銭的なトラブルが発生したり、譲渡後の故障や不具合が問題になることもあります。相手とトラブルをおこすと、住所や連絡先といった個人情報の面でもリスクが発生します。

■自賠責だけでは足りない。任意保険は加入すべき!



バイクに乗るには必須の自賠責保険ですが、これは人身事故を起こした場合、被害者に対する賠償損害のための強制保険で、未保険の場合は罰金や懲役刑、免許停止など厳しく処罰されます。自賠責保険に入っていれば法的には問題ないのですが、補償額は死亡で最高3,000万円、後遺障害で最高4,000万円、傷害で最高120万円まで。近年は自転車の事故でも1億円を超えるケースもあるため、決して充分とはいえません。



自賠責保険で補いきれなかった分は自己負担になるうえ、相手の車両や自身の損害は補償されませんので、一生かかっても払いきれない負債を抱えるリスクがあります。任意保険の加入率は自動車で約80~90%、バイクは約半数以下ともいわれており(※)、自分が被害者側でも相手が任意保険に未加入の場合、満足な補償を受けられないケースもあるようです。やはり、自身や家族を守るためにも任意保険は加入しておくべきでしょう。


※出典:2021年度_自動車保険の概況 (損害保険料率算出機構)


バイクの任意保険は高いと思っている方も多いようですが、各保険会社からはさまざまなプランが出ています。走行する距離や年齢など、使用方法にあわせて設定すれば安く済ませることもでき、無事故が続けば等級も上がって割引されていくのはクルマの任意保険と同じです。また、輸入車などの高価なバイクの場合、盗難や車両保険も考えておきたいところです。



クルマやほかのバイクで任意保険に加入している方が125cc以下のバイクを所有する場合、「ファミリーバイク特約」が安く利用できます。これは複数台の所有や、借りているバイク、家族の利用でも一つの特約で補償されるというものです。(「自損」と「人身」の二種類があり、補償範囲が変わってきます)


■「バイクは買わない、だけど乗る」という選択も



どんなバイクが自分に合っているのかまだ分からないし、大金を払った後に後悔したくない、と思う人は多いでしょう。破格の中古を手に入れたとしても、エンジンや車体の程度が悪ければ面白くないどころか事故や転倒などのリスクもあります。数時間の試乗でも分からないことはあるでしょう。



石橋を叩いて渡る慎重派におすすめなのは、レンタルバイクの活用です。近年は国内外のバイクメーカーも力をいれており、原付から最新の大型車までラインアップも豊富です。まずは気になるバイクを借りてみて、ツーリングなどでじっくり試してから購入を検討すれば安心でしょう。



とても気軽なレンタルバイクですが、気をつけなければならないこともあります。基本的に任意保険に加入していますが、事故や盗難時の車両の修理、営業補償をカバーするには有料のオプションが必要だったり、免責が発生することもあります。内容は会社によって変わってきますので、事前に確認しておいたほうがよいでしょう。



現代のバイクは高額化していますが、さまざまな出費もかさむ現代の若者にしてみると、数十~数百万円のバイクを買って維持していくことは難しいかもしれません。メーカーはこういった世代に向けてサブスクリプションといった試みもはじめています。

■自分にあったバイク、それは心から愛せる相棒



3回に渡って紹介した「自分にあったバイクの選びのポイントを解説」はいかがでしたか? ひとことで「バイク」といっても、とにかく種類が多いので迷ってしまうもの。所有できる台数も限られているので、自分にあった一台を選ぶのはなかなか簡単ではありません。



ライダーの体格的な面や使い方によって適したバイクはあり、詳しい人に第三者の視点でアドバイスを受けるということもできます。実際に試乗して、足つきの具合や重さなど、自分に乗りこなるかを確認するのも有効な方法です。



しかし、より楽しいバイクライフを送るには、自分の愛車が大好きであることが一番です。周りに無理だと言われても、スクールに通ってライテクを磨き、念願のハーレーを颯爽と乗り回している小柄な女性もいたり、コツコツと貯金をして憧れの旧車を手に入れた方もいます。



これから免許を取ってバイク乗りになろうと思っている方から、買い替えを検討している方など、あなたにとって最高の相棒と出会うための参考になれば幸いです。



津原リョウ 二輪・四輪、IT、家電などの商品企画や広告・デザイン全般に従事するクリエイター。エンジンOHからON/OFFサーキット走行、長距離キャンプツーリングまでバイク遊びは一通り経験し、1950年代のBMWから最新スポーツまで数多く試乗。印象的だったバイクは「MVアグスタ F4」と「Kawasaki KX500」。 この著者の記事一覧はこちら(津原リョウ)