2022年11月02日 17:51 弁護士ドットコム
刑務所に服役していた受刑者がクリスマスカードを購入して家族に送れないのは、人権侵害にあたるとして、福島県弁護士会は、福島刑務所にそのようなルールを廃止するよう勧告した。勧告書は10月31日付。
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県弁護士会によると、30代の男性受刑者(当時)が2020年12月のクリスマスに向けて、娘宛てにカードを購入しようとしたところ、刑務所の職員から「お前クリスチャンか?」「クリスチャンじゃないと買えない」などとして、許可されなかったという。
福島刑務所の内規では、クリスマスカード購入の要件として、「発信者(被収容者)がクリスマスカードが一般的慣習として認められる国の国籍を有していること又は発信相手が同様の国籍を有していること」と定めているという。
しかし、刑務所では具体的な国を定めておらず、「日本」は該当しないという。
弁護士会は、家族など、親しい関係の人にクリスマスカードを送るようなコミュニケーションを認めることは「受刑者の社会的再統合の促進にとって重要」と指摘する。
さらに、刑務所内からの発信は、通常の便せんを使うことでも可能となるが、クリスマスカードの使用は、幸福追求権や表現の自由といった憲法で保障されるべきものだとしている。
県弁護士会の会長をつとめる紺野明弘弁護士は11月2日、弁護士ドットコムニュースの取材に「規定通りであれば、日本国籍の受刑者はクリスマスカードを送れないことになってしまいます。クリスマスも近いです。この刑務所だけのルールであれば、所長がすぐに変えられるはずです」と廃止を求めた。