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「パトレイバー2 the Movie」トークショーで出渕裕が新作「EZY」の悩みどころを明かす

2022年10月30日 12:07  コミックナタリー

コミックナタリー

出渕裕
「機動警察パトレイバー2 the Movie」のサウンドリニューアル版の上映が、「第35回東京国際映画祭」の一環として、昨日10月29日に東京・角川シネマ有楽町で行われた。

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10月24日から11月2日にかけて開催中の「第35回東京国際映画祭」。その「ジャパニーズ・アニメーション部門」に選ばれた「パトレイバー2 the Movie」は、ゆうきまさみ、出渕裕、伊藤和典、高田明美、押井守によるユニット・ヘッドギアから生み出された「機動警察パトレイバー」プロジェクトの劇場作品2作目で、1993年に公開された。監督を押井、脚本を伊藤、キャラクターデザインを高田とゆうきが手がけ、メカニックデザインとして出渕、河森正治、カトキハジメらが参加している。

上映後に催されたトークショーには出渕と、MCとして「ジャパニーズ・アニメーション部門」のプログラミングアドバイザー・藤津亮太が登壇。「パトレイバー」が30年という時を超えて愛されるタイトルになった理由について、藤津は特車二課の純警察用レイバー・イングラムのデザイン、そしてパトカーが汎用人間型作業機械・レイバーになっているという明確なコンセプトが強かったのではと分析する。どう思うかと問われた出渕は「こんなに息が長くなるとは思わなくて、僕としてもうれしい誤算ではあるのですが、続けていくうちに、(新しいレイバーを作ろうと思っても)あれ以外の形にできなくなってるところがあるんですよね。最初のOVAシリーズと「パトレイバー the Movie」にレイバーが存在するために作った、『バビロンプロジェクト(東京湾に大堤防を建設する国家事業)』という頓知……方便があるうちはいいんですけど、それが物語になくなったら、レイバーの存在意義なんかないよねって。ただでさえ第二小隊は警視庁のお荷物みたいな描かれ方をしているのに、理屈で考えると新たに予算を割くとは到底思えない。でも、そこを掘ると成立しない世界だし、逃げられない部分だけど、もっともらしくどうかわしていくか。その塩梅が頭を悩ますところではありますよね。こういう話をしちゃったのは、新作タイトル「パトレイバーEZY」を制作している中で、そういう問題にぶち当たっている最中だからなんです」と、鋭意制作中の「EZY」での悩みどころを打ち明ける。

さらに出渕は、「EZY」が具体化する前に別の形で打診があったことを告げる。そのときにも今の問題に苦悩したという出渕は「『パトレイバー2 the Movie』では、『バビロンプロジェクト』はなかったことになっているんです。劇中で東京湾が映りますよね。『バビロンプロジェクト』が進行していたら、完成するか、まだ工事中のはずだとしても、あそこに絶対何か映るはずなんですけど、橋が架かっているだけなんです。押井さんは『いいんだよ、別にもう客は忘れてるから』っていうスタンスで。厳密に考えると、押井さんの言う通りなんですよ。それはもう言い訳は済んだんだから。ただ「EZY」を作るにあたって、新たな方便は必要なのか。あまりかっちりしすぎても逆に足枷になるし、難しいですね」と続けた。

「ジャパニーズ・アニメーション部門」の今回のテーマは「アニメと東京」。藤津はバブルの後の風景、バブル真っ只中の風景を描いているところがよいと思ったのもあり、「パト1」と迷った末「パトレイバー2 the Movie」を選んだという。それに関して出渕は「バブルが弾けるか弾けないかみたいなときだったと思うんですけど、あの滅び行く、『グッバイ昭和』みたいな部分がやっぱり、みんなの中に心象風景としてあったし、時代性という意味では、未来の東京都、10年後の東京と言いながら、あのときの東京を切り取れたのは、とてもタイムリーだったと思います」と語った。

また「今僕らが作っているのは劇場版ではなくシリーズで、『WXIII』の世界の時代から30年、今から10年後の東京が舞台です。常に『パトレイバー』は10年後と言いながら、今をベースに描いているので」と言い、「出てくるガジェットも新しくしようと試みていますね。今回の『パトレイバー2 the Movie』もそうですけが、車は河森くんがデザインしてくれています」と近況を伝え、トークショーは締めくくられた。