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村社会は恐ろしい? 「常に監視されている」なんて言うけど…

2022年10月29日 17:20  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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田舎出身の松本ミゾレである。僕が生まれ育ったのは九州で、いわゆる男尊女卑の傾向が残る地方だった。正月の集まりになると、男連中は飲んでばかりで、女性たちはその間、炊事場でひたすら料理と酒の手配に明け暮れる。そういう光景が、昭和の終わりから平成の初期ぐらいまでは当たり前であった。

俯瞰で見れば異常なんだけど、地域柄というか、中にいる間はその異質な様子になかなか気付けないものである。でも今はそういう風潮も、だいぶ薄まってきたんじゃないかな。親戚連中と折り合いがつかず、もう20年ほど集まりにも顔を出してないので分からないけれど。(文:松本ミゾレ)

「車がなければ、『どこ行った?』って聞かれる」

先日、ガールズちゃんねるで「村社会の恐ろしさ」なるトピックを発見した。ここには村社会の洗礼を浴びた人たちや、村社会の一員からの書き込みが寄せられている。面白い声も多いんで、ちょっと引用させていただきたい。

「無いことまで事実となって噂で広まる。職場と一緒」
「つねに監視されている。車がなければ、『どこ行った?』って聞かれる」
「東京から戻ってきた人は『都落ち』と陰口たたかれる」
「暇な老人達が常に監視」
「コロナになった家族がいたら全員で引っ越しした知り合いがいる」

と、一部をさらっただけでも結構重めの内容がいくつか。

中でも目を引くのが、陰口や監視にまつわる話。ここで挙げてないだけでも他に同様の話は結構あった。凄く興味深いし、時間つぶしに最適な情報量なので、ぜひ元のトピックを皆さんにも読んでいただきたい。

僕自身も田舎に生まれ、地元を出て別の田舎に引っ越したこともあったが、やっぱりよそ者にドライだと感じたことがあった。たとえばよそ者である僕だけ自治会費を払ってもお祭りの案内が来なくて、参加しなかったら文句言われたり。僕だけゴミ袋を捨てる時間や分別方法に監視が入ったり。

ほかにも、僕が住んでいるアパートでどっかの誰かが野良猫に餌付けしてたら、何故か僕のせいにされて玄関に「餌をやるな」って殴り書きの紙が貼られていたり。こういうひどい扱いを実際受けてきた。ただまあ、彼らを擁護するわけじゃないけども仕方がない側面もあるのだ。

地域の「見守り」という側面も

僕自身、田舎で育ってきた人間なので、都会の人よりも田舎の人たちの考え方、価値観を理解できる。まず田舎って娯楽がない。だから隣近所や、同じ町内の誰それの話題が、芸能ニュースとほぼ同じような括りになったりする。

特に高齢者ほどその傾向は高くなり、ご近所ゴシップで盛り上がるわけだ。それぐらいしか刺激も楽しみもないので、これはもう仕方がない。

また、監視が村社会の特徴とみなすような声もあったが、村八分まで行かないレベルでも、やっぱりよそ者をちょっと警戒する人は一定数いる。だからついつい動向を目で追ってしまう者も出るわけだ。他に娯楽もないわけだし。

それに、相互監視と捉えられるようなことだって、当事者からすればご近所のだれそれがちゃんと生きてるか、元気でやってるか確認しているため、という側面もある。特に独居老人だと地域での「見守り」という観点から、時としては勝手に家の中に入ってきてまで無事かどうかチェックする場合もある。

僕の地元も大体そうで、昔は家なんてどこも施錠してなかった。流石にちゃんとした家となると施錠してただろうけど。

別に田舎の人は意識してよそ者を敵視しまくってるわけじゃない。ただ、自分たちの尺度によそ者も当てはめてたくなる部分があるので、そこで齟齬が生まれちゃうのだろう。話せばわかりあえる部分もあるんだけどね。

一方で、田舎暮らしって良い側面も多いもの。自然もあって土地も広く、家賃だって安い。あと、気に入られれば野菜なんか隣近所から差し入れされることもあるんで、食費が浮く。だから、都会暮らしの人がのんびり余生を送るために、田舎へのIターン移住を検討するのも良いだろう。ただしその場合、絶対に地域の特性を事前リサーチしておきたいところだ。