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ついに統一教会と連絡を断った母、アベルから再三の反論…脱会日記(下)

2022年11月06日 11:11  弁護士ドットコム

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(安倍晋三元首相の銃撃事件以降、旧統一教会の被害を訴える相談が相次いでいます。弁護士ドットコムニュースは、ある信者家族の3カ月を取材。30代男性に、60代の母親が脱会するまでの軌跡を語ってもらいました。母ヨウコさんは30年以上、旧統一教会に入信しています。サークル活動程度と目をつぶってきた子どもたちは7月、母の脱会に向けて立ち上がります。3カ月後、教会について疑問を持ち始めた母に、いよいよ究極の質問を向けました)


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脱会日記(上)「母の統一教会脱会日記…銃撃事件を機に始まった家族全員の苦闘3カ月 」
脱会日記(中)「母に変化の兆し 2世小川さゆりさんの会見に戸惑う「なぜ娘にこんなことするの?」



「家族と教会、どっちが大事なの?」



母は家族だと言ってくれました。教会といったん連絡を断って、家族だけの時間を過ごさないかとの提案に、意外とすんなり承諾してくれました。



家の電話を切り、インターホンはカメラ付きに変えました。そして母の了承を得て、携帯からアベル(いわゆる教会の上司)に「お世話になっています。ヨウコの息子です。これから家族の話し合いが始まります。心配だと思いますが、しばらくそっとしておいてください」とLINEしました。



するとアベルは時候のあいさつもまったくなく「ヨウコさんと連絡が取れないということですか? 手元に携帯がないってことですか?」と不躾に送ってきました。私が「母の承諾を得て携帯を預かっています」と返信すると、既読スルーでした。



●決意した母、しかし悪夢や幻聴も…

母はアベルからの連絡を気にしていました。「あれから連絡ない?」「どうだった?」と聞いてきます。「既読スルーだった、失礼だよな」と伝えると、少し悲しそうでした。



その後は伯母とコンサートに出かけたり、カウンセラーと雑談をしたりして過ごしました。脱会した方の本や、文鮮明一族の話が書かれた本を読むと「信じられない、なんで今までこの事実が出てなかったの」といい、心を開き始めていると感じました。



このころの母は「どちらの意見もわかる」という狭間で苦しんでいるようでした。マインドコントロールされていたという自覚も出始めましたが、やはり心がついていかなくて、落ち込む日もありました。教会の人が家に押しかけてくる悪夢を見たり、スーパーへ買い物に出かけた際、「ヨウコさん!」と声をかけられた気がすると言ったりしていました。



とうとう母は脱会を決意しました。アベルに自分で直接電話をして「もう行かない」とはっきり言っていて、びっくりしました。アベルはしつこく反論していましたが、母の意思が固いとみるや、信者のグループLINEから即脱退させました。



「ばーばがこんなに早く気付いてくれるなんてびっくりしたよ!」と言った小学生の孫に対し、母はこう言ったそうです。



「子供を産んでよかった。みんな心配してくれて、本当にごめんね。もう大丈夫だからね」



●いまも悩む誰かの助けに

しばらくは私たちの家に泊まったり、誰かが実家に行くなどして母を一人にさせないようにしています。母は通帳を見て「なんでこんなに献金しちゃったんだろう」と悔やんでいます。



もともと脱会が目標ではなかったものの、家族がしっかり寄り添うことの大切さを感じました。教会に戻る「揺り戻し」や精神面も心配です。今後も引き続き、家族みんなでケアしていきます。



今、この瞬間も身近な人の脱会について悩んでいる人が全国にいらっしゃると思います。私たち家族の一例が、少しでも助けになれば幸いです。



全国統一協会被害者家族の会(通称:家族の会)
相談電話:水曜080-5079-5808 金曜080-5059-5808(いずれも13:00~16:00)
・「カルト問題相談会」(都内) 11月18日(金) 13:00~15:00
・「家族の会」相談会(都内) 11月26日(土)要申し込み