芸能人や著名人がタイアップする商品は、巷にごろごろしている。それこそ80年代には、タレントショップなんて言って、芸能人のタイアップ商品が山のように売れていたなんて時期も。所ジョージのイラストが入ったトレーナーとかが売ってたんだから、凄いものだ。
パチンコやパチスロでも過去を振り返ると榎本加奈子、ボブ・サップ、中村玉緒、美空ひばりといった、多くの芸能人が登場する機種が散々リリースされてきた。今日はこういった、芸能人タイアップ機種についての話をしていきたい。(文:松本ミゾレ)
タイアップとしては異例のヒットとなったアントニオ猪木シリーズ
先日、5ちゃんねるに「【朗報】パチスロ6号機の神台で打線組めなかったw」というスレッドが立っていた。そしてこのスレッドの中盤辺りに「こうなったら芸能人タイアップ台復活させよで とりあえずガッツ石松頼むわ」なる書き込みがなされ、そこから芸能人タイアップパチスロの思い出話へと発展している。
ガッツ石松も過去に「ガッツだ!!森の石松」というタイトルでパチスロになっていた。2004年頃のことである。僕はこの時期、梅宮辰夫と松方弘樹の登場する、『梅松ダイナマイトウェーブ』というバカみたいなタイトルの機種に夢中だったため、残念ながら『ガッツだ!!』は打たず終いであった。
まずは、このタイアップモノについての書き込みをちょっといくつか引用していきたい。
「『ミスターマリック3』、一旦ART入れると結構続いて楽しかったぞ。落ちるときは『残念でした』って励ましてくれるし」
「美川憲一とかもあったなあ(筆者注:『美川さそり座のサラリーマン』のことと思われる。ちなみに小林幸子と美川憲一が大当たり中にデュエット曲で祝福してくれる『華王』というパチンコも存在)」
「(アントニオ猪木氏の)追悼にパチかスロ打とうと思ったけど店に置いてなかったわ」
パチスロでのタイアップで有名な著名人と言えば、これはもう先日亡くなった燃える闘魂、アントニオ猪木氏一択みたいなもの。2002年に『アントニオ猪木という名のパチスロ機』がホールデビューし、「1、2、3、ダー」「道フリーズ」など印象的な演出と、いちいち本人の音声が鳴り響くこだわりが受け、タイアップ機としては異例のヒットとなった。
以降も本シリーズは何度もそのときの規格に合わせて登場し、2019年デビューの最新作『闘魂継承 アントニオ猪木という名のパチスロ機』は現在でもホールで稼働し続けている。
個人的にはこの『闘魂継承~』が、6号機という区分なので遊びやすく、まったり楽しめるうえに「非常識」という出玉誘発契機が色々と用意されていて面白いと思っている。
プロレス演出に関しても、猪木が絶対に負けないのもリスペクト性をおぼえて好感触だった。あんまりメダルは出ないけどね。
今でも設置されているので、猪木ファンはぜひとも追悼遊技と称して遊んでみてほしい。
見事完走したら、猪木のポエムがフルで聴けちゃうぞ(しかもポエム自体の種類も複数ある)。
マイケル・ジャクソンとのタイアップなんてのもあったけど……
さて、前項では「芸能人タイアップ台復活させてよ」という書き込みを紹介したんだけど、実はタイアップ機種自体は今も定期的にホールデビューしている。それこそ今年の9月下旬には『パチスロBOOWY』がホールデビューしたばかりだ。
この伝説のバンドがパチスロになるって結構なインパクトがあるように思えるが、意外と市場に出ると反応は芳しくなかった。先行導入されたホールでも空きが目立つとネットでは心配されたり、実際全国デビューして1か月ほど経過したが、少なくとも僕の周りでは本機について語る声はない。
コンテンツはいいんだけど、パチスロになったところでそんなに訴求力がないんだよね。タイアップって、それを世間に発表した段階。つまりプレスリリースを出した時点が瞬間最高風速を記録するもので、以降は失速していくってことなのかもしれない。これは『パチスロBOOWY』に限らない話。
だってそれこそ、マイケル・ジャクソンとタイアップした『パチスロ マイケル・ジャクソン』なんて凄い機種が2018年に登場したが、今も昔も誰も騒いでいないもの。
芸能人タイアップ機種って、そもそもヒットしにくいものなのだ。そんなんだから、定期的にタイアップ台は出ているのに、その存在に気付いていない人から「タイアップ台復活させてよ」という声が聞こえてくるのである。無常。