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King & Prince、YOASOBI、Mrs. GREEN APPLE、緑黄色社会、菅田将暉……11月9日リリースの新譜5作をレビュー

2022年11月08日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

YOASOBI『祝福』(完全生産限定盤)

 毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は11月9日リリースのKing & Prince『ツキヨミ / 彩り』、YOASOBI『祝福』、Mrs. GREEN APPLE『Soranji』、緑黄色社会『ミチヲユケ』、菅田将暉『クワイエットジャーニー – EP』の5作品をピックアップした。(文:森=森朋之、渡部=渡部あきこ)


(関連:King & Prince、RIEHATA振付「ツキヨミ」の挑戦的なパフォーマンス 激しさ増すダンスで強化される楽曲の世界観


■King & Prince『ツキヨミ / 彩り』


 9月に10枚目のシングル『TraceTrace』を発表したばかりのKing & Princeから、早くも新曲が到着。両A面でリリースとなる本作には、平野紫耀が主演を務めるドラマ『クロサギ』(TBS系)主題歌「ツキヨミ」と、髙橋海人主演ドラマ『ボーイフレンド降臨!』(テレビ朝日系)主題歌「彩り」が収録されている。「ツキヨミ」は色気のあるラテンミュージックをフィーチャーしたダンスナンバー。〈愛は要らない〉と拒絶する言葉とは裏腹に狂おしいほどに愛を渇望する心の内を、挑発的なパフォーマンスとともに歌い上げ、大人の魅力を開花させた。一方の「彩り」は軽やかなメロディが心地よいミディアムテンポのラブソング。大切な人への愛や感謝をストレートに紡いだ歌詞もさることながら、髙橋の伸びやかな歌声も聴きどころ。グループの今後に注目が集まる今、改めて稀有な魅力に気づかせてくれる。(渡部)


■YOASOBI『祝福』


 こんなにも力強く、こんなにも切実なYOASOBIは初めてかもしれない。2022年2月に4人の直木賞作家とのコラボプロジェクト「はじめての」を始動、この夏には初の夏フェスに出演するなど、活動のスケールを広げ続けているYOASOBI。ニューシングル表題曲「祝福」は、現在放送中のTVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(TBS系)のオープニングテーマ。主人公の少女 スレッタ・マーキュリーの葛藤と成長、そして、彼女と運命を共にするモビルスーツ ガンダム・エアリアルの関係を軸にしたこの楽曲は、鋭利な疾走感、スリリングなアレンジ、凛としたメロディが一つになったアッパーチューン。しなやかさ、美しさ、強さを共存させた音像は、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の世界観を際立たせると同時に、YOASOBIの新機軸を鮮やかに示している。(森)


■Mrs. GREEN APPLE『Soranji』


 透明感と力強さを同時に感じさせる声、〈貴方に会いたくて/生まれてきたんだよ〉というフレーズが聴こえてきた瞬間、切なさ、愛しさで胸がいっぱいになる。今年3月に約1年8カ月ぶりに活動を再開させたMrs. GREEN APPLEのニューシングル表題曲「Soranji」は、映画『ラーゲリより愛を込めて』主題歌に起用された壮大なバラード。ドラマティックに広がっていく旋律、クラシカルな荘厳さをたたえたストリングス、そして、何気ない日々を繋いでほしい、とにかく生きていてほしいという切実な願いを込めた歌詞は、J-POPの枠を大きく超え、普遍的としか言いようのないパワーを放っている。カップリングには映画『ONE PIECE FILM RED』の劇中歌であるAdo「私は最強」のセルフカバー、音楽と香水のコラボプロジェクト「PARFA TUNE(パルファチューン)」から生みだされた「フロリジナル」を収録。(森)


■緑黄色社会『ミチヲユケ』


 9月に自身初となる日本武道館公演も成功させ、勢いに乗る緑黄色社会が6thシングルをリリースする。表題曲の「ミチヲユケ」は、ドラマ『ファーストペンギン!』(日本テレビ系)主題歌として書き下ろされた。〈Be free!〉という力強いメッセージとともに幕を開け、新たな世界を切り拓こうとする決意を高らかに歌い上げる。フリースタイルジャズを彷彿とさせる複雑かつアグレッシブなトラックと、それに負けじと挑戦的な様相を見せる長屋晴子のボーカルが強烈なグルーヴを創出。ドラマの世界観のみならず、バンドのあり方までも示したようなアンセムに仕上がった。また、カップリングにはFUJIFILMのCMソングとしてもオンエア中の「Don!!」を収録。軽やかでダンサブルな曲調は彼らの面目躍如とも言え、ライブ映え必至の楽曲だ。(渡部)


■菅田将暉『クワイエットジャーニー – EP』


 10月28日からスタートした3年ぶりの有観客ライブツアー『クワイエットジャーニー』。本作はバンドメンバー“KNEEKIDS”と共同制作された4曲を収めたEPだ。抑制を効かせたバンドサウンドとともに、静かな熱を帯びたメロディと〈静かな旅にでよう〉〈誰も知らない話をしよう〉というラインを描く表題曲「クワイエットジャーニー」、ソウルフルな横揺れのグルーヴが心地いい「ゆだねたギター」、サイケデリックに揺らめく「愛と右脳 (菅田将暉 + sooogood!)」、80年代ニューウェイブを想起させる音響と〈愛のない時代〉をテーマにした歌詞が響き合う「八月のエイリアン」。全編を通し、気の置けない仲間と自由にクリエイティブを発揮する菅田の姿が浮かび上がる。CDジャケットのイラストも菅田の筆によるもの。(森)