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伊達心眼流創始者・伊達軍曹の中古車道場破り! 第18回 ホンダ「フィット」がマイナーチェンジ! 前期型の中古が狙い目?

2022年10月28日 11:32  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
ホンダ「フィット」がパワーユニットを刷新するなどのマイナーチェンジを行いました。それはそれで魅力的なわけですが、マイナーチェンジが行われたということは「それ以前の世代の中古車がぐっと安くなるかも?」ということでもあります。あえてマイチェン前のフィットを中古で狙うとしたら、選ぶべきはどのグレードなのでしょうか? リアルな中古車事情に詳しい伊達軍曹さんに聞いてみました。


○マイチェン前のフィットが安ければ…



現行型フィット(4世代目)は2022年10月6日、比較的大がかりなマイナーチェンジを実施した。マイナーチェンジの主な内容は、ざっくりいって「RSというスポーティーグレードの追加」「パワートレインの刷新」「安全運転支援システムの強化」。これらに加えて外観デザインの小変更も行われている。


本稿を書いているのは同年10月7日であるため、当然ながら、中古車市場にはまだ「マイチェンモデル登場の影響」はほとんど出ていない。だが今後、マイチェン版モデルの販売が本格化するにつれ、前期型の中古車相場がぐっと下がる可能性はある。



現行型フィットの前期型(=マイチェン前のモデル)は、ライバルであるトヨタ自動車「ヤリス」に販売台数では完敗を喫したが、良きコンパクトカーであったことは間違いない。それが、もしも後期型の登場によって平均価格が下落するのだとしたら……「もう圧倒的にお買い得かも!」といえる状況になるわけだ。



前期型フィットの中古車価格がどれくらい下がるのか現時点では未知数だが、今のうちから「で、前期型の中古車をなるべくお安く買うとしたら、どれをいくらくらいで買うべきなの?」ということを検討してみることにしよう。

○狙うべきは「ホーム」



現在、比較的お安く狙える前期型フィットは下記の3グレードだ。


ベーシック(FF):走行1万km台中古車の価格=約140万円~

ホーム(FF):走行1万km台中古車の価格=約150万円~

e:HEVホーム(FF):走行1万km台中古車の価格=約170万円~


ハイブリッド車であるe:HEVにも、さらにお安い「e:HEVベーシック」というグレードがあるのだが、こちらの中古車流通量はかなり少なめ。そのため実質的には、ハイブリッドの前期型フィットをお安く買いたい場合には「e:HEVホーム」が唯一の候補となるだろう。



ガソリンかハイブリッドかを問わず、「ベーシック」と「ホーム」の違いはおおむね下記のとおり。


ベーシック:シンプル系デザインを採用する基本タイプ

ホーム:ナチュラルな風合いのシートや本革巻きステアリングなどを採用するタイプ


このほかに「スポーティーで軽快なネス」「SUVテイストのクロスター」「本革シートなどを採用したリュクス」があり(※ネスは後期型では廃止)、ホンダは「各グレードの違いは“洋服のコーディネートの違い”のようなもので“優劣”ではない」といっている。

とはいえ、「ベーシック」はやや寂しいというか、素っ気ない印象が強い。そのため、「所有する満足感」みたいなものを感じやすいのは「ホーム」または「ホーム以上のどれか」だろう。そのため、お安く買える候補の記述は以下の2タイプに変更する。


ホーム(FF):走行1万km台中古車の価格=約150万円~

e:HEVホーム(FF):走行1万km台中古車の価格=約170万円~



○ガソリン車も悪くないが…



で、1.3Lのガソリンエンジンを搭載する「ホーム」(約150万円~)と2モーター式ハイブリッドを採用する「e:HEVホーム」(約170万円~)では、はたしてどちらを選ぶべきなのか?



……なかなか難しい問題ではあるのだが、約20万円の価格差があったとしても、ここはやはり2モーター式ハイブリッドの「e:HEVホーム」をイチ推ししたいところだ。



両者のWLTCモード燃費はガソリン車である「ホーム」(FF)が20.2km/L、ハイブリッド車の「e:HEVホーム」が28.8km/L。その差は8.6km/Lということで、約20万円の価格差を燃料代でペイさせようとすると、カタログどおりの燃費性能で月に1,000km走っても7年はかかる(※レギュラーガソリン価格160円/Lで計算した場合)。



そのため、「燃費と経済性うんぬん」だけを目的にハイブリッドを選ぶのはややナンセンスなわけだが、ホンダがe:HEVと呼んでいる2モーター式ハイブリッドはきわめて力強く、そしてスムーズかつ静かでもある。つまり「いいモノ感」が強いのだ。その「いいモノ感」を日々感じてQOL(Quality of Life)を向上させるための対価としては、約20万円というのはきわめて妥当であるように思えるのだ。



もちろん、「いやいや、中古のコンパクトカーは安くてナンボでしょ!」という考え方もあるため、ガソリンエンジンの「ホーム」を選ぶのも決して悪くはない。このあたりは、各自の考え方と予算感次第であるとしかいいようがない問題だ。

○マイチェンの影響で20万円ほど相場が下がったときが買い場か



ということで、マイナーチェンジ前の現行型フィットを中古車としてなるべく安価に入手したいなら、「イチ推しがe:HEVホーム(FF)で、次点がガソリンエンジンのホーム(FF)」ということにいちおう決定した。



だが、現状の「e:HEVホーム」(FF)の低走行車が約170万円~で、ホーム(FF)の低走行車が約140万円~という相場状況は、すでにまあまあお手頃ではあるものの、正直「もう一声」ほしいところではある。



2022年10月6日のマイナーチェンジの影響が本格的に現れ、e:HEVホーム(FF)の超低走行車が「150万円くらい」で狙えるようになったなら――前期型の現行フィットは、上質で便利な扱いやすいサイズの実用小型車を探しているすべての人に、猛烈におすすめしたくなる選択肢となるだろう。



伊達軍曹 だてぐんそう 1967年東京都出身。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、大手自動車メディア多数に記事を寄稿している。中古車選びの流派「伊達心眼流」の創始者(自称)。 この著者の記事一覧はこちら(伊達軍曹)