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SixTONES、今市隆二、OWV、KANA-BOON、YUKI……11月2日リリースの新譜5作をレビュー

2022年11月01日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

今市隆二『GOOD OLD FUTURE』(CD+Blu-ray)

 毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は11月2日リリースのSixTONES『Good Luck! / ふたり』、今市隆二『GOOD OLD FUTURE』、OWV『Let Go』、KANA-BOON『きらりらり』、YUKI『Bump & Grind』の5作品をピックアップした。(文:森=森朋之、松本=松本侃士)


(関連:SixTONESというグループを追うおもしろさを実感 「Good Luck!」「ふたり」でも成立させた幅広い挑戦


■SixTONES『Good Luck! / ふたり』


 ジャニーズやアイドルという枠組みに囚われることなく、次々と新しい音楽性に果敢に挑戦し続けているSixTONES。そのスタンスは、今年の年明けにリリースされた2ndアルバム『CITY』において一つの美しい結実を見せた。そしてその快進撃はさらに加速していて、早くも今年3枚目のシングルが届けられた。1つ目の表題曲「Good Luck!」は、カラフルで眩い輝きを放つ痛快なポップチューンで、いわゆる王道のジャニーズポップスが彼らのシングル表題曲となるのは今回が初めて。これまでオルタナティブな精神を掲げながら活動を続けてきたSixTONESの楽曲の中で、こうした王道ナンバーは逆に異端に映るが、この曲には、6人のエンターテイナーとしての確固たる矜持が貫かれている。そしてそれは、先輩たちが長年にわたり大切にし続けてきたジャニーズアイドルの信念そのものであり、そのイズムを継承した同曲は、2020年代における新しいジャニーズアンセムの一つとして長く愛されていく楽曲になるはずだ。もう1つの表題曲「ふたり」は、春にリリースされた「わたし」と対を成すような清廉なラブバラード。多彩な音楽ジャンルに挑みながら、同時に歌をより洗練させるための成果が、見事に表れている。グループとして、どこまで深い表現を追求できるか。SixTONESの妥協なき挑戦は続く。(松本)


■今市隆二『GOOD OLD FUTURE』


 アルバムタイトル『GOOD OLD FUTURE』は“古き良き未来”を意味する造語。今市のルーツであるオーセンティックなR&Bを現代的なポップミュージックに結びつけようとする試みは、Silk Sonicに象徴されるここ数年のグローバルポップの潮流とも合致している。90年代US・R&Bを代表するプロデューサー ゴードン・チェンバースを招いた、まさに“懐かしくて新しい”R&Bバラード「Don’t Give Up」、今市の音楽的盟友であるYVES&ADAMSとコライトによる濃密にして官能的なグルーヴナンバー「ROMEO + JULIET」など、明確なビジョンを感じさせる作品に仕上がっている。母親という存在に捧げた「Song for Mama」は、彼自身が作詞を担当。実体験を反映させつつ、誰もが共感できるメッセージソングへと昇華している。(森)


■OWV『Let Go』


 オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』(GYAO!/TBS系)に出演経験がある4人で結成され、2020年秋にデビュー。これまで発表したシングル6作がすべてオリコンチャートで5位以内に入るなど、確実に存在感を強めているボーイズグループ OWVからニューシングル『Let Go』が到着。表題曲はサブベース、キックを強調したトラックとギターサウンドを軸にしたミディアムチューン。憂いと切なさが溶け合うメロディに乗せ、“君”への思いを吹っ切ることができない“僕”の感情をエモーショナルに歌い上げている。これまでのアッパーなダンスチューンだけではなく、歌で勝負できることを示した楽曲と言えるだろう。カップリングには強靭なビートが心地いいアッパーチューン「Tararam」、開放的なトラックと“君ならできる”というメッセージが響き合う「Gonna Getcha」を収録。(森)


■KANA-BOON『きらりらり』


 表題曲「きらりらり」は、アニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』(テレビ東京系)のオープニングテーマで、KANA-BOONと『NARUTO』シリーズのタッグは今回が5度目となる。この曲は、2014年にアニメ『NARUTO-ナルト- 疾風伝』の主題歌として制作された「シルエット」の続きの曲として位置づけられており、 〈大事にしたいものを持って/大人になれたよ〉という一節には、同シリーズと共に現在に至るまで成長を重ねてきた彼らの歴史が滲んでいる。また、初回生産限定盤にはこれまでの歴代タイアップ曲に加えて、『BORUTO』に捧げたというバンド史上最速BPMの痛快な新曲「Everlong」を収録したDISC 2が付属。さらに、KANA-BOONのメンバーが小学生当時に放送されていたアニメ『NARUTO』主題歌のASIAN KUNG-FU GENERATION「遥か彼方」のカバーも収録。彼らから絶大な影響を受けているというだけあって、『NARUTO』およびアジカンへの愛を同時に炸裂させるようなパワフルな歌と演奏に強く胸を打たれる。(松本)


■YUKI『Bump & Grind』


 今年2月にデビュー20周年を迎えたYUKI。EP『Free & Fancy』(5月リリース)に続く第2弾EP『Bump & Grind』は、エッジーでポップなYUKIの魅力が前面に押し出された作品となった。「タイムカプセル」では、80’sニューウェイブを想起させる音像ととともに〈アイ・ラブ・ユー 叫んだら 喉から手が出る〉と欲望を解放させ、「My Vision」ではオルタナ経由のロックンロールのなかで、思わず“ロリータパンク”と呼びたくなるボーカルを奔放に響かせる。さらに「Oh!ベンガル・ガール」では、古き良きUKポップをモチーフにしたサウンドと〈俺が君だけの運命さ〉とロマンティックな感情を映し出す。恋すること、自分らしくあること、楽しさを率直に求めることの素晴らしさが真っ直ぐに伝わってくる作品だ。(森)