パチンコ。世の中の人たちが、この4文字を見て思い描くイメージは、十中八九ネガティブなものではないだろうか。
だから、パチンコ業界側が「健全さ」を打ち出したくなる気持ちはわかる。大手が「街と生きるパチンコ」みたいなフレーズでCMをうっていたし。でもそんなイメージ戦略は、なかなかうまくいっているようには見えない。
なぜだろうか? それを考える前に、まず今のパチンコに対して世間の人たちがどんな印象を抱いているかを見ていきたい。(文:松本ミゾレ)
ネットの声から見えてくる、一般の人たちの印象
先日、ガールズちゃんねるという女性向け掲示板に「パチンコあるある」というトピックが立っていた。
これを立てた人物は「トイレが綺麗」と書いている。たしかに、今はトイレが綺麗なパチンコホールが多い。コロナ禍なので余計に気を遣っている店も増えてきた。
でも、「明らかにプラスのイメージ」と言い切れるものは少ない。逆に、寄せられた意見はこんなのばかりだ。
「一度も手を出さない方がいい」
「朝から開店待ちで行列」
「負けてやめる決意するけど気づけばパチンコ台の前でハンドル握ってる」
「人生の負け組が多い」
「パチンコ屋に入っていく人を軽蔑の眼差しでしか見れない」
「パチンコ経営社長のインスタがセレブ気取り。自分が負けたお金ってこの人が贅沢をするために使われてると思うと行かなくなった」
書き込みはネガティブ一辺倒。しかも「経験者の声だな」と思える書き込みが多い。
イメージが悪くなった理由は?
パチンコをしない人に直接意見を聞くと、もっと厳しい声を聞かされることもある。
だいぶ昔は、業界イメージもここまで悪くなかったそうだ。ホールの人が「昔は庶民の娯楽として愛されていたのに…」と嘆いていたぐらいだから、たぶんそうなのだと思う。じゃあ、イメージ悪化の原因はどこにあるのか。
まずは、さんざん言われていることだけど、扱う金額が「庶民の娯楽レベルを逸脱しちゃった」という点だろう。ホールが、メーカーが、そしてユーザーたちも、庶民の娯楽レベルの勝ち負けではもう満足できなくなっちゃって、なかなか歯止めが効かない状態がずっと続いている。
遊技とはいえ実際はギャンブルだから、仕事でせっせと働くよりも「儲かる」ときがあったりするのが魅力なのは間違いない。でも、それが行き過ぎて「パチンコだけで食べていこう」とか「パチンコで稼がなくては」みたいな必死な意識の人たちが大量に集まるようになると、一般の人たちは「なんか、ああいう人たちと一緒に思われたくない」と身構えて来店しなくなっちゃう。
早朝から店の前に並ぶ、くたびれた格好をしたパチンコファンたち。偶数月15日の午前中、パチンコホールの前に行列を作ってる高齢者たち。毎朝仕事に向かう普通の人たちが、そんな光景を横目にすれば、どんなことを思うのか。
こういう風景って印象的だし、たまにやってるテレビCMなんかより、よっぽど強烈なインパクトがあると思う。自分たち自身でネガキャンをやっているようなものだ。こういうのを何十年も放置していれば、そりゃあイメージも悪くなるよね。