「部下の発言にイライラする…」
「出来ない部下にイライラする…」
「受身な行動にイライラする…」
こんな“イライラ”を日々感じていませんでしょうか? こんな“イライラ”は上司のエネルギーを奪い、パフォーマンスを下げていきます。今回は、こうした状態から抜け出すためのポイントをご紹介してまいります。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)
イライラ状態は成果にも悪影響
最近の管理職は大変です。部下の価値観は多様化していますし、働き方改革の推進で、部下に残業をさせにくいため自身の仕事が増えがち。リモートワークでマネジメントもやりづらく、イライラは募るばかりです。このようなイライラの中に入ってしまうと、3つの壁が目の前に立ちはだかってしまいます。
一つ目の壁は、管理職になんかならなければよかったという自分の中にある壁です。管理職になった時の期待が全て不安や悩みになってしまい、自身のモチベーションを見失ってしまいます。
二つ目の壁は、自分の能力と部下の能力を比べて、部下の出来ないところばかりが気になっていくといった部下理解の壁です。この壁に阻まれると、部下に仕事が任せられなくなり、自分ばかりが忙しくなっていきます。
三つ目の壁は、上司のイライラが組織のイライラに繋がり、組織内コミュニケーションが減っていくといった壁です。組織内のコミュニケーションの悪化は、部下間の関係の質を下げ、成果を低下させていきます。
人と組織に働きがいを育む“働きがい心理学”を実践する
イライラしないようにするためには、管理職が仕事に対する意識、認識を変える必要があります。業務を回して目標達成することはもちろん大事です。ですが管理職は、人と組織に働きがいを育んでいく、というのも管理職の重要な仕事です。これを念頭において仕事に臨みましょう。
その際、私が提唱する“働きがい心理学”がお役に立ちます。“働きがい心理学”とは私のつくった言葉ですが、その中身は実践心理学NLPをベースとした、「自己重要感」と「自己成長」といったものから成ります。
「自己重要感」に関しては、これまでの記事でもご紹介しておりますが、人が持つ究極の欲求と言われ、自分自身のことを価値ある存在だと思いたいし、他人からも自分のことを価値ある存在だと思ってもらいたいというものです。
「自己成長」は呼んで字のごとくですが、様々な経験を自身の成長に繋げる“経験学習”を回していくことで得られるものです。組織に存在するすべてに人が「自己重要感」と「自己成長」を感じることができる環境を作ることが、働きがい心理学が求めるものになります。
働きがいを育む3つのコミュニケーション
人と組織に働きがいを育むために、上司としては“働きがい心理学“をベースに、3つのコミュニケーションをとっていきましょう。
1つ目は自己内省です。これは自分とのコミュニケーション、とも言えます。自分の中にある仕事で大切にしたい事や活かしていきたい強みを、仕事に繋げていくにはどのような考え方や働き方が必要なのかを考えていきます。
2つ目のコミュニケーションは、部下との面談です。定期的に1対1の面談機会を設け、部下理解と部下支援に繋げていきます。コミュニケーション方法については、これまでの記事でお伝えしている内容を参考にしてください。
3つ目のコミュニケーションは、組織内対話です。昔は飲み会で社内交流をすることができましたが、今は意識してコミュニケーションの場を作っていく必要があります。その時々の課題や話題を題材に、ミーティングの場を設けていきます。
以上の3つのコミュニケーションを、しっかりスケジュール化し、実践していきましょう。
3つのコミュニケーションを繰り返し、部下の「自己重要感」と「自己成長」を高めていきましょう。そして、より高い成果を導き出していってください。
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筆者近影
【著者プロフィール】田岡 英明
働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント
1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。