三条陸、稲田浩司原作によるアニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」のイベント「ドラゴンクエスト ダイの大冒険 アニメ完結記念!ダイ!感謝祭」が、本日11月6日に東京・新宿バルト9で開催された。なお本記事には最終回までのネタバレが含まれるので、未視聴の方はご注意を。
【大きな画像をもっと見る】2020年10月から2022年10月まで、2年間にわたり全100話が放送された「ダイの大冒険」。イベントでは97話から100話までが上映されたのち、ダイ役の種崎敦美、ポップ役の豊永利行、レオナ役の早見沙織、クロコダイン役の前野智昭、唐澤和也シリーズディレクターが登壇し、ネタバレありで熱い思いを語り尽くした。完結を見届けたファンの大きな拍手に包まれながら登壇したキャスト陣は、「やばいですね!」「すごい空気ですね!」と早くも胸いっぱいの様子。「今日はなんでもお話いただければ」と司会者が促すと、豊永は「まずは(原作の)第1話『デルパ!イルイル!』から語っていきましょうか」と意気込んでみせ、集まったファンを笑わせた。
全100話をかけて原作の最後までを描き切った今作。唐澤監督は「全100話になることは最初から決まっていたので、尺がもっと欲しいと思いながら断腸の思いで調整していって。シリーズ構成の千葉(克彦)さんに100話分にしていただいて、三条先生と稲田先生にチェックしていただいてまとめたような形です。ファンの皆さんが本当に温かく、事情を汲んでいただいて、この場を借りてお礼を申し上げます」と感謝を述べる。豊永が「一番(話したいことが)溜まってるのは前野さんだと思うんです」と「ダイ大」の大ファンである前野に水を向けると、「キルバーンはどうやって倒したらよかったんですかね!」と熱く語り始めた前野。「おっさんとチウはレベル外ってことか」というポップのセリフにも触れ、「我々は10日間つながれてて、やっと解放されたと思ったらモンスターと戦って……」とそこに至るまでクロコダインがいかにダメージを受けていたかアピールしてみせる。アフレコ前の豊永にも「あのセリフ、アドリブでもっと柔らかい言い方に変えてよ」と声をかけていたというエピソードも明かされ、クロコダインへの愛情をにじませた。
早見は最終回で印象的だった場面として、「ダイくんが剣をソアラさんと見紛うシーンで、画面がピンクとオレンジが入り混じったような色になるんですが、最後にダイくんが帰ってきてみんなの顔を見るときに、同じカラーリングになるんですよ。『太陽が受け継がれて帰ってきたんだ』みたいな気持ちになって、泣けてきちゃって」と話す。すると唐澤監督は「狙い通りです! 僕が今泣きそうです」と演出意図が通じていたことに感激。また種崎が「豊永さんと2人で、最後の叫びのところだけやり直しさせてもらったじゃないですか。ホントに最後の最後だし、ちょっとでも悔いを残したくないと思って、めちゃめちゃ叫ばせてもらってすみませんでした」と唐澤監督に感謝を伝えると、原作では無音で表現されていた鬼眼王バーンを斬るシーンについて、「種崎さんの叫びをひたすら引っ張れるように尺を取ったんです。種崎さんは叫ぶセリフにすごくこだわられていたので、そこに種崎さんの2年以上積み重ねたものをすべてぶつけてほしいなと思って」と、唐澤監督からその意図が明かされた。さらに豊永がエンディング曲の歌詞が最終回にぴったりだと話すと、唐澤監督いわく、最終回に合わせて曲を作ってもらうよう最初にオーダーしていたという。この驚きの事実には、客席からも感嘆のため息が漏れていた。
種崎からは「私の幼なじみが、2人の男の子と『ダイ大』を一緒に観てくれていて。子供に『ダイくんいなくなっちゃったね、寂しいね』って言ったら、『剣が光ってるから生きてるよ』ってすぐ返ってきて感動しちゃった、ってLINEが来たんです」といううれしいエピソードも。唐澤監督は、「やっぱり今の子供たちに観ていただきたかった」と思いを語り、「そして今の子供たちがまた親になったときにも、子供たちに観せてもらえたら。20年後、30年後に観ても色あせないクオリティで残せたと思いますので、それはすごく誇りだなって思っています」と作品の出来栄えに胸を張った。
トークでは現場の熱量の高さが感じられるエピソードが次々と飛び出す。第1作のアニメで描けなかった部分へ突入した25話に思い入れが深いという前野は、「ここからは前人未踏のシーンになるから、気合入れていかなきゃいけないぞって思いで現場に行ったら、トッシー(豊永)も同じことを言ってて。そしてアフレコが始まる前に唐澤さんも『ここから先はかつてアニメで描かれなかったところなので……』って言ってて、それがすごくうれしかったんです」と、同じ思いをともにした現場を振り返った。最終回の収録後にはサプライズで三条・稲田が登場したそうで、豊永と前野は作品の裏話を必死で2人から聞き出したそう。愛が止まらない豊永と前野は「今週102話が放送されましたけど」「来週はデルムリン島の話ですよね」と最終回後について妄想トークも繰り広げ、前野が「神よ……!! 人間の神よ!!!」というハドラーのセリフになぞらえながら「いつか続きが観たい」と熱望すると、観客からも大きな拍手が贈られた。
ここまで誰よりも饒舌に語り続けてきた豊永だが、最後の挨拶では「僕にとっての『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』は、僕の人生のバイブルです。そんな『ダイの大冒険』を約30年越しに、まさか自分が演じる日がくるとは、思っておりませんでした」と静かに話し出す。「ダイの大冒険」への思い入れの深さ、それゆえに役が決まったときのプレッシャーが大きかったこと、現場の温かさに支えられたことと、真摯に言葉を紡いでいく豊永。そして「子供だった頃の自分に、『ポップをまっとうできたと思うよ』って……胸を張って言える100話になったんではないかと。今日皆様が温かく拍手で迎えてくださったことによって、小さい頃の僕も報われた気がします」と涙ぐみながら語り、「自分の人生という大冒険を過ごしていく、勇者の1人として精進していこうと思います。これからも皆様の人生という大冒険を、陰ながら応援しております」とファンへメッセージを贈った。
種崎はそんな豊永に「ずっとありがとうございました」と感謝をしつつ、「今日この会場に来て、観てくださってる方も一緒に作ってたんだなと思いました。だから、こんなに幸せなアニメになったんだなって思いました」とファンに向けて胸いっぱいの思いを伝える。そして「最後に1個だけ、俺の願いを叶えてくれ!」と切り出し、「ダイ好きTV」でおなじみとなっていた「ダイ好きストラッシュ!」の決まり文句を、それぞれの技名をあてはめて全員で披露。まさに大団円といった幸福感たっぷりの空気の中、イベントは幕を下ろした。
なおトークパートの模様は後日アーカイブ配信予定。詳細は決定次第、アニメの公式サイトやTwitterで告知される。またイベントに参加できなかったヒュンケル役・梶裕貴から豊永に送られたものの、「長すぎて紹介できなかった」というLINEのメッセージが梶のTwitterにアップされているので、合わせてチェックしてみては。
※種崎敦美の崎はたつさきが正式表記。
※記事初出時、本文に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
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