パチスロには「設定」という概念がある。1から6までの数字が割り当てられ、1は最も勝ち目が薄く、6はその台で最高の出玉率を誇る。目の前の台がどの設定かは、ユーザーがパッと見ただけではわからない。そのため、パチスロファンは「どの台が設定6なのか」を探り当てようと右往左往する。それが日本のパチスロ文化の根幹だ。
もっとも今は、設定1よりさらに勝ち目の薄い設定Lなるものも用意されている。もともと勝てない趣味なのに、笑えるほど勝ちにくくなってきたってワケだけど。
もちろん、この記事をご覧の方の中には「パチスロはしっかり打てば勝てますよ」と主張する方もいるはずだけど、「しっかり打つ」ってもしかして、朝から晩までパチスロに取り組んでいるという意味ですか? まあそれはさておき。
最も勝ちやすいとされるパチスロの設定6だが、それはあくまでも「比較的、勝ちやすい」というだけ。ヒキが枯渇すると普通に数万負けることも全然ある。そこが面白いところというか、苦笑しちゃうところなんだよね。パチスロの。だけど、やっぱりそれじゃあ納得できない人もいるようで……。(文:松本ミゾレ)
高設定で負けるなんてありえない?
先般、5ちゃんねるに「スロの設定6で負けたんだが」というスレッドが立っていた。
スレ主は、3万円負けている時点で特定の演出が出たため、台が設定6だと判断したとのこと。「こんなことあっていいの?」「5号機ならわかるけど6号機で負けるとは思いもしなかった」などと納得がいっていない様子だ。
だが、負ける時は何やっても負けるのがギャンブル。なので、「運が悪かったね」という話でしかないのだ。そもそも、スレ主は設定6だと確信を持つ前に3万円も突っ込んでいたと書いているのだし、そういうヒキしか発揮できない日だったと思って諦めるのがいいと思う。
そもそも、やめるタイミングさえ完璧なら、設定1でも勝って終わることもある。逆に設定6だとしても、いったん大金を注ぎ込んでしまうとリカバリーは大変だから、ダラダラ打つのはおすすめしない。6号機ならスペックも低いし。
僕はパチスロに触れて悲しいかな20年以上経過してしまったおじさんだけど、6を確信して打って、ちゃんと勝ったことなんて、せいぜい8割ぐらいじゃないだろうか。6で負けた経験もちょいちょいある。昔はアイコンでの設定示唆なんてない台ばかりだったので、ボーナスの特異な連チャン回数とか、スイカ天井が適用されるかどうかで設定を見抜くしかなかったけれど……。
でも全然、負けますよ。設定6でも。しょせんは確率の問題なので。
6で負けても笑って済ませよう!
奇しくも僕も19歳か20歳ぐらいのときに、設定6の台を朝から晩まで打ち切って3万円負けたことがあった。が、若いうちにこの経験ができて本当に良かったと思う。
朝から打って疲労困憊。肩も痛くてビタ押しで目玉も真っ赤で満身創痍だった僕は、「勝ったときは金が増えるかもしれないけど、負ければ金が減るだけじゃなくて時間まで奪われる」っていうことが、つくづく身に沁みた。だから、それからは納得ずくでパチスロに向き合えるようになった。
実際、勝ったところで、そのために浪費した時間は戻ってこない。ましてや負ければ、疲労感と空腹感だけが残るのだ。ギャンブルをする人は、早めにこのバカらしさを受け止め、自分なりに咀嚼しておくほうがいいと思う。
パチンコ・パチスロは趣味で遊ぶ分にはいいけど、貴重な時間や健康を犠牲にしてまですることではない。それでも、ふと気付くとやってしまうのが、悲しく切なく、そして面白いところなのだけど。