トップへ

ヘンリー王子とアンドルー王子、国王の公務代行は可能か 貴族院で異議が唱えられる

2022年10月27日 12:22  Techinsight Japan

Techinsight Japan

今年9月、祖母エリザベス女王の追悼儀式に参列したヘンリー王子
王室公務から退いたヘンリー王子とアンドルー王子の将来の役目について、貴族院の議員達が異議を唱えた。2人はすでに現役の王室メンバーではないものの、英国の摂政法によりチャールズ国王の代理を務めることができる「国務参事官」に任命されている。

現地時間25日、英国の貴族院でヘンリー王子とアンドルー王子の国務参事官としての役割について、長時間の議論が交わされた。

英国の議会は貴族院(上院)と庶民院(下院)で構成されており、貴族院では一代貴族と大主教及び主教、世襲貴族の議員が英国民のために職務を行っている。

ヘンリー王子は2020年3月に王室離脱して米国に移住し、王室公務から退いた。アンドルー王子は2019年に過去の未成年少女に対する性的暴力疑惑への関連が浮上後、公務を引退している。

英国の摂政法では、君主が体調不良になったり海外にいる場合の代理として、重要な憲法上の任務を遂行する「国務参事官」の役職が5人に任命される。現在ヘンリー王子とアンドルー王子は、その中に名を連ねているのだ。

そのため貴族院の議員達は、2人が摂政法に基づいて役職に踏み込ませないために、1937年に定められた法の改正を政府に働きかけるよう、チャールズ国王を説得しようとしたのである。

自由民主党のアディントン卿は、こういった場合の役割について「実際に王室公務を行っている人物を優先させるべき」と提案した。

すると主席枢密顧問官のトゥルー卿は「特定の状況についてはコメントしない」と述べ、いかなる変更の場合でも、まずは王室に相談する必要があると説明した。

そして「政府は憲法の弾力性を確保するために、どのような取り決めが必要かを常に検討する。過去には王位継承の時期が、その取り決めを検討する有用な機会であることが判明している」と加えた。

摂政法では、国務参事官は君主の配偶者と21歳以上の王位継承順位4名が選ばれることになっており、現在はカミラ王妃とウィリアム皇太子、ヘンリー王子、アンドルー王子と娘ベアトリス王女が任命されている。

この役職には、憲法上委任できないいくつかの重要な職務を省き、枢密院の会議への出席や文書への署名、新しい駐英大使の信任状受領など君主の公務のほとんどを遂行する権限が与えられる。

9月には、チャールズ国王が85年前に定められた摂政法の書き換えを検討する可能性があると報じられていた。もしそれが実現すれば、ヘンリー王子とアンドルー王子が国王の代理を務める権利を失うことにもなりかねない。
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)