Text by CINRA編集部
広瀬すず主演の映画『水は海に向かって流れる』が2023年6月に公開。ティザービジュアルと超特報映像が公開された。
田島列島の同名漫画をもとにした『水は海に向かって流れる』は、高校通学のため叔父の家に居候することになった直達、親に黙って脱サラした漫画家で直達の叔父、女装の占い師、海外を放浪する大学教授、どこか冷めていて笑わない26歳のOL榊千紗の奇妙なシェアハウス生活を描いた作品。
広瀬すずが演じるのは「恋愛はしない」と宣言する榊千紗役。『そして、バトンは渡された』『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の前田哲が監督を務める。脚本は大島里美、音楽は羽毛田丈史。
超特報映像は、重要なシーンの1つとなる「ある雨の日の思いがけない出会い」を切り取ったもの。
【広瀬すずのコメント】
お話を頂いたとき、「どうして、私なんだろう?」というのが率直な感想でした。
ここまでクールで、感情がつかみにくい役も初めてでしたが、いつか、やってみたいと思っていた役でもありました。実際に撮影に参加させて頂いて、すごく楽しかったです。
私自身も我慢するタイプなので、彼女の気持ちを理解できる部分は多くありました。
ある過去の出来事をきっかけに人に期待し過ぎず、自分の中にちゃんと信念を持ち、そして、とても優しい榊さんは年上ですが、寄り添ってあげたくなる人です。
そんな彼女が、信じたいと思える人に出会い、固く結ばれた糸がほぐれていくように変化していく様を大切に演じました。
作品の中での感情が波のように流れていったり、静かになったりする感覚が好きだなと思っていました。
人との向き合い方、その大事な部分が繊細に描かれている優しい作品です。
観る人それぞれに、感じてもらえることがきっとあると思っています。
【前田哲監督のコメント】
田島列島さんの原作が持つ魅力溢れる独特のリズムとユーモアとキャラクターたちを、映画としてどのように表現できるのか・・・。
その不安とプレッシャーは、主人公の榊千紗を広瀬すずさんが演じてくれることになり、希望とワクワクに変わりました。
今まで見たことのない広瀬すずを見せてくれるのではないかという確信めいた思いがあったからです。
撮影現場では案の定というよりも予想を超えて、感情のヒダを繊細かつ大胆に出し切ってくれた、すずさんの表現に私たちスタッフは心が鷲掴みにされることが何度もありました。
堰き止められていた川の流れが少しづつ解き放たれて、水が海に向かって流れていくように、彼女の封印していた心が、寄り添ってくれる他者との交流の中で解放されていくさまは、誰にとっても心当たりのある「自分の物語」として感じてもらえると思っています。
続報を楽しみにお待ちください。
【田島列島のコメント】
今回映画化のお話を頂いて、主演を広瀬すずさんにオファーしてると聞き、榊さんより年下の広瀬さんですが、すげえ女優なので何の心配もなく任せられると思いましたし、というか、えっあのフィルムに愛された女優広瀬すずですか!?とイチ邦画ファンとしちゃ普通に観たい…と思いました。
出来上がった映画は…かわいかった!
色調、猫、少年少女、おじさんたち(直達父含む)のかわいさ、そして広瀬すずの美しさを堪能出来る映画となっております!
印象に残ったのはラストシーンで、脚本を読んだ段階ではわからなかった、音楽も合わさって生まれる映像ならではのエモさ、コレ、漫画じゃ出来ねんだよなあーと思いました。
原作/田島列島「水は海に向かって流れる」(講談社「少年マガジンKCDX」刊) ©田島列島/講談社