2022年11月01日 18:01 弁護士ドットコム
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)が、テレビ番組などでの発言で名誉を傷つけられたとして、番組でコメンテーターをつとめる紀藤正樹弁護士やテレビ局などを提訴したことを受けて、有志の弁護士や学者が11月1日、「スラップ訴訟だ」とする声明を発表した。
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弁護士らは「このような訴訟は教団の問題を報じるメディアの萎縮を狙ったもの」と指摘したうえで、報道機関や訴えられた弁護士に「言論を自主規制するようなことがあってはならない」とエールを送った。
旧統一教会は9月、「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ)や「ひるおび」(TBS)といったワイドショーでの発言で名誉を傷つけられたとして、損害賠償や謝罪広告をもとめて裁判を起こしている。
教団は、TBS、読売テレビの各局と、紀藤弁護士、本村健太郎弁護士、八代英輝弁護士の3人を訴えていた。10月にも、日本テレビとTBSラジオの各局と、ジャーナリストの有田芳生氏を提訴。さらに紀藤弁護士に再度の訴えを起こしている。
こうした教団の訴訟に反対する声明を発表したのは、呼びかけ人の「23期・弁護士ネットワーク」の弁護士らだ。
10月分については訴状を確認できなかったため、9月の裁判のみを対象としているが、 教団による提訴を「スラップ訴訟」だと指摘している。
声明で、〈状況から見て、本件3訴訟は、被告とされた報道機関と発言者を威嚇することで旧統一教会批判の言論封じを目的とした、典型的なスラップ訴訟と考えざるを得ません〉と批判した。
声明には、学者や宗教家ら計271人が賛同。そのうちの1人で、旧統一教会の問題にくわしい北海道大学大学院文学研究院の櫻井義秀教授は「いずれ、私にも来るかもしれませんが、法廷で統一教会の理非について明確にするのがよいかと思います」とコメントを寄せた。
呼びかけ人の澤藤統一郎弁護士は、この日の記者会見に集まった報道陣の前で「報道機関各社がスラップに萎縮して統一教会批判の言論を自主規制するようなことがあってはならない」と呼びかけた。
今回の声明について、旧統一教会は「事実とは異なる報道に対する、正当な名誉毀損訴訟であると考えております」と取材に回答した。
(11月2日:教団側の回答を追記しました)