ゲームの映像表現も、随分進化してきた。レースゲーなんて、一瞬見ただけでは実写と見間違えてしまうレベル。もうこれ以上のグラフィック表現なんて追求しなくても良いのでは? という気がしてしまう。もっとも、この考えは別に昨今湧いたものでなく、何ならプレステ2ぐらいの時代から頭をよぎっているけど。
映像が綺麗な分にはユーザーが損をすることはない。が、かと言って映像が綺麗じゃないゲームが面白くないという話では断じてない。ゲームの根本の面白さって、グラフィックに依存するとは僕は思えない。
ゲームには素晴らしい映像表現が伴って、そこで初めて感動が生まれるというのは、ちょっと違うのではないかと考えている。ただこれも、あまたいるゲーマーの中の、ほんの1人の声に過ぎないが。(文:松本ミゾレ)
ゲームで重要なのはシステムか、グラフィックか
さて先日、5ちゃんねるに「グラは面白さに関係ない! ファミコン今やったらクソつまらんのだが」というスレッドが立っていた。このスレッド、なんとスレ主が「グラは面白さに関係ありすぎて草」と書き込んだだけで、後は誰からも見向きもされないまま放置された悲しみのスレッドなのである。
スレ主はしばしばグラフィックはゲームの面白さに関係ないという言説を耳にしていたんだろうが、そこで自分もファミコンのカセットで遊んだところつまらんかった。だからゲームの面白さにグラフィックは関係大ありだと主張したいんだろう。いかんせんこれ以降の書き込みがないので真意はあくまで予想するばかりだが。
せめて何のカセットで遊んだかぐらい書いてよって話なんだけど、なんでわざわざ家庭用ゲーム機の黎明期にあたる時代のハードで今更遊んで難癖つけてんの? という気はしてしまう。
まあ、たしかに今は色んなハードがある中で、わざわざファミコンで遊んだら目の肥えた現代のゲーマーにとっては物足りないだろうけども。
「ゲーム」の捉え方は人それぞれなわけで
スレ主とは違って、ゲームで感動するポイントって、グラフィックだけに大きく依存するわけではないと僕は思う。グラフィックなんて二の次みたいなゲームでも、ゲラゲラ笑ったり興奮することなんてことはたくさん経験してきたし。
というか「別にグラフィックなんて必要ないゲームはいっぱいあるし、それらのことを考えればグラ云々でゲームの面白さを断定する手法は成り立たないよなぁ」という気もするところ。
たとえばみんなで正月に集まってする福笑いや双六なんかもゲームだ。あれは極めてアナログな遊びで、福笑いなんてどっちかと言えばボードゲームの範疇にあるものだけど、なかなかどうしてあんなものでも本気で向き合うと面白いし、笑いだって生まれる。そのボードゲームやテーブルゲームにしたって今もなお進化している。
僕が好きなのはブロックスという、最大4人で遊べるブロックと頭を使う遊びなんだけど、極めてアナログな遊びでありながら信じられんほど盛り上がることも多々ある。
また、グラフィックなんて最低限でテキストメインみたいな古典RPG『ウィザードリィ』やそれにインスパイアされたRPGだって、あれこそ映像に依存せずに最高に面白いゲームになっている。
もっとも、古今東西据え置きゲーのソフトにしたって、個々人が面白く感じるものなんてまさしく千差万別だし、「グラがダメなのでつまらない」という人もいれば、「グラなんかいいよ、システムが素晴らしいならそれで」って人もいる。
みんな違ってみんなそれぞれにこだわりを持ってゲームを、自分の尺度で見ているのだから、グラフィックのクオリティだけでゲームの批評をしてしまう人が出るのはある意味では分からない話でもない。