トップへ

「百貨店復活に手応えを感じている」三越伊勢丹HDが通期業績予想を上方修正

2022年11月11日 19:32  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com


基幹店である伊勢丹新宿店の外観

Image by: FASHIONSNAP
 三越伊勢丹ホールディングスが11月11日、2023年3月期の通期業績予想を上方修正したと発表した。第2四半期連結業績結果および足元の業績動向を踏まえて決定されたもので、8月に公表した前回発表から売上高は据え置きの4940億円で、営業利益は70億円、当期純利益は50億円それぞれ引き上げ、ともに240億円に修正した。

 百貨店事業が好調で、同事業の第2四半期累計(7~9月)の総売上高は前年同期比23.7%増の4633億円、営業利益は同177億円増の51億円に着地し黒字に転換した。「顧客」を意識した戦略が奏功し、エムアイカード会員・アプリ会員・ECのみのデジタル会員を含む「識別顧客」による売上高は期初計画比12%増で、エムアイカード会員の売上高は1%増だったが、年間100万円以上購入するエムアイカード会員の売上高は同21%増と大幅に伸長した。アプリ会員は期初計画では135万ダウンロードを見込んでいたが、すでに150万以上ダウンロードされており、売上増に貢献している。外商改革では百貨店外のMDにも力を入れており、外商セールスの第2四半期の総扱売上高は前年同期比20%増の約950億円だった。
 収支構造改革も順調で、今上期で36億円の経費削減を実現し、8月公表の年間計画に対しては約半分強まで進捗した。通期予想も修正しており、これまで「3000億円の壁」とも言われていたが、今期は10億円引き下げ2630億円の達成を目指す。
 今期は「再生フェーズ」と位置付ける3ヶ年計画の初年度。三越伊勢丹ホールディングスの細谷敏幸 取締役代表執行役社長CEOは「百貨店復活に手応えを感じている」と会見で手応えを語り、最終年度の目標の一つであり、統合以来過去最高となる営業利益350億円突破も「確度が高くなった」と自信を示した。
 11月からはインバウンド売上も徐々に回復し、伊勢丹新宿店ではコロナ前とほぼ同等の勢いも見られたという。中国以外の地域からの観光客が多く来店している点が、コロナ前との違いだと説明している。ただし、新型コロナウイルス感染拡大第8波への懸念など依然先行き不透明な状況から、インバウンド売上に関しては保守的に見立てているが、来店以外の顧客に目を向けた海外外商チームを10月に発足するなどで「一歩先」の対策をとっているという。
■三越伊勢丹ホールディングス 2023年3月期第2四半期連結累計実績総額売上高:4956億円(前年同期比24.2%増)売上高:2228億円(同18.6%増)営業利益:89億円(前期は営業損失77億円)純利益:77億円(前期は純損失81億円)