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東京五輪汚職事件、元理事4回目の逮捕…特捜部の狙いは? 年内に「最終目標」の立件ある?

2022年10月21日 10:31  弁護士ドットコム

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東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、大会組織委員会の高橋治之元理事が10月19日、受託収賄の疑いで東京地検特捜部に再逮捕された。これで4回目の逮捕となった。


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報道によると、大会マスコットのぬいぐるみを製造・販売した「サン・アロー」と、広告大手「電通」の販売協力代理店だった広告大手「ADK」から合計約5400万円を受け取った疑いがあるという。



また、駐車場運営「パーク24」(日本オリンピック委員会の竹田恒和前会長が社外取締役)のスポンサー契約について、高橋元理事は、大会組織委の委託先だった電通にADKを再委託先にするよう働きかけた疑いもあるとされている。



これまで高橋元理事の逮捕が繰り返される中で、紳士服大手「AOKI」の前会長が、森喜朗元首相に「現金200万円を手渡した」と供述したことや、森元会長が出版社の選定にあたり、ある大手出版社の選定を拒否した疑いがあることも報道されてきた。



今後はどのような展開が想定されるか。元東京地検検事の西山晴基弁護士に聞いた。



●徹底的な証拠固めがおこなわれている

――髙橋元理事の再逮捕を繰り返している特捜部の狙いは?



大きく3つあると思われます。



1つ目は、否認を繰り返している高橋元理事の刑事裁判に備えた、徹底的な証拠固めです。



2つ目は、高橋元理事の刑事裁判で、確実に実刑判決を勝ち取ろうとしているのだと思われます。収賄罪の量刑は、受け取った賄賂の金額に左右されます。再逮捕・追起訴を積み重ねることによって、処罰対象とする賄賂総額を大きくしようとしているのだと考えられます。



最後に3つ目は、高橋元理事の上位や背後にいる人物を立件するための周囲の証拠固めもおこなっている、つまり、その人物を追及するための武器を準備しているのだと思われます。



――今後の捜査の展開は?



特捜部は、今後も、すでに任意聴取や家宅捜索をしている関連企業の捜査を進めたうえで、証拠がそろえば、高橋元理事の上位や背後にいる人物の立件をする可能性があるでしょう。



――年内に「最終目標」にたどり着く可能性はある?



今回は、これまでの逮捕とは異なり、2社に関する事件でまとめて再逮捕しました。



刑事手続上、1つの犯罪事実ごとに逮捕・勾留を繰り返して捜査を進めることは認められています。だからこそ、これまで特捜部はAOKI、KADOKAWA、大広の事件を1件ずつ逮捕・勾留して時間を確保しながら捜査を進めていたわけです。



同じように考えれば、今回も、たとえば、ADKとの事件を逮捕・勾留して捜査を進め、その後さらにサン・アローとの事件を逮捕・勾留して捜査を進める、というように2回に分けて捜査を進めることもできたわけです。



それにもかかわらず、今回まとめて逮捕に踏み切った理由としては、特捜部がこれ以上時間を稼ぐ必要はなくなったと考えたからかもしれません。つまり、周囲の証拠固めは終盤に来ている可能性があるということです。



特捜部の捜査は、年末や年度末など一定の区切りを意識しておこなわれることが多いです。特捜部が、五輪をめぐる汚職問題について、年末を区切りとして意識しているのであれば、残すところは、最終目標である高橋元理事の上位や背後にいる人物とその関連会社と考えている可能性もあるかもしれません。




【取材協力弁護士】
西山 晴基(にしやま・はるき)弁護士
東京地検を退官後、レイ法律事務所に入所。検察官として、東京地検・さいたま地検・福岡地検といった大規模検察庁において、殺人・強盗致死・恐喝等の強行犯事件、強制性交等致死、強制わいせつ致傷、児童福祉法違反、公然わいせつ、盗撮、児童買春等の性犯罪事件、詐欺、業務上横領、特別背任等の経済犯罪事件、脱税事件等数多く経験し、捜査機関や刑事裁判官の考え方を熟知。現在は、弁護士として、刑事分野、芸能・エンターテインメント分野の案件を専門に数多くの事件を扱う。

事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:http://rei-law.com/