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今年も絶好調のランボルギーニCEOに現状を聞く

2022年11月07日 17:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
2022年も記録的な好業績を続けるランボルギーニ。同車の主力モデル「ウルス」は新型になったが、現時点での手ごたえは? フェラーリの新車「プロサングエ」登場の受け止めは? 同社CEOのステファン・ヴィンケルマンさんにオンラインで話を聞いた。


○「プロサングエ」はライバルではない?



2022年1~9月におけるランボルギーニの販売台数は7,430台。昨年同期比8%の増加で、日本は26%の伸び率だったという。9カ月の売上高は19.3億ユーロ(前年同期比30.1%増)、営業利益は5.7億ユーロ(同68.5%増)。売上と台数は通年で過去最高を狙える水準だ。



全モデルのうち最も販売台数が伸びたのは「ウラカン」の2,378台(11%増)。スーパーSUVの「ウルス」は4,834台(7%増)だった。V12エンジン搭載の「アヴェンタドール」は2022年9月に生産終了。2023年からは全モデルの電動化(ハイブリッド化)に突き進み、次なるステップとして全車の完全なる電動化(EV化)も視野に入っている。


半導体不足やロシアによるウクライナ侵攻の影響で生産に影響を受ける自動車メーカーが多い中、ランボルギーニは順調に事業を続けている様子。その理由はヴィンケルマンさんによると、「ランボルギーニはフォルクスワーゲングループの中では非常に小さなブランドで、ウルスについては半導体を優先的に回してもらえます。スーパースポーツモデルについては調達部門が非常にいい仕事をしてくれていて、必ずどこかから半導体を見つけてきてくれます。国際情勢についてはウクライナからケーブルを調達してウラカンに使っているんですが、影響は数日間で改善できました」とのことだ。



ウルスについてはパフォーマンス重視の「ペルフォルマンテ」とラグジュアリーな「S」の2モデル展開となったが、販売は引き続き好調なようだ。ただ今後は、スーパースポーツモデル(ウラカンとアヴェンタドール)の販売比率を増やしていき、2025年にはスーパースポーツとウルスの販売比率を50:50に持っていく方針だという。


ウルスは今後もランボルギーニ主力となりそうだが、気になるニュースもある。フェラーリからSUV(?)の「プロサングエ」が登場したことだ。プロサングエはウルスの競合となるのか。ヴィンケルマンさんの答えはこうだ。



「プロサングエとウルスは、クルマとしてもエクスペリエンスとしても違うものだと思います。ただ、このセグメントではこういうクルマを多くの人が待ち望んでいるので、より多くのクルマが登場すれば、それだけ市場規模も成長します。そういう意味で、プロサングエは成功を収めるでしょう。我々のブランドは特殊な顧客に向けたものですので競争は限られますが、(個別のクルマについての話ではなく)ブランドとして、フェラーリが競合であることは間違いありません」



通訳さんを介してのインタビューだったのでヴィンケルマンさんの思いを完全に理解できたかどうかはわからないが、おそらく、プロサングエとウルスは商品性の全く異なるクルマだし、このくらいハイレベルな戦いになると、いわゆる「競合」の関係にはならない、といったところなのだろう。フェラーリとウルスは、1人の客を取り合うという意味での競合関係にはない。プロサングエを買った人が、数年後にウルスに乗り換えてくれればそれはそれで結構。市場自体の拡大はランボにとってもグッドニュース。こんな感じなのかもしれない。



最後に、ランボルギーニのお客さんが気にしているかどうかはわからないが、価格について。自動車の値上げが相次いでいるし円安も気になるが、ランボルギーニはどう対応するのか。ヴィンケルマンさんによれば「お客さまからすると、為替の影響で価格が上下することは望んでいないはず。エンジン車、HV、EVの各タイプで、どのくらいの価格であれば受け入れられるものなのかは考えますが、為替変動を追いかけて価格を変えることはありません。インフレ率や材料費の変動などを見て価格を調整することはありますが、日本市場における大幅な価格上昇は全く考えていないです」とのこと。これで一安心だ。(藤田真吾)