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自動運転技術がNBAの試合で大活躍? 自律走行型モップについて日産に聞く

2022年10月14日 16:32  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
「NBA Japan Games」の会場に、自律走行する「モップ」が出現した。バスケットボールの試合には必須のモップ掛けを、日産自動車が運転支援技術「プロパイロット」の仕組みを使って自動化したというのだが……。実際にデモを見て、日産に話を聞いた。


○日産「アリア」を跳び越えてスラムダンク!



9月30日から10月2日にかけてさいたまスーパーアリーナで開催された「NBA Japan Games」。昨シーズンのNBAチャンピオンであるゴールデンステイト・ウォリアーズと八村塁選手を擁するワシントン・ウィザーズが来日し、白熱のプレシーズンゲームを繰り広げた。


会期中の土曜日にはファンイベント「NBA Japan Games Saturday Night 2022 Presented by Rakuten & NISSAN」を開催。プロダンカーによるスラムダンクコンテスト(ブロックショットの名手としてNBA史にその名を刻んだディケンベ・ムトンボさんも審査員として参加!)、NBA選手によるシューティングスターズチャレンジ(目にもとまらぬクロスオーバードリブルを武器に活躍したNBAレジェンドのティム・ハーダウェイさんも参加!)、スリーポイントコンテスト(ステフィン・カリー選手とクレイ・トンプソン選手=スプラッシュブラザーズが組んだチームが驚異的なショット成功率で優勝!)、アーティストのゆずによるパフォーマンスなどが行われた。


○自動運転モップに「プロパイロット」の技術が?

「Saturday Night」では日産が自律走行するモップ「ProPILOT MOP」(プロパイロットモップ)のショーを披露。清掃作業員らしき若者たちがモップをかけながら登場したのだが、途中からモップが自律走行を始め、フリーになった作業員風の出演者たちは銀色の派手な衣装に早着替えし、激しいダンスを踊り始めた。自動運転モップは進路をプログラミングしてあったのか、コートを余すところなく掃除してショーは終了した。日産のYouTubeでは動画も見られる。


プロパイロットモップを着想したきっかけは? 日産によると「プロパイロットモップは日産の先進運転支援技術『ProPILOT 2.0』から発想を得て開発したものです。手放し、つまりProPILOT 2.0と同様、ハンズオフでモップがコート上を動くもので、障害物と接触することなく自動でモップがけをしていきます。バスケットコートをインプットし、センサーによる緻密な位置制御を行う機能を搭載することで、ダンスチーム『Nissan Performers』とのシンクロしたショーを披露しました」とのことだ。



プロパイロットは日産が2016年にミニバンの「セレナ」で実用化した技術。高速道路を走行中、プロパイロットを起動させれた設定した速度を維持してクルマが走ってくれて、カーブではステアリング、前にクルマがいればブレーキまでシステムが制御してくれる。プロパイロットを起動すればペダル操作から解放されるし、ステアリングもほとんど手を添えているだけで大丈夫なので、長距離移動が本当に楽になる。



この手の機能が付いたクルマはたくさんあるのだが、日産はいち早く実用化にこぎつけただけあってシステムがこなれていて、プロパイロット起動時のメーター表示や音によるアラートなども含めた使い勝手に一日の長があると感じる。他社のクルマであれば、同様の機能を起動するのにボタンを2~3回押さなければならないこともあるのだが、日産のプロパイロットは基本的に1ボタンで起動するし、同システムがちゃんと機能しているかどうかはメーター表示と色で直感的に理解できるようになっている。最新の電気自動車(EV)「アリア」が搭載している「プロパイロット2.0」では、条件を満たせばステアリングから手を離すことができる「ハンズオフ」も使える。


それにしても、なぜNBAの試合に日産が? 回答はこうだ。



「日産ならではの先進技術とアイデアでワクワクする体験を増幅し、NBA Japan Gamesをファンと一緒に盛り上げることが目的でした。バスケに欠かすことのできないモップフロア清掃を自動化技術でストレスなく楽にサポートし、今までの常識ががらりと変わるような驚きと楽しさまでをもたらすものにアップデートするという発想からパフォーマンスを制作しました」



「伝えたいことを発信する広告型アプローチではなかなか若い世代へリーチできないことが企業のマーケティング課題となっている中、エモ消費に代表される若い世代の特性を捉え、単なるブランド露出にとどまらない彼らに寄り添う新しいマーケティングの機会を模索していました。そんな中で、今回のNBA Japan Gamesに価値があると判断し、協賛を決定することにいたしました。昨今、日本では、NBAにおける日本人選手の活躍などに端を発し、人気に拍車がかかっています。それは特に、若い世代に顕著であり、NBAが若い世代に強い魅力を持っていることはマーケティング調査でも裏付けられており、NBAのソーシャルアカウントにも非常に多くのフォロワーがいます」



今後はプロパイロットが自動車以外のさまざまな分野に広がっていくかもしれない。例えばモップ掛けとか、あとは、掃除機あたりはどうだろう? 自動で部屋を動き回って、きれいになったら充電器に勝手に戻るような掃除機があれば、けっこう売れそうな気がするのだが……。(藤田真吾)