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『ルリドラゴン』クラスメイト神代さんの「気遣い」がスゴい! ルリとのコミュニケーションを考察

2022年10月16日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2022年6月から『週刊少年ジャンプ』で連載されている『ルリドラゴン』。連載開始直後にTwitterでトレンド入りをするなど、大きな話題を呼んできた本作のコミックス第1巻が10月に発売された。


参考:『ルリドラゴン』少年ジャンプ注目作に癒される日々 龍と人間のハーフ女子高生のかわいい日常


 突然あたまに鋭いツノが生えた女子高校生の主人公・ルリや彼女を見守る母や同級生のユカなど、魅力的な人物が登場する本作において、ルリのクラスメイト・神代さんの人気も非常に高い。なぜ神代さんが読者に支持されるのか、彼女の魅力に迫るため第1巻のストーリーを振り返りたい。


■怖がるルリに距離を縮める神代さん


 本作の第1話ではツノが生えたルリがクラスメイトの注目を集め、授業中に火を吐いてしまうなどのトラブルもありつつ、自分が人間とドラゴンの子どもであることを知る様子が描かれた。第2話では学校を休んだものの、第3~5話ではルリが1週間ぶりに登校することとなる。


 教室の席が隣同士であることもあり、第1話からツノの生えたルリに話しかけていた神代さん。とくに彼女の魅力が際立ったのは第4話であろう。


 1週間ほど学校を休んだため授業の内容を理解できないルリの心情を見透かし、神代さんは「大丈夫?教えてあげよっか」と話しかける。神代さんに「陽キャぽくて怖い」という印象をもっていたため「自分で頑張ってみます」と話すものの、次のページでは授業の内容がわからないことに悶絶しながら机に突っ伏すルリ。


 そんなルリに神代さんは自分の椅子を近づけて物理的に距離を縮め、ルリの机で勉強を教える。すると時間の経過と共にルリの目の色も変化していき、ルリは「…ありがとう」と口にした。


 授業の内容を理解できずに困っているルリに気づくこと、かつ他者につよがりを見せるルリに勉強を教えようとすることは誰にでもできることではないはず。現に第4話における学校の場面で、ルリに声をかけたクラスメイトは親しいユカを除き神代さんだけであった。


 ちなみに第1話で授業中に寝ていたルリに対し、勉強している教科書のページ数を教えたのも神代さんである。


■干渉できないことは信じて待つ


 1週間ぶりに学校で過ごし、神代さんをはじめやさしく振る舞うクラスメイトの姿が描かれた第3~5話。ただ第6話ではツノがあり火を吐くことができるルリに恐怖を覚える女性生徒の姿も描かれた。彼女だけでなくルリと共にカフェで遊んだ同級生・宮下さんもルリに対し怖さを抱いていることを明かしている。


 ツノが生えており、ときに火を吐いたりなど、普通の女子生徒でない自分が周りからどう思われているのか気にするルリであったが、ルリに対し神代さんは「見えない所でルリちゃん達が頑張ってることだから/あたし達が怖がることじゃないかなって」と話した。


 授業の内容を理解できていないことを察するほどルリに関心をむけつつ、自分が干渉やコントロールのできないことはルリを信じて待つ。


 自分と他人の違いを理解して、決して恩を着せるのではなく、さりげなく相手に寄りそうことができることが神代さんの魅力のひとつではないだろうか。第1巻は神代さんのルリの心情を察して寄り添うやさしさ、ルリを信じて待つやさしさが描かれた1冊であったと感じる。


 身近にいる人の悩みを察するのは容易なことではなく、悩みを抱え込んでしまう人ほどその人が困っていることに気づきにくい。そして他者の悩みに対しどのくらい寄り添うかといった塩梅の判断も非常にむずかしいものであろう。


 悩みを抱える人との接し方にむずかしさを感じた際には、神代さんの気遣いから学びを得ることができるかもしれない。