勤続年数が長くなるほど、昇給して手取りも多くなっていくイメージがあるが、会社によってはそうとも限らないようだ。マスコミ系の業種で働く40代前半の女性(広島県/正社員/既婚)は、
「今の手取りは16万8000円(年収およそ250万円)。入社して20年以上になりますが、住民税がかからず交通費が満額支給だった新卒1年目のほうが手取りは良かったです」
と振り返る。そんなことがありえるのだろうか。(文:福岡ちはや)
※キャリコネニュースでは「手取り20万円以下の人」にアンケートを実施しています。回答はこちらから https://questant.jp/q/6V8RFE22
「評価の基準は経営者の小間使いになれるかどうか。典型的なやりがい搾取」
勤続20年以上にもかかわらず、女性の手取りが増えないのにはわけがある。職場で「典型的なやりがい搾取」が横行している上に、昇給のカギは上司が握っているのだ。
「『成果を出した社員は評価する』とは言っていますが、評価の基準は経営者の小間使いになれるかどうかです。スマホを設定する、プライベート旅行の手配をする、趣味のバンド練習に同行するなど、手取りを上げたければ上司に気に入られるしかなく、上司に気に入られるためにはプライベートの時間も上司のために使うしかないです」
女性は「それは絶対嫌なので、昇給は諦めました」と明かす。仕事の評価に上司の私情が入るのはよく聞く話だが、この職場は常識では考えられないほど酷い状況にあるようだ。これでは仕事に対するモチベーションも下がってしまうだろう。
「仕事自体は好きですし、それなりにやりがいは感じていますが、常に『これだけ頑張っているのに、この程度しか評価されないのか』と虚しく思っています」
と胸中を語る女性。昇給を諦めたとしても、生活のためにはお金が必要だ。
「もう40代ですし、地元では同業他社への転職が難しいため、将来は半分以上諦めました。副業ができるほど体力にも時間にも余裕がないので、老後資金をどうやって貯めるかが問題です」
若手のうちに会社を見限り、身の振り方を考えたほうが良かったのだろうか。