左から読売テレビのプロデューサー・汐口武史氏、東宝の宣伝プロデューサー・林原祥一氏、東急グループの星野ゆり氏、大地丙太郎監督。 トークイベント「名探偵コナン プレミアムトークナイト」が去る10月27日に東京・東京カルチャーカルチャーで開催され、劇場アニメ「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」とTVアニメ「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」に関するトークが2部にわたり繰り広げられた。
【大きな画像をもっと見る】 11月9日に「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」Blu-ray / DVDがリリースされることを記念し、本日10月28日から11月7日までの期間限定で“ハロウィン再会(リバイバル)上映”が行われる「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」。第1部の「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」パートには読売テレビのプロデューサー・汐口武史氏、東宝の宣伝プロデューサー・林原祥一氏、東急グループの星野ゆり氏が登壇した。
声優のアフレコ時を振り返り、現場に立ち会った汐口氏は「警察学校組の5人の皆さんが揃うときは、和やかには進んでいくんですけど、緊張感というか、『何かすごいことが始まるぞ』という空気がありました」と述懐。司会に「チームワークがいいなと感じた瞬間は?」と問われると、「(高木渉役の)高木(渉)さんと、(佐藤美和子役の)湯屋(敦子)さんがおふたりとも分厚い台本の中で、示し合わせたわけではなく、『ここだな』っていう同じシーンに印をつけていて」と明かし、「皆さんだったらあのシーンだなっていうのは(わかりますか)……?」と客席に尋ねると観客は大きくうなずいた。
渋谷を舞台に物語が展開される「ハロウィンの花嫁」。実際の地名や建物が多数登場する同作について、汐口氏は「爆発は春の季語と言われていますが(笑)、“渋谷の高低差を活かした爆発”という話があった中から、渋谷区さん、東急さん含め皆さんにご協力いただき、現在の渋谷や開発後の未来の姿を描いていきました」と説明した。
プロモーションにおいても渋谷の街でさまざまな展開が行われたことについて、かねてより「コナン」ファンであるという星野氏は「映画を観た方に実際に渋谷に来ていただいて、映画の世界観を追体験していただきたいと思い、公開時期に合わせて渋谷の街でラリーを行って皆さんに街を歩いていただいたり、あとは東急電鉄としてはほとんど初の試みなんですが、キャラクターの声で駅の構内アナウンスをやっていただいたりしました」と振り返る。また「本編には出ていないんですが、鈴木財閥であればきっとホテルはやっているだろうということで、エクセルホテル東急で『ベルツリーホテル』という名前を使わせていただくことができました」と話し、「ホテルの担当者の方から『お客様からお手紙をいただいた』というお話を聞いて、そのお手紙を私も見せていただいたんですが、皆さんからとても心のこもったお手紙をたくさんいただいて、スタッフではないんですが私自身が泣きそうになりました」とうれしそうな顔を見せた。
またプロモーション期間に4種類のポスターが制作された「ハロウィンの花嫁」。これについて林原氏は「いかに『コナン』のファンの方々を感動させるか、楽しませるかというところをかなり大事にしてお仕事していまして。最初の情報を発表した時期がハロウィンに近かったということで、(警察学校組がハロウィンの仮装を楽しむ)ビジュアルが完成したんです」と解説する。そして「このビジュアルに対しての何かしらのアンサーが必要だという企画を実現したのが“サクラビジュアル”になります。いなくなってしまった人たちの中に、今いる人が生きていて、というのが『ハロウィンの花嫁』のテーマにもなっていたので、それをビジュアルという形で皆さんに楽しんでいただけるためには何をしたらいいかと思い制作しました。結果的に最後に“希望”のビジュアルを作れたのは(全体を)通したプロモーションとしてもよかったと思います」と述べた。
第2部では「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」のパートが展開され、監督の大地丙太郎が登壇。「お話をいただいたときはびっくりしたんですけど、『犯人側から描いたコナン、しかもギャグ!? ……いいっすねえ(笑)』みたいな感じで、前から『名探偵コナン』はやりたかったんですけど、まさかこんな形で参加できるとは思いませんで(笑)。むしろギャグのほうが僕はうれしいかなと思い、とても楽しく作らせていただきました」と笑顔でトークする。司会から「難しいポイントは?」との質問を受けると、「(アニメの)尺が長くないので、すごいテンポが速いんですよね。でも速いテンポで作るのは得意なので、今回も得意な部分を発揮させていただきました」とコメントした。
ここで会場では、アニメのオープニング主題歌「捕まえて、今夜。」を歌唱する新浜レオンのコメント映像を公開。「普段はあまり使わない声のトーンなども試行錯誤しながら使わせてもらって、少しでも『犯人の犯沢さん』の世界がこの曲から伝わればいいなという思いで歌いました」と楽曲に込めた思いを語り、「そしてオープニングの映像でなんとみんなが踊ってくれていて。犯沢さんもキレキレですから! 僕も犯沢さんに負けじとしっかりと踊っていきたいと思います」と意気込んだ。コメントを受け、大地監督は「今回『犯沢さん』のために作ってくれた『捕まえて、今夜。』はラブソングの中に犯沢さんらしいワードが入っていて、すごくうれしいです。踊りもいいでしょ? 本当にオープニングで温めてもらっている」と太鼓判を押した。
続けて犯沢さん役の蒼井翔太からのコメント映像も公開。蒼井はオープニングの犯沢さんのダンスを披露したのち「いろんなところのインタビューで大地監督に『蒼井翔太にギャグをやらせてみたかった』というお言葉をいただけていたので、僕自身新たな挑戦も含め、犯沢さんに命を吹き込めたらいいなと思いながら、一生懸命自分の滑舌と闘いながらアフレコさせていただきました」と笑顔で語る。また「犯沢さんは公式的にも性別不明というプロフィールなので、1話1話の中でいろんな声を使ってアフレコするように気をつけています。大地監督のナレーションも含め、ぜひ最後まで犯沢さんを応援していただけるとうれしいです!」とアピールした。
大地監督は「番組を観てもらうとわかると思うんですけど、この作品、8割から9割は蒼井くんが1人でしゃべってる。しかも一発でやってるんですよね。一発でやらなくてもいいよと思ったんだけど、まあ鬼ですね、現場も(笑)」と苦笑。「『名探偵コナン』に出てくるこの“黒い人”は最終的にはいろんな人なんですよね、おばあさんだったり男の人だったり。だから蒼井くんには『カットによってキャラクターを変えていいよ』という話をしたんです。例えば殺人を考えてるところの雰囲気は時代劇のようだったり、次のシーンではかわいかったり。そうやってころころと変わるキャラクターを演出するのは僕も初めてで。それを蒼井くんが幅広く、一発でこなすんですから。もう見事でした」と蒼井の技術を称えた。
さらにはエンディング主題歌「Secret, voice of my heart」を歌唱する倉木麻衣からのコメント映像も。「『犯沢さん』は吹き出しの“心の声”でストーリーが展開されていくので、私なりに『犯沢さん』の世界観に寄り添えられるように、“心の声”をキーワードに、葛藤する気持ちや舞い散っていくような気持ちを表現できるような楽曲を作っていきました」と制作にあたっての思いを明かした。「『コナン』と言えば倉木さん」と言う大地監督は「今回倉木さんにはエンディングをお願いしたんですが、オープニングは楽しい感じで始まって、本編は笑いありサスペンスあり、ハートウォーミングな部分もけっこうあって。目的は“殺人”なんだけども、犯沢さんの一生懸命がんばっている姿を観て、(本編の)ラストを迎えて『はあ……』とひと息つく。そこで倉木さんのエンディングがかかるから、昔で言うと火曜サスペンス劇場の『聖母たちのララバイ』のような印象ですね。サスペンスのあとに子守唄のような曲がかかる。この締め方が非常によかったですし、いい構成になったと思います」と作品全体への自信を覗かせた。
アニメ「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」はTOKYO MX、読売テレビ、BS日テレで放送中。Netflixでも独占配信されている。
(c)2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会