保育士の待遇改善が求められるようになった昨今、実際に保育の現場で働く人は、自身の仕事についてどう感じているのだろうか。長野県で私立保育園の保育士をしている30代前半の男性(/既婚/子ども2人)は、
「手取りは16万6000円ほど。私は子どもがいるのですが、妻にも産後すぐに復帰してもらわないと生活が厳しいのです。新卒でも手取り12万円」
と低賃金に不満を抱く。(文:福岡ちはや)
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「この業界は都市部と地方で大きな格差があります」
男性は自身が働く園の待遇について、
「基本的には開所7時から閉所19時の間で昼休憩なしの1日9時間拘束され、シフト制。土曜日も出勤ありです。年間休日数104日程度」
と説明。1日の拘束時間が長いうえ、休日出勤も多くなかなかハードだ。また、業務内容も保育のみにとどまらず多岐にわたる。男性は、
「運動会などの行事の準備は当たり前で、休みの日も持ち帰りの仕事がたくさんあります。その日に登園する子どもたちとの遊びの準備で就業時間より早く出るのは当たり前、帰りも翌日の準備」
「加えて書類が煩雑。園児1人ひとりに対しての指導計画や小学校への接続資料、障害や特性のある子に対しては特別支援、書類とやる事はいっぱいです」
と苦労を語った。これだけ仕事量が多いのに、保育士の給与水準が低いのはなぜか。男性は、
「この業界は都市部と地方で大きな格差があります。おもには市町村からの補助金でお給料をいただきますので、市町村の財政や政策方針に大きく左右されます。家賃補助も市町村の規定で1万円程度」
と私立保育園の財源に言及。保育士という仕事について、「子どもたちの笑顔には変えられませんが、家庭は犠牲になります」と切実な胸の内を吐露していた。