パートやアルバイトに比べ、正社員は待遇が良いイメージがある。しかし、流通・小売系の会社で働く30代後半の女性(広島県/未婚)は、「パートから正社員へ登用された」ものの、収入アップの実感は薄いようで
「パートのときのほうが(中略)引かれるものが少なかったため、毎月の手取りは多かった。年収でみたらパートのときとほぼ同じくらい」
と明かす。また、年収はおよそ300万円、手取り15万6000円ほどだが
「母親を私の扶養に入れる手続きをしたときに、年金、農業収入、土地代から成る父親の年収が私の年収より多かったので、父親は『今のわしより年収が少ないんか……』と愕然としていた」
と寂しげに綴る。(文:福岡ちはや)
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「実家を引き継いでも、平々凡々な毎日を送れるビジョンは描けない」
女性の実家は田んぼ付きの持ち家だ。そんな一家の大黒柱だった女性の父親は、かつては市町村の公務員だったという。女性は「(父親が)自分と同じ年代のときに莫大な給与をもらっていたとは思わないが」と前置きしつつ、
「それでも今の実家をやりくりしていけて、子ども2人も育てられるくらいではあったんだなーと思う。今の私の手取りは一人暮らしがしっかりできる程度にしか思えず、結婚や子育てなんか無理だと思う」
と親子間の収入格差を嘆いた。また将来の見通しについても、
「親の病気などで治療費が必要となるかもしれない。私が実家を引き継いでも、固定資産税などの税金を払いながら、贅沢ではないにしろ平々凡々な毎日を送れるようなビジョンは描けない」
と悲観的に語った。働き盛りの30代にもかかわらず、年金暮らしの父親よりも稼ぎが少ないとなると自信を失っても仕方がない。しかし今の日本は、女性と同等またはそれ以下の年収の人が目立っている。日本全体の賃金水準が上がる日は来るのだろうか。