マンガ好きなら「編集者は担当作家によく差し入れをしている」という印象を持っているのではないだろうか。実際に「担当編集者さんからこんな差し入れをもらった」と描かれているマンガのおまけページやSNSへの投稿を目にした人も多いだろう。
【大きな画像をもっと見る】コミックナタリーでは、日常的に差し入れや手土産の情報を集めているであろうマンガ編集者という職種の人たちに、「作家に渡す手土産」を教えてもらうコラムを展開している。第5回に登場するのは、文藝春秋・CREAコミックエッセイルームの白川恵吾さん。紹介してもらったのは、フルーツを全方位から味わうアイデアがいっぱいでパッケージもかわいい、フルーツキッチン・ポモロジーのクッキーボックスとフルーツバーだ。
構成・撮影 / 宮津友徳
■ あなたのオススメの手土産を教えてください。
「美味しいフルーツを食べてる」と感じるとき、味や香りはもちろんですが、皮や果肉の「食感」もすごく大切ですよね。オススメするポモロジーは、特に「食感」にこだわって、フルーツを全方位から味わうアイデアがいっぱいです。
クッキーボックス ベリーズのクランベリークッキー。口に含むとバターの豊かな香りが広がって「スイーツ基礎力の高さ」を感じさせるのですが、ゴロゴロとドライベリーの果肉が入っていて、生のベリーを食べるより美味しいかも(!)しれません。サクサク・ゴロゴロ・サクサク……を繰り返す手が止められなくなりますが、けっこう枚数が入っているのもうれしいです。ストロベリー・チュイールは、飴菓子のような薄いチュイールがパリパリと割れてだんだんとろけてきて、ストロベリーの甘酸っぱさと相まって、こちらもずっと食べていたくなる美味しさです。
フルーツバーの晩柑ショコラは、しっとりとした濃厚チョコケーキに柑橘の香りが広がり、そして不意に皮の食感が現れて驚きます。ホワイトフィグはいちじくのプチプチした種とグニグニと弾力のある果肉の対比が、リンゴメープルは洋酒とメープルのふくよかな香りの中にフレッシュなりんごの歯ざわりがして、ひとつひとつが一筋縄ではいかないアイデアを感じさせます。
□ 価格
クッキーボックス ベリーズ税込1782円、フルーツバー(4個入)税込1296円
■ この手土産のオススメポイントはどんなところですか?
なによりクッキーボックスのイラストとデザインでしょうか。初めてお店で見かけたとき、(私は鳥が好きなのもあり)「かわいい!即買い!!!」と「ジャケ買い」しました。それをお世話になっている作家さんにプレゼントしたところ、「ちょうど最近、友達の作家さんがSNSでつぶやいていて、箱もかわいいし食べてみたいと思っていたんです!」とのこと。「作家さんと解釈が一致した!」と運命を感じました……。
■ 手土産にまつわる担当作家さんとのエピソードを教えてください。
担当させていただいているつづ井さんの「あまりにも情報が少なすぎる推し俳優」さんをイメージした香水をプレゼントしたことがあります。代官山にある、その場で調合してくれる香水屋さん。普段は、プレゼントを贈る方の年齢・性別・雰囲気・好きなテイストなどをプロである店員さんに細かく伝えて、お知恵を借りるのですが、このときはつづ井さんからいただいた「限りなく少ない情報=見た感じの年齢・性別」と「解像度の低い(モザイクレベルの)画像」を店員さんにお見せして考えていただきました。そうしてできた「森をかき分けていった先に現れる野ばら」の香水をつづ井さんがとっても喜んでくださって、「裸一貫! つづ井さん」に描いてくださったのは、感無量な体験です。
■ オススメの手土産にかかわらず、手土産を選ぶ際にはどんなところを重要視しますか?
手に持った時にパッ!と作家さんのテンションがあがるかどうか、考えています。たとえば同じ紅茶を贈るにしても、シックな服装をいつもされている作家さんには英国の有名なブランドを、ポケモンが大好きな方にはポケモンストア限定パッケージのもの、と選んでいます。ポモロジーは伊勢丹新宿店限定ならではの、「都会感」のあるデザイン。「今」の「かわいい」を作家さんが感じてくださるとうれしいです。
神楽坂のフランス洋菓子店では定番のカヌレやマドレーヌとは気分を変えて四角くカラフルなマシュマロを買ったり、青山のケーキ屋さんに指でつまめるかわいいサイズのものを買い求めたり、と著者さんが驚いてくださるよう試行錯誤しています。(余談ですが、指でつまめるケーキのお店で某超有名イケメン俳優S・Tさんに出くわした私は、オーラに打たれ、直後に近場のバルに駆け込み、グラスビールをあおりました……。)
■ 新しい手土産を開拓する際の探し方を教えてください。
手前味噌ですが、弊社「CREA WEB」の
47都道府県の手土産リスト2022は、CREA WEB編集部のメンバーが全部実際にお取り寄せして本気で実食・見定めているので、オススメさせてください!
■ 白川恵吾(シラカワケイゴ)
文藝春秋「CREA コミックエッセイルーム」にて「裸一貫! つづ井さん」「クマとカラス」「恋愛マトリョシカガール」を担当。「新宿がすごく好きなので住んでいて、新宿駅に降りるたび、パワーが湧くのを感じます」とのこと。
□ 担当作や所属編集部についてのメッセージ
10月21日発売の「私だけ年を取っているみたいだ。 ~ヤングケアラーの再生日記~」という実録コミックを担当させていただきました。統合失調症の母と家庭に無関心な父をもち、幼稚園の頃から一家の面倒を見てきた主人公が、失っていた「感情」を取り戻すまでの物語です。親との関係に悩むすべての方に、ぜひ一度ご覧いただければ幸いです。
■ ポモロジー
伊勢丹新宿店限定で展開されているフルーツキッチン・ポモロジー。季節の国産フルーツを使った生菓子と、フルーツの可能性を楽しむ焼菓子が販売されている。
□ 店舗情報
住所:東京都新宿区新宿3-14-1(伊勢丹新宿店)
営業時間:10:00~20:00(定休日は伊勢丹新宿店に準ずる)