劇場アニメ「四畳半タイムマシンブルース」の公開記念舞台挨拶が本日10月2日に東京・新宿バルト9で開催。「私」役の浅沼晋太郎、明石さん役の坂本真綾、小津役の吉野裕行、夏目真悟監督が登壇した。
【大きな画像をもっと見る】「四畳半タイムマシンブルース」は2010年にTVアニメ化された森見登美彦の小説「四畳半神話大系」と、上田誠による戯曲「サマータイムマシン・ブルース」とのコラボ小説が原作。9月30日に封切られ、全国の劇場にて3週間限定で上映されている。
「四畳半神話大系」から12年の月日が経過した今年、「四畳半タイムマシンブルース」が公開されることに、夏目監督は「無事公開することができ、ホッとしています。12年という時間が経っているので、変化をどう受け入れてもらえるのか心配していましたが、評判も良くうれしく思っています」と胸をなで下ろす。浅沼はこの舞台挨拶付きの回を知人が鑑賞していると明かし、「さっき別の回の舞台挨拶で『パンフレット販売中です!』と言ったんですが、知人から『売り切れてるよ』と。本当に申し訳ございません」と頭を下げつつ、「でも反響があってとてもうれしいです」と述べた。
坂本は「12年も経ってから劇場作品が作られるのは、それだけ愛してくださる方がいる証拠だと思います。私自身も思い入れのある役だったのでまた明石さんを演じたいなと思っていたんですが、12年も経ってしまったら新しいキャストでやるのかなとも思っていたんですよ。でもまた演じさせていただいて、新しい気持ちで臨めたのがうれしいです」とほほ笑む。吉野が「坂本さん、変わらずおきれいです」と褒めると、坂本は「そこは、『昔よりきれい』っていうのが正解ですよ」とジョークを飛ばす。そんな吉野もキャスト交代の可能性は考えていたと話し、「ざらにある話ですから。それに森見さんが書いた小説は必ず劇場アニメ化するというものでもありませんし、こうして新しい劇場アニメができたのは作品の力だと思います」と語る。
上映前の舞台挨拶であることから、登壇者たちはネタバレに配慮しながら注目ポイントをトークしていく。浅沼は「『四畳半』シリーズと言えば、舌が取れるんじゃないか、肺が爆発するんじゃないかっていう量の、僕のナレーション。でも今回はしゃべってないときの息遣いや、何かを話し出そうとするときの呼吸に気を使いましたので、『私』のめんどくささとかこじれている様子を感じていただけると思います」と語った。
「四畳半タイムマシンブルース」のアフレコが、産後初の仕事だったという坂本は「マイクの前に立つことに緊張していましたね。それに久々に明石さんを演じるのに、変わっちゃったと思われたくないですし、変に意識し過ぎると昔の自分のものまねになっちゃうなと、いろいろ悩みながら収録していました」とアフレコ当時を振り返る。坂本のコメントを受けて夏目監督は「でも坂本さんの声が入って一気に華やぎました。明石さんが明石さんになっていって、現場で見ていてとてもうれしかったです」と称賛した。
作中では「四畳半神話大系」と変わらず、“運命の黒い糸”で結ばれた「私」と小津の悪友関係も描かれる。浅沼は「『四畳半』のときは1話ずつ、小津との出会い方や彼の肩書きが違ったので、小津は得体の知れなさが強かったんですよ。でも今回はずっと大学生なので彼の人間味というか、『私』との仲良し感が出ていて僕はうれしかったです」とコメント。当の小津を演じた吉野は、「おじゃる」とだけ呟き観客を笑わせ、「今回は『四畳半』とは与えられているポジションが違いますので。その代わり、ある種まっとうな親密度になっていて、小津なりの友情が描かれていると思います」と語った。そんな小津に対して坂本から「私、小津の足の爪が汚いなと思っていて。目を伏せたくなるぐらいで、イメージ通りでした」と変わった注目ポイントが紹介され、吉野は「そんなに汚かった!?」と驚いていた。
最後に夏目監督は「夏の終わりにぴったりな映画だなと思って作っていたので、そういう雰囲気を味わってもらえたら。メインスタッフも『四畳半』から引き継いでいるので、当時のファンの人でも楽しんでもらえるように作ったつもりです。内容はタイムサスペンスものなのですが、肩肘張らずにキャラクターのドラマを楽しんでもらえると思います」と挨拶。浅沼は「ほかのアニメのようなド派手な爆発とかはないんですが、逆にこの作品しか持っていない要素は、何かが欠けている人物ばかり出てくること。僕はその点が大好きで、みんなが愛おしく感じます。欠けている部分も受け入れてくれる作品だと思うので、そこを楽しんでいただけたら」と述べ、舞台挨拶を締めくくった。
■ アニメ「四畳半タイムマシンブルース」
2022年9月30日(金)より3週間限定全国ロードショー
□ 配信情報
ディズニープラス:独占先行配信中
※配信限定エピソード含む全6話。
□ スタッフ
原作:「四畳半タイムマシンブルース」森見登美彦著、上田誠原案(KADOKAWA刊)
監督:夏目真悟
脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
キャラクター原案:中村佑介
アニメーション制作:サイエンスSARU
□ キャスト
浅沼晋太郎、坂本真綾、吉野裕行、中井和哉、諏訪部順一、甲斐田裕子、佐藤せつじ、本多力(ヨーロッパ企画)
(c)2022 森見登美彦・上田誠・KADOKAWA/「四畳半タイムマシンブルース」製作委員会