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不要になった服や残反を再び糸に 伊藤忠商事「RENU」にH&Mも注目

2022年10月19日 19:02  Fashionsnap.com

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レニューの素材を使ったH&Mのコレクション「コンシャス・エクスクルーシヴ(Conscious Exclusive)」のアイテム

Image by: FASHIONSNAP
伊藤忠商事がファッション業界のサーキュラーエコノミーの実現を目指して推進している「レニュー(RENU)」プロジェクトが、立ち上がりから4年目に突入した。パートナー企業は100社近くにのぼり、およそ100のブランドでテキスタイルが採用されているという。10月18日から20日まで開かれている「第2回 サステナブル ファッション EXPO[秋]」では、プロジェクトを通じて開発されたリサイクルポリエステル約200種や、レニューのテキスタイルを使った製品を展示し、さらなる流通拡大を図っている。

 世界では毎年1000億着もの衣料品が生産されているといわれているが、一方で大量廃棄が業界で問題となっている。レニューは廃棄予定の衣料品のほか、工場で発生した残反や裁断くずに着目。一般的なリサイクルポリエステルでは、使用済みペットボトルを溶かして糸にする手法を採用しているのに対し、レニューは独自の技術により繊維を再び繊維に戻すというファッション業界のサーキュラーエコノミーの実現に取り組んでいる。石油由来のポリエステルと同様の品質や染色性を維持できるのが特長で、安定した供給を確保できる点も強みの一つだ。「繊維から繊維へ」という手法はサステナブルな取り組みが進む欧米でも評価され、2021年には米国のライクラ(LYCRA)社と協業した新素材の販売を開始した。
 これまでに衣料品のほか、ランドセルやタオル、ハンカチ、バッグなど約200品番でレニューの生地が使われ、「H&M」や「ハンティング・ワールド(HUNTING WORLD)」などのブランドで採用されている。2020年春から発生した新型コロナウイルスの感染拡大を機に、ファッション業界でもサステナビリティへの関心が高まったが、当時2年目を迎えたレニューにとっては拡大期と重なったことで採用企業が増えていったという。

 立ち上げ当初は中国の提携先の工場で発生した残反を中心にリサイクルを行ってきたが、今春からリユースやリサイクルに関する総合商社エコミット(ecommit)と業務提携を締結したことで、小売店で回収した不要の衣料品や事業者の繊維廃棄物など、さまざまな拠点で排出される繊維製品のリサイクルを進めている。
 課題は消費者の認知拡大だ。サステナブルな素材を使っていることを理由に消費者が商品を選ぶという動きは、日本ではまだ浸透していない。レニューを担当する鎌形勇輝氏は「品質やデザインを気に入った商品がレニューを使っていた、という世界を目指したい」とし、引き続き品質を追求していく。このほかの施策として、メディアでの情報発信を強化し、レニューの存在感を高めていきたいという考えを示した。