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YouTuber・ヒカルの著書『心配すんな。全部上手くいく。』を大手中古本販売店が「買い取ってくれない」現実に、プロが査定した本当の買取価格

2022年10月14日 21:00  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

ヒカルの著書『心配すんな。全部上手くいく。』(徳間書店刊)

《夕飯代貰おうとしたら、ヒカルの値段つかないって言われて失敗 メルカリで1,200ぐらいで売れてるから、500ぐらいで買い取ってくれないかなって思ったのに…

 10月上旬、とあるツイッターユーザーが投稿したツイート。どうやら書籍やコミック等の買取サービスを行っている大手中古本販売店に、2冊の本を持ち込んだところ、1冊は買い取ってもらえたものの、もう1冊は断られてしまったという。

 添えられたレシート画像を確認してみると、お笑いコンビのオードリー・若林正恭のエッセイ本『ナナメの夕暮れ』(文藝春秋刊)についた買取価格は100円。そして「値段つかない」と言われた本というのが、トップユーチューバー・ヒカルの『心配すんな。全部上手くいく。』(徳間書店刊)だったようだ。

 2022年9月30日に発行された、ヒカル自身初の著書となる同本。刊行記念記者会見では「(目標部数は)キリのいい数字で100万部です。(本の出版は)人生で最初で最後な気がしてるので、100万部っていうブランドはほしいなと思っております」と堂々のミリオンセラー宣言をぶち上げていた。

1人で1000冊購入したファンも

 その勢いのままに発売から1週間後に《累計25万部を達成しました!!!みんなありがとう!》と、自身のツイッターで報告。一方で、YouTubeチャンネルでは《1人で1000冊買ったって人もいました》と、動画視聴者が大量購入している“カラクリ”も明かしてみせた。

「出版社が打ち出した当初の発行部数に対して、“売れ残ったら自分で買い取る”とまで豪語して数字を上乗せしたように、ヒカルにとって儲けは度外視。YouTubeチャンネル登録者数や動画再生数のように、記録として残る“数字”目当てなのは確かでしょう。

 ライブ配信の“投げ銭”企画で数百万を集められるように、ヒカルには熱心な“信者”がついていて、今回も彼らの“援護射撃”が部数を伸ばしている部分はある。結果のためには手段を選びませんよ」(ユーチューバー事情に詳しいITライター)

 となると、発売から2週間が経つ今、すでに複数冊を購入して貢献し終えたファン、または本を読み終えた一般消費者が“売り”に走ることも予想できるが、冒頭ユーザーのように買取の全てが『心配すんな。全部上手くいく。』とはいかない場合もあるみたいでーー。

 中古市場に精通する物流ジャーナリストによると、「本を買い取ってもらえない、というのは余程の事情がある場合」と例外的なものと解説する。

ヒカル本の買取価格が判明

「例えば表紙や中身に極端な破損や汚れが見られたり、またカビ等の悪臭がある場合は引き取ってもらえないことがあります。あとは盗品を疑われるもの、また一般には入手不可能な非売品も断られる対象になり得ますね。

 それと同じ大手チェーン店でも、各店舗の査定担当によって買取価格が変動する、また対象外とされる商品もあると聞きます。基本的に“自給自足”で成り立つ商法なので、“売れる売れない”の判断は各店舗に委ねられている部分もあるのでしょう」

 記者も都内の大手中古本販売店に足を運んでみると、案内されたタレント本コーナーの棚に見つからず、ヒカル本は在庫切れとのこと。発売から今までに買取サービスに持ち込まれたかの確認はできなかったものの、10月13日時点での買取価格を教えてもらえた。ちなみに定価は1540円(税込)だ。

「当店での(中古)販売価格は1150円で、買取価格は250円になります。(250円は相場よりも高い?)そうですね、新刊ということもありますが、私どもの感覚で言いますと高い部類だと思います」

 もちろん、査定は変動することもあるとはいうが、「値段がつかない=0円」とされた店舗と比べたら、定価のおよそ6分の1とはいえ「250円」は高額とも言えよう。この店舗では、ヒカル本は“売れる”と判断しているのだろう。

古本の聖地で「需要はない」

 では、古本・古書の“聖地”として知られる東京・神田神保町はどうか。連日、各分野の古本が大量に持ち込まれ、店先にも山積みされる老舗書店で買取担当を担う査定の“プロ”に話を聞いた。一見、ヒカル本は置いていないようだが……。

「(本を見て)あぁ、これは値段つかないです(苦笑)。新刊は大体100円から200円で買い取らせてもらってますが、(ヒカル本は)ジャンルとして自己啓発かビジネスになると思いますが、ここでは古本としての需要は見込めないと思います。

 もちろん、著名人だったり、著者によっては(買取は)あります。あとは数冊お持ちいただいた上で、まとめて値段をつけて引き取るという感じですが、(ヒカル本)1冊では買取はできませんね

 この言葉の通りか、神保町書店めぐりをするも、新書を扱う書店も含めてついぞヒカル本を見ることはなかった。発見したのは、神保町エリアから離れた大型書店のベストセラーの棚、ではなく、芸能人の写真集やタレント本が積まれたコーナーだった。

 隣りに2022年8月発行の、“ガーシー”こと東谷義和参院議員の著書『死なばもろとも』(幻冬舎刊)が積まれていたのは何かの因縁か。