トップへ

IVE、THE RAMPAGE、UNISON SQUARE GARDEN、藍井エイル、原 由子……10月19日リリースの新譜5作をレビュー

2022年10月18日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

IVE『ELEVEN -Japanese ver.-』(I盤)

 毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は10月19日リリースのIVE『ELEVEN -Japanese ver.-』、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE『ツナゲキズナ』、UNISON SQUARE GARDEN『カオスが極まる』、藍井エイル『心臓』、原 由子『婦人の肖像 (Portrait of a Lady)』の5作品をピックアップした。(文:森=森朋之、松本=松本侃士)


(関連:THE RAMPAGE 陣&川村壱馬&山本彰吾、5周年で確立された16人ならではの輝き方 Jr.EXILEで挑戦したいことも明かす


■IVE『ELEVEN -Japanese ver.-』


 2021年末にデビューした直後から、韓国国内はもちろん、世界中の音楽チャートを超高速で席巻し続けている6人組(韓国人5人、日本人1人)ガールズグループ、IVE。“I HAVE=IVE”を意味するグループ名、「私、そして私たちが持っているものを堂々と見せる」をコンセプトに掲げた彼女たちの日本デビュー曲は、MVが1億6000万回再生を超えている「ELEVEN」のJapanese ver.。エキゾチックかつバウンシーなビート、しなやかで力強い身体性を感じさせるボーカル&ラップ、完璧に自立した女性像をイメージさせるパフォーマンスなど、K-POPの新たな潮流を強く感じさせるダンスチューンだ。〈こっから先はカラフルな暗示〉に象徴される、原曲のフロウをしっかりと活かした日本語のリリックも秀逸。(森)


■THE RAMPAGE from EXILE TRIBE『ツナゲキズナ』


 現在、4thアルバム『RAY OF LIGHT』を携えた全国アリーナツアーを開催中のTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEからニューシングル『ツナゲキズナ』が到着。『2022世界バレー』TBS公式テーマソングとして制作された表題曲「ツナゲキズナ」は、スリリングなスピード感に貫かれたトラック、滑らかさと力強さを共存させた旋律とともに〈新しい時代を作れ/想いがかみ合うシナジー〉というポジティブなラインを高らかに響かせるアッパーチューン。停滞や葛藤を打ち破るようなボーカルも気持ちいい。カップリングにはドープかつダイナミックなヒップホップ「STRAIGHT UP」を収録。タイトル曲とはまったくタイプが違う楽曲だが、ふり幅の広さ、ジャンルレスなスタンスもまた、このグループの武器だろう。(森)


■UNISON SQUARE GARDEN『カオスが極まる』


 アニメ『ブルーロック』(テレビ朝日系)のオープニング主題歌に起用されている表題曲「カオスが極まる」は、目まぐるしく変化し続けるビートにのせて果敢にエッジを攻め込んでいく攻撃的なロックナンバー。全く予測できないスリリングな展開が、文字通りカオスなロック体験をもたらしてくれる。特に、〈画すべき一線を越えろ 楽園は近い〉という合図と共に突入するラストの狂騒感は本当に凄まじい。一方、CDにのみ収録されるカップリング曲「放課後マリアージュ」は、斎藤宏介(Vo/Gt)の凛とした歌心が光るカラフルなポップナンバーとなっている。青春の輝きを讃える言葉が全編に散りばめられていて、その中でも特に〈この一分一秒は誰にも譲れないんだから/不真面目とかで片づけないで もう18時〉という渾身のパンチラインに痺れる。本作に収録されている2曲は、その両方がUNISON SQUARE GARDENの真髄であり、こうしたロックサイドとポップサイドの大胆な振れ幅こそが、このバンドが誇る唯一無二の武器だ。この鮮やかなコントラストを、ぜひCDシングルを通して味わってほしい。(松本)


■藍井エイル『心臓』


 今年、テレビアニメ放送開始から10周年を迎えた『ソードアート・オンライン』シリーズ。同じくデビュー10周年を迎えた藍井エイルが、再び同シリーズを彩る主題歌を担当した。それが、『劇場版ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ』の主題歌「心臓」である。同曲の作詞・作曲・編曲を手掛けたのは、n-buna(from ヨルシカ)。全編をリードする清廉なピアノのフレーズが美しく、また、静と動のコントラストを活かした壮大でドラマチックなバンドサウンドに強く惹き込まれる。上質でありながら、同時に、鮮やかな躍動感を伝えるサウンドは、まさにn-bunaの手腕が存分に発揮されたものだ。また、同曲の歌詞は、映画の監督とn-bunaの打ち合わせの中で浮かび上がった“飛ぶ”というキーワードがモチーフになっている。〈早く心臓が伝う本能で今翔んで〉といった言葉たちが、藍井の空高く突き抜けるような歌声を通して響くことで、聴いていて何度も胸が熱くなる。各クリエイターたちの想いが見事に結実した、幸福なタイアップソングに仕上がっている。藍井の多彩な歌声を堪能できるカップリング曲「EVIL」「Dance with me」も必聴。(松本)


■原 由子『婦人の肖像 (Portrait of a Lady)』


 AOR×ウエストコースト×歌謡曲が溶け合う「千の扉~Thousand Doors」、平和への願いを朗らかに歌い上げる「Good Times~あの空は何を語る」、郷愁を誘うメロディとともに“秋の女ひとり旅”を映し出す「旅情」、エリック・クラプトンをモチーフにした「スローハンドに抱かれて (Oh Love!!)」、官能的なブルースロック「夜の訪問者」、湘南サウンド直系のポップソング「鎌倉 On The Beach」。1960~70年代のルーツミュージックに根差しつつ、2022年を生きる大人の女性としての姿を投影した31年ぶりのソロアルバム。癖がないのに耳に残る独特のボーカル(声が変わらない!)に身をゆだねているうちに、年を重ねるのも悪くないと素直に感じ入ってしまう名盤だ。「オモタイキズナ」でラップを披露するなど、桑田佳祐も全面的にバックアップ。(森)