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杉田水脈議員に賠償命令、伊藤詩織さん中傷ツイートに「いいね」 東京高裁

2022年10月20日 15:41  弁護士ドットコム

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ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者の山口敬之さんからの性暴力被害を訴えた事件を巡り、伊藤さんを誹謗中傷するツイートに「いいね」を押したことが伊藤さんの名誉感情を侵害したとして、自民党の杉田水脈衆院議員に慰謝料など220万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が10月20日、東京高裁であった。


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石井浩裁判長は、請求を棄却した1審・東京地裁判決を変更し、杉田議員に55万円の賠償を命じた。



伊藤さんは判決後、囲み取材に応じ「いろいろな誹謗中傷の言葉を受けて傷ついて、崖の淵に立たされている人にとって、指を押す一つの行為だけでもどれだけ苦しいことかを判決で示していただけた」と話した。



杉田議員の事務所は「原審と異なる判断をされたことから、判決内容をよく精査し、対応を検討します」とコメントした。



●「一般人とは比較し得ない影響力がある」

今回の事件は、杉田議員がツイッターで、他のユーザーがした「枕営業の失敗ですよね」「詩織さんの行動が招いた結果」などの25個のツイートに関して、「いいね」のボタンを押したことにより、伊藤さんの名誉感情を侵害したかどうかが争われた。



石井裁判長は、対象ツイートに対して好意的・肯定的な感情を示したものと認めることができるかどうかを判断するためには、ツイートの記載内容などから、対象ツイートのどの部分に好意的・肯定的な評価をしていると理解できるかを検討する必要があり、「いいね」を押した者と対象ツイートで取り上げられた者との関係や「いいね」が押されるまでの経緯も検討する必要があるとした。



今回問題となっている対象ツイートは伊藤さんを揶揄、中傷し、人格を貶めようとするもので、伊藤さんを侮辱するものであるため、伊藤さんの名誉感情を侵害すると指摘。



杉田議員がインターネット番組で伊藤さんを揶揄するなどしていたことなどから、対象ツイートに「いいね」を押したことは、「好意的・肯定的な感情を示すために行われた」と認定。同時に、杉田議員が伊藤さんを侮辱する内容の対象ツイートに賛意を示すことは、伊藤さんの名誉感情を侵害するものとした。



杉田議員が対象ツイートに合計25回も「いいね」を押し、それ以前も伊藤さんに対する揶揄や批判などを繰り返していたことから「伊藤さんの名誉感情を害する意図があった」と認定。



さらに、「いいね」を押す行為は約11万人ものフォロワーがいるツイッターで行われたものである上、国会議員でありその発言などには一般人とは比較し得ない影響力があることなどから、杉田議員が対象ツイートに「いいね」を押したことは、「社会通念上許される限度をこえる侮辱行為」と不法行為を認めた。



損害金については、杉田議員が伊藤さんを揶揄、中傷し、人格を貶めようとするツイートを利用して加害の意図をもって「いいね」を押していること、対象ツイートは杉田議員のした伊藤さんを批判・揶揄するツイートに触発されて投稿したものであると指摘。



「いいね」を合計25回も押している上、約11万人ものフォロワーがいるツイッターで行われたもので、国会議員であることから「影響は大きい」とし、55万円(弁護士費用5万円)の賠償を命じた。



1審の東京地裁判決は、「いいね」は肯定的・好意的な感情を示す以外の目的で用いられることもあるうえ、それ自体からは感情の対象や程度を特定できないなどとして、「いいね」を押した行為の不法行為を認めず、伊藤さんの請求を棄却していた。