2022年10月20日 10:41 弁護士ドットコム
インターチェンジやジャンクションから高速道路の本線に合流する場所などでよく見かける「合流部(合流地点)」。渋滞時の合流について、車線がなくなる地点まで直進する車を非難するSNSでの投稿が話題となっている。
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片側2車線以上ある道路で車線が減少することによって発生する合流部では、合流しようとする側の車が本線の走行状況などを把握したうえで、タイミングを図って合流する。
本線の流れがスムーズな場合は十分に加速した状態で合流することが必要だ。本線が渋滞している場合、加速は不要だが、本線を走行する車に「入れてもらう」形で合流することになる。渋滞する高速道路などでは、本線側・合流側それぞれに「持ちつ持たれつ」の意識があるのか、本線側を走行する車一台につき、合流側の車一台が入る光景がしばしば見られる。
ただ、渋滞時に合流部から本線へ入ろうとするタイミングはドライバーによって異なることがあり、車線が減少するだいぶ手前で本線に入ろうとする車もあれば、車線が減少するところまで走行して入ろうとする車もいる。
投稿者は、この「車線が減少するところまで走行して入ろうとする車」が気に入らなかったようだ。「車線無くなるのが手前からわかってても直進してくる車 渋滞してるからって速く行きたいと考えてるやつ1番嫌いだわ」とツイートした(その後、この投稿はアカウントごと削除されている)。
渋滞に巻き込まれた状態で合流部と出くわしたことのあるドライバーなら、投稿者が何を思ってツイートしたのか、おおよそわかるだろう。
つまり、「渋滞でノロノロ走っている中、車線が減少するところまで『先回り』して、自分の車より前に入るのはズルい」という心理に基づくものとみられる。裏を返せば、「車線が減少するところまで走行して入ろうとするのはズルいのだから、もっと手前で合流しろ」という考え方をしていることになる。
実際、高速道路の合流部などで、車線が減少するだいぶ手前で本線に入ろうとする車は少なくない。「ズルいことはしない」「『先回り』は申し訳ない」という発想がそうさせるのだろう。
道路交通法75条の6第1項は、高速道路の合流について、「本線車道に入ろうとする場合において、当該本線車道を通行する自動車があるときは、当該自動車の進行妨害をしてはならない」として、本線の通行を優先するよう定めているものの、合流の具体的なタイミングまでは定めていない。
今回のツイートとともに投稿されていた画像には、一般道とみられるバイパス道路で車線が減少して合流が発生する様子が写っていた。高速道路の合流ルールがそのまま適用されるわけではないが、「車線が減少」「合流(車線変更)が必要」「車線が減少するところまで走行可能」という点では共通している。
いずれにせよ、渋滞時に各ドライバーがそれぞれの思惑で、車線が減少するだいぶ手前で本線に入ろうとしたり、車線が減少するところまで走行して入ろうとすれば、様々な場所で合流が発生し、車の流れは悪化しやすいだろう。
では、どのように合流するのが一番スムーズなのだろうか。
NEXCO東日本は、渋滞中の交通の流れを改善するための取り組みの1つとして、「ファスナー合流」を推奨している。これは、合流部の先頭まで進んだうえで、1台ずつ交互に合流するという方法だ。
NEXCO中日本・NEXCO西日本も同じ方法・名称での合流を推奨する一方、名古屋高速(道路公社)では「ジッパー合流」という名称で呼びかけている。
合流するタイミングを合流部の先頭で統一するこの方法が広くドライバー間で定着すれば、スムーズな合流が実現するだけでなく、「ズルい」と感じる余地も生まれにくくなるだろう。
あおり運転などによる事故事件は、トラブル前後で生まれた「ズルい」「許せない」などドライバー心理が発端となったり、被害拡大につながることも少なくない。重要なのは「心にゆとりを持った運転」だ。