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オレオレ詐欺をAIで防ぐ! 船橋市がNTT東日本の技術を使った検証を開始

2022年10月04日 10:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
"オレオレ詐欺"や"還付金詐欺"など、全国で多発する電話による特殊詐欺の被害を阻止するため、千葉県船橋市など市内5つの関係組織とNTT東日本は9月から新たな取り組みを始める。記者説明会が9月1日、船橋警察署で行われた。


○船橋市の特殊詐欺による被害金額は約3億7,000万円



船橋・船橋東両警察署のまとめによると、船橋市における2021年の特殊詐欺の被害認知件数は130件。前年比2件減だったものの、被害総額は約3億7,000万円にのぼり、約1億4,000万円も前年を上回ったという。



こうした状況を受け、船橋市内在住の65歳以上の20人を対象に、NTT東日本が提供する「AIを活用した特殊詐欺対策サービス」を利用した取り組みを行う。



同サービスは、通話録音機能付き端末を家庭の固定電話機に取り付け、通話録音データをクラウド上の「特殊詐欺解析サーバ」に転送。音声認識エンジンでテキスト化した録音音声を、言語解析エンジンで解析し、特殊詐欺であると疑われる場合には、本人や親族等の事前に登録した電話番号やメールアドレスに注意を促す通知を行う。


特殊詐欺の犯人からの通話内容を自動で録音し、クラウドに送信されたデータをAIで解析。詐欺の疑いのある場合は、あらかじめ登録した親族などのメールアドレスや電話番号に通知。受信した親族から電話等で注意喚起を行うという流れで、被害の阻止を図るのだ。

○AIを活用して特殊詐欺を防ぐ



今回の取り組みは、千葉県船橋警察署、千葉県船橋東警察署、船橋警察署管内防犯組合連合会・船橋東警察署管内防犯組合連合会(防連)、船橋市、NTT東日本千葉西支店が連携・協力して実施する。



独居者など特殊詐欺被害対策が最優先に必要であると判断した対象者を両警察署で選出し、防連が対象者に対するサービスの説明を行い利用意向の確認の上、NTT東日本への取り次ぎと効果測定を行う。

「地域住民の皆さんの協力のもと、一般的な犯罪件数そのものは年々確実に減少してきているが、電話による特殊詐欺の被害は本当に深刻な状況になってきている。船橋市でも高齢者の数が絶対的に増加しているが、大切な老後の貯えを奪われてしまう特殊詐欺は高齢者の方の生活を危うくしてしまうもの。そこでAIを利用した機器を導入して市民の皆様を守るという取り組みを警察署とNTT東日本さんと連携を深めながら行い、効果を見ながら今後もいろいろな展開をしていきたい」と松戸氏は語った。


「船橋警察署・船橋東警察署では、これまで船橋市と連携して、留守番電話設定や自動録音機能の取り付けといった固定電話対策を講じてきた結果、昨年は特殊詐欺被害の認知件数が減少しました。しかし、今年は前年を上回る勢いで被害が発生しています。これまでの電話に直接出ない、犯人と話をしないことに重点を置いた固定電話対策の推進に加えて、出てしまった方に対して、タイムリーに注意喚起を行う一歩踏み込んだ対策で取り組みを強化していきたい」と杵渕氏。



同サービスは一般向けにも既に提供されており、「工事費※訪問での設置工事が必要な場合」(8,800円)、または「利用者等が設置し訪問設置工事を必要としない場合」(4,400円)。そして「特殊詐欺対策サービス月額利用料※ナンバー・ディスプレイの月額使用料を含む」(880円※福祉割引適用時は440円)、「特殊詐欺対策アダプタ レンタル料」(550円/月額※福祉割引適用時は無料)で利用できる。



なお今回の取組みでは、防連の扱いにより利用者が負担する工事費は無償扱いとなる。



※「福祉割引」を適用しない場合は「特殊詐欺対策サービス」と「通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)」の各月額利用料を合わせて「月額利用料」(1,430円)が必要


特殊詐欺対策として、市ではこれまでにも固定電話の自動録音機能や着信拒否機能などを活用して行ってきたものの、効果は限定的だった。そうした中、今年1月、東京都品川区において本サービスの利用がきっかけとなって被疑者の逮捕につながった実例が目に留まり、試験的に採用することを決めたという。



船橋警察署によると、特殊詐欺認知件数のうち9割は固定電話が入り口になっているという。覚えのない番号には出ないことを推奨しているが、電話に出てしまった場合の対策として、即時性のある対策として期待したいとしている。



9月以降順次開始していき、期間は定めていないという。効果検証や利用者の利用継続の意向などを踏まえながら、今後の展開を検討していくとのことだ。


神野恵美 フリーライター・編集者。ワーキングマザーとして10余年、世の中にあるさまざまな便利ガジェット・ツールを駆使して、生き延びる。趣味は料理に掃除、洗濯と野球、旅行、音楽や映画鑑賞などなど、周りが呆れるくらい趣味人間。"モノ"より"コト"優先で生きてる。 この著者の記事一覧はこちら(神野恵美)