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MLBアスレチックスのキャップが巷で流行、人気を集めるその理由は?

2022年10月11日 16:32  Fashionsnap.com

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2021年から2022年にかけて、ストリートやSNSなどで「ニューエラ(New Era®)」のとあるキャップを目にする機会が増えた。グリーンのクラウンにイエローのバイザー(つば)、フロントには「A's」の文字。MLB(メジャーリーグベースボール)アメリカンリーグ 西地区所属のプロ野球チーム、オークランド・アスレチックス(以下、アスレチックス)のオフィシャルキャップだ。アスレチックスはMLB球団の中では特別知名度が高い球団ではないにも関わらず、なぜここにきてキャップが爆発的に売れるようになったのか。その背景についてニューエラのマーケティング担当者に話を聞いた。

 アスレチックスをはじめとするMLBのキャップは、鞄やキャップなどを取り扱う専門店「ギャレリア(GALLERIA)」で前年比240%の売上を達成するなど各取り扱い店舗で売上を伸ばしている。これまではニューヨーク・ヤンキース(以下、ヤンキース)とロサンゼルス・ドジャース(以下、ドジャース)のキャップが圧倒的人気を誇っていたが、ここ1~2年ほどでアスレチックスのキャップが急速に人気を集めているという。
 人気の火付け役は、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ アーティスティック・ディレクターなどを歴任し、2021年11月に死去したデザイナー ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)。担当者は「ヴァージルが生前にアスレチックスのキャップを着用しSNSに写真をアップしたことがきっかけで、真似をして着用する人が増えた。そこから売上が急激に伸びたように感じる」と分析する。現在ヴァージルがアスレチックスのキャップを着用している画像は見つけることができないが、担当者は「2020年頃に本人のインスタグラムに掲載されていたと記憶している」と語る。また、アスレチックスのほかに着用していたシカゴ・ホワイトソックス(以下、ホワイトソックス)のキャップも、アスレチックスほどではないものの売上を伸ばしている。

 それでは、ヴァージルが同様に着用したアスレチックスとホワイトソックスのキャップのうち、なぜアスレチックスのキャップが特に人気を集めているのか。その背景として担当者は昨今グリーンがトレンドカラーとなっていることを指摘する。「『ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)』がフィーチャーしたことによるグリーンの流行が、キャップにも影響を及ぼしていると感じる」とコメント。ヴァージルが生前に着用し人気が高まったところに昨今のグリーンブームが重なり、更に人気が人気を呼んで現在の流行に繋がっているようだ。なお、アスレチックスのキャップはフラットバイザー、カーブドバイザーともに売上が伸びているが、型数の関係でカーブドバイザーのキャップの方が流通数が多くなっているという。
 また、アスレチックスは大谷翔平が在籍するロサンゼルス・エンゼルスと同じアメリカンリーグ 西地区に所属している。2022年シーズンは5位以上に大きく差をつけられての最下位に甘んじているが、大谷の試合を中継するためにBS放送などで国内の露出が増えていることもキャップ好調の追い風となっているのかもしれない。
 アスレチックスキャップ流行の影響は、全国のニューエラ取り扱い店舗にも波及している。大阪のセレクトショップ「ファイブスター(FIVESTAR)」の担当者は「ヤンキースやドジャースといった人気球団のキャップのほか、近年はアスレチックスなどの売上が伸びている」とコメント。「ムラサキスポーツ」の担当者は「MLBのキャップは昨年も売れていたが、今年はそれを上回る売れ行きとなっている。特にアスレチックスのキャップは人気が高い」と話す。
 ニューエラのマーケティング担当者はアスレチックスキャップのトレンドのゆくえについて「消費者動向についてはなんとも言えない」としながらも、今後は現行カラーを中心にアスレチックスキャップのバリエーションを増やしていくという。

■ニューエラ:公式オンラインストア