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故エリザベス女王、著名写真家に提案されたポーズを“粋な言い訳”で拒否していた

2022年11月17日 12:21  Techinsight Japan

Techinsight Japan

今年6月、即位70周年記念に公開した女王のポートレート(画像は『The Royal Family 2022年6月1日付Instagram「Thank you to everyone who has been involved in convening communities
伝説の英写真家ランキン氏が、生前のエリザベス女王の「ゴールデン・ジュビリー」のポートレートを撮影した時の裏話を告白した。女王がバッキンガム宮殿の部屋に現れた瞬間、これまでにないオーラに包まれたという。ランキン氏は撮影前にあるポーズを提案したものの、女王は機転を利かせた“言い訳”でそのような写真を撮らせることを拒否したそうだ。

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スコットランド出身のジョン・ランキン・ワッデル氏(John Rankin Waddell、54)は、これまでにデヴィッド・ボウイ、マイケル・ジャクソン、マドンナ、ローリング・ストーンズ、ブリトニー・スピアーズなど、数多くのスーパースター達のアイコニックなポートレートを撮影してきた著名なファッション・フォトグラファーだ。

そのランキン氏が、1960年代に一世を風靡した英モデル、ツイッギー(Twiggy、73)のポッドキャスト『Tea with Twiggy(ツイッギーとお茶を)』にゲスト出演し、過去にエリザベス女王のポートレートを撮影した時の秘話を回想したのである。

エリザベス女王は2002年に即位50周年「ゴールデン・ジュビリー」を迎えたことを記念し、10人の写真家に撮影を依頼したが、その中の1人がランキン氏だった。

そのため撮影前には女王のことを徹底的にリサーチし、彼女が持つ「素晴らしいユーモアのセンス」を捉えた作品にしたいと考えたそうだ。

ランキン氏は撮影当日を振り返り、バッキンガム宮殿の玉座の間(スローンルーム)で女王と対面した瞬間についてこのように明かした。

「彼女が部屋に入ってきた途端、力を与えてくれる大きな波が押し寄せてきました。あのようなオーラはこれまでに感じたことがなかった。彼女は入ってきた瞬間から、とても面白い人だったのです。」

撮影現場でランキン氏は、女王に剣を持ってポーズを取ることを提案したという。しかし女王はあることを理由に、そのような形で撮影することを拒否したそうだ。

ランキン氏は「私が『剣を持った姿を撮りたい』と言うと、女王は『私は自分の両手が嫌いなのよ』と言ったんです」と明かし、笑いながら「ああ、これはベストな逃げ道だなと思いました」と振り返った。

どうやら女王は剣を持った姿の写真を撮られたくないため、とっさに自分の手が嫌いという言い訳を思いついたようだ。そんな女王の発言について、ランキン氏は次のように話している。

「多分、こんなことを言うべきでないかも知れません。しかし彼女の魅力は、とても頭が良くて、話すことすべてに驚くほどのひねりが効いていることなんです。」

そして「本当に素晴らしい経験でした。彼女と過ごしたのは、ほんの5分ほどだったから、親しい仲ではないんですけど」と加えた。

こうして完成したポートレートは、英国旗を背景に女王が明るく微笑んでいるクローズアップだ。淡いブルーの襟無しジャケットを着て、パールのネックレスとイヤリング、ブローチをつけた上半身を捉えている。女王が「嫌い」と言った両手は写されていなかった。


ランキン氏によると、写真撮影後にバッキンガム宮殿からポートレートを称賛する手紙が届いたそうだ。

「キュレーターから素晴らしい手紙を受け取ったんです。私が撮影した女王のポートレートを、彼らが大変気に入ったという内容でした。私は宮殿が気に入ってくれたんだと思っています。なぜならこの写真では、女王が本当に笑っていますからね。」

画像は『The Royal Family 2022年6月1日付Instagram「Thank you to everyone who has been involved in convening communities,」』『rankin 2022年9月11日付Instagram「To celebrate the life of The Queen,」、2022年8月15日付Instagram「RANKIN CREATIVE MASSIVE」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)