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後悔しないバイクの選び方【中編】国産車/外国車、新車/中古車、マイナー車や旧車で気をつけたいポイント

2022年11月17日 07:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
『すっかり体力も落ちたから小型車でいいかな…』と思ったり『いやいや、やっぱりいつかはハーレーに乗りたい! 』など、欲しいバイクは人それぞれです。ある程度の大きさやジャンルが決まったとしても、まだまだ検討することはありますね。



バイク選びのポイントの第2回(中編)は、国産車や輸入車、新車や中古車、安いマイナー車や旧車などについて解説します。

■信頼の国産車か、個性的な輸入車か?



初心者やリターンライダーでマシントラブルが心配な方には、やはりおすすめは国産車。日本製オートバイの性能の高さは「MotoGP」や「WSBK」(スーパーバイク世界選手権)といった国際レースで証明されていますが、特に「鈴鹿8時間耐久ロードレース」や「ル・マン24時間耐久ロードレース」などの耐久レースでは国内4メーカーの独壇場。つまり国産車はとても高性能で丈夫というわけです。



また、出先で何かあったとしても、かなり珍しいモデルでもなければ、日本製バイクはほとんどのバイクショップが対応できるはず。どのメーカーも部品の供給は安定しており、メンテナンスにかかる費用も一般的なコストで抑えられます。カスタムパーツも市場に多く出回っているので入手は簡単です。



これに対して輸入車の場合、近年は格段に故障も減ったものの、まだまだ国産車と同等とはいえないのが正直なところです。自分で修理をするか、ディーラーでしっかりと定期点検を受ける必要がありますが、メンテナンスにかかるコストは国産車よりも高くなると考えておいたほうがよいでしょう。定期メンテナンス以外に必要なパーツでは、供給までに日数を要することも珍しくありません。


しかし、「ハーレーダビッドソン」や「ドゥカティ」などの輸入車が持つ独特のデザインや、エンジン音や振動といった体感的な魅力は国産車では味わえないものです。現在はディーラー網も整備され、トラブルもずいぶん少なくなっているので、強い憧れを抱いている方は試乗をしてみてはいかがでしょうか。

■新車と中古、どちらが得か?



当然ですが、新車のメリットはバイクがまったく痛んでないことです。エンジンや電装、サスペンションなどの経年劣化も皆無で、タイヤやブレーキなどの消耗部品もしばらくは交換せずに済みます。現在はそれほど神経質になる必要もありませんが、いわゆる「慣らし運転」も新車オーナーだけの特権です。また、保証の年数や点検サービスなども充実しており、キャンペーンや特典のオプションがつくこともあります。



ただし、エンジンの新設計などでフルモデルチェンジされたバイクの場合、新車でもトラブルが出ることもあります。ほとんどはリコールやサービスキャンペーンで補償されますが、いわゆる工業製品の「初物」にはついてまわるものです。逆に、発売から数年経過していたり、長く売られているベストセラーモデルは、こういった不具合は対策されています。



中古車は新車よりも安いものの、同じモデルでも販売店によって値段が違ってくるのが難しい所です。同じ値段ならノーマル車よりも高価なカスタムパーツ付の方がお得にも思えますが、見た目はキレイでもエンジンの調子がイマイチ、というケースもあります。また、車検のあるバイクは検査時に純正に戻さなければ通らないことも。一般的に中古車の価格は査定評価が反映されるので、安いバイクには何らかの理由があると考えるべきです。



『そんなに難しいなら、新車を買うしかないのか……』とあきらめなくても、現在はメーカーも自社の中古車販売に力を入れており、厳しいチェックを受けた認定中古車が売られています。相場よりも若干高めの値段にはなりますが、メーカーお墨付きの品質に手厚い保証もついているため、初心者やリターン組の方にはおすすめです。


■格安のマイナー車はねらい目?



人気モデルは市場にも多く出回り、価格もピンからキリまであります。新品・中古ともにパーツも豊富なので、修理やカスタムの面でも困ることはないでしょう。下取りや買取時もそれ相応の査定が期待できます。



マイナー車、いわゆる不人気車は、新車、中古を問わず格安で手に入れることができます。『みんなと同じじゃイヤ』という人にしてみれば、珍しいバイクに乗っているという満足感もあり、一部のマニア達がクラブを結成することもあります。デメリットとしては、人気車のメリットと相反するように、カスタムや修理に使うパーツを見つけるのに苦労したり、売却時の査定が低くなることです。



多くのマイナー車は「デザインやコンセプトがウケなかった」というだけで、公道で使うバイクとしての機能に大きな問題はありません。中には、新車販売時は投げ売りされていたのに、生産中止後にジワジワと人気が出て、中古車が新車時の価格を上回るほど高騰したモデルもあります。

ただし、過去には設計に少し問題があり、純正以外のタイヤを履くとバランスが崩れたり、エンジンやフレーム、電装などにウィークポイント持つモデルも存在しました。メーカーがリコールを出すほどではなかったものの、こういった噂がユーザー間で伝わってしまったことで、相場の安いマイナー車になったモデルもあります。

■思い切ってあこがれの旧車という選択肢も



中高年ライダーの中には、若い頃に乗れなかった、または乗っていた古い名車に強いあこがれを抱いている方も多いでしょう。ホンダの「CB」や「NSR」、ヤマハの「RZ」、カワサキ「Z」、スズキ「GSX」などの名車はバイクブームと同調して人気もピークを迎えており、程度の良いものは数百万から一千万円以上という高騰ぶりです。



ホンダ「CB1100R」やカワサキ「空冷Z系」など、昔からプレミアがついていたモデルは大切に扱われてきた可能性が高いですが、それでも何十年も昔の「中古車」。価格の差は、全体的なコンディションや、エンジンのオーバーホールやフレームの再塗装といったレストアのレベルによって現れているわけです。



旧車で困るのは、修理時に必要になる純正部品に関することです。メーカーのパーツ供給期間は重要部品で生産終了後7年~10年ほどといわれています。30年以上も昔の部品がメーカーから入手できることもありますが、廃版になっていても文句はいえません。そのために在庫や国内外のリプレース品、他部品の流用や修理といったノウハウをもったショップを選ぶ必要があります。オーナーズクラブにも加入できればさらに心強いでしょう。また、高価な旧車は盗難リスクも高いため、セキュリティ対策も重要です。


有名な旧車は伝説的に語られますが、最新技術でモディファイされた車両は別として、オリジナルの性能は現代のバイクよりも格段に劣っています。ブレーキも効かず加速も鈍く、コーナリングでもふらつくうえ、壊れないような丁寧な乗り方も求められるでしょう。しかし、旧車の魅力は本物だけが持つ質感や堂々たる存在感。これは現代のネオクラシック系モデルでも完全に再現できないものです。決して安い買い物ではありませんが、あこがれのバイクとともに、ゆったりしたバイクライフを送るというのもよいと思います。

■実車に跨り、プロの話も聞いてみる



デザインやスペックなどは、メーカーやバイクメディアのサイトで見られますし、現在はSNSや動画サイトで一般ユーザーのインプレッションを参考にすることもできます。しかし、バイクは体感的な乗物です。気になるモデルが見つかったら、やはりバイクショップに足を運び、実車をじっくり見てみるべきでしょう。



中には、写真の映りよりも実車の方が格段に良かったり、その逆というパターンもあります。細部のディテールや全体的な雰囲気なども一目でわかり、さまざまなカラーやオプションのついた限定車、ライバルメーカーのモデルも展示されていれば、自分が個人的にこだわりたいポイントの比較などもできるでしょう。



眺めるだけでなく、跨って足つきやライディングポジションの確認もしたいところです。車体の重さも分かりますし、上体の前傾や下半身のフィッティング具合もチェックできるでしょう。タンデムが多いのであれば、リアシートの居心地も重要です。ただし、サイドスタンドをかけたまま全体重を乗せるのはNG。輸入車などは折れたり曲がることもあります。ベルトのバックルなどでキズをつけないようにすれば、定員さんからも良いお客さんと思われるはずです。



実車に跨る場合、店員さんに声をかけるのは最低限のマナーですが、話をすることで同じバイクを購入したユーザーの声や、納期やサービスなどのほか、プロしか知らない情報やアドバイスをもらえることもあるはずです。可能であればエンジン音を聞かせてもらったり、試乗車などの相談もするとよいでしょう。


■気になるバイクがあるなら、まずは見に行くべき



昔は「高根の花」だった輸入車も、今は大型免許も教習所で取得できるようになり、正規ディーラーもずいぶん増えました。昔に比べれば故障も格段に減っています。また、旧車も高騰していますが、人生は一度きり。憧れていた世界を味わうのも悪くはありません。



バイクは体感的な乗物ですので、さまざまなモデルを実際に見たり試乗することで、机の上では分からなかったインスピレーションを感じるはずです。『コレだ! 』と一目ぼれした一台なら、とても楽しいバイクライフがおくれるかもしれません。



次回は、同じバイクに乗る年数や売買の方法、任意保険の必要性などについて解説します。



津原リョウ 二輪・四輪、IT、家電などの商品企画や広告・デザイン全般に従事するクリエイター。エンジンOHからON/OFFサーキット走行、長距離キャンプツーリングまでバイク遊びは一通り経験し、1950年代のBMWから最新スポーツまで数多く試乗。印象的だったバイクは「MVアグスタ F4」と「Kawasaki KX500」。 この著者の記事一覧はこちら(津原リョウ)