2022年10月20日 18:31 弁護士ドットコム
国を被告とする労働裁判で、国側の指定代理人が非公開の弁論準備手続を無断で録音していたことをめぐり、神奈川県弁護士会(高岡俊之会長)は10月20日、民事訴訟制度の運用を根底から揺るがしかねないと非難する会長談話を発表した。法務大臣などに真相の解明と再発防止を申し入れたという。
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問題が起きたのは、横浜地裁横須賀支部で10月11日に実施された弁論準備手続。米軍基地で働いていた女性が、国を相手に起こした労働裁判でのことだった。
国側が退席した直後、原告側代理人の笠置裕亮弁護士が、国の指定代理人だった防衛省職員の書類ファイルの下に置かれた録音機を発見した。
談話は、弁論準備手続について、「自由闊達に議論を行い、早期に争点を整理し、解決に向けた話し合いをすることに大きなメリットがある」とし、秘密録音は「手続を非公開とする趣旨をまったく踏まえないもの」と指摘する。
さらに、一層問題だとして、被告である国側が一時退席し、裁判所が原告側に個別聴取するときも録音が続いていたことに言及。「代理人弁護士の訴訟活動や裁判所の和解手続の円滑な進行に対する重大な妨害だ」としている。