今年、パチスロで45万負けてひっくり返ったまま動けない松本ミゾレである。あれからどれぐらい時間が経過したか……幸いにも全然リベンジ熱が湧いてこない。変に意固地じゃなくて本当によかった!
思えば18歳の春、僕は新卒でパチンコホールの社員になり、はじめてパチンコをしたのは自店の開店前の慣らし稼働のときだった。要は社員が実際にパチンコ台を打ってみて、ちゃんと規定の水準通りの回転数で回るかをチェックする作業なんだけど、その作業中に確変が止まらなくなり「お前、これを自分の金で打った台でやらなくてよかったな」と主任に笑われた記憶がある。
これが、まだ10代の小僧が、推定でも5万円分以上を遊んで手に入れたら一気に落語者になるぞ、という意味だったと理解したのは後の話。職業柄それからもパチンコ・パチスロには触れてきたが、幸いにも借金してでもパチンコをするようなこともないままである。まあ、今年45万という大金を失っておいて何言ってんの? って話だけど。
さて。ビギナーズラックを発動したものの、事情があって命拾いしたのは僕だけではない。
もう一人、幸運な若者がいた。(文:松本ミゾレ)
台風到来、暇つぶしのパチンコで勝ったけど…という若者
9月24日、5ちゃんねるに「初めてきたパチンコの当たりが止まらなくて困ってる」というスレッドが立っていた。スレ主は台風で暇だったため、パチンコホールに行ったところ、千円しか使ってないのに連チャンがスタートして焦っているというのだ。
「かれこれ1時間ぐらい当たってる」と言いつつも「晴れたら釣りする」とも書き込んでおり、本当に暇潰しで訪れたところ、いきなりの当たりに困惑していた様子。初めてのパチンコデビューで大当たりが連続するというのは、地獄への特急券みたいなもの。しかし彼の場合、レート的に損して得を取っていた。
「1円パチンコだけど」と書き込んでおり、通常の4分の1の低レートで遊んでいたのだ。ざっくばらんに書くと、いくら玉を出してもあんまり儲からないというか、出せば出すだけ虚しいレートで遊んでいたのである。しかしこれ、初心者にしてみれば幸いだろう。
なにせいきなり何万も勝ってしまうと価値観がおかしくなり、依存状態になることも。彼の場合、この日は1万円ちょっとの勝ちで済んでいる。まあ、それでも1万円って大金なんだけどもね。
最初に美味しい思いをしてハマっちゃう人が多数
昔々、パチンコは今よりも交換率が低く、そのために釘も設定も状況が今よりは良かった。
これに誘われて、実に多くの人がパチンコホールに集まった。
しかしいつしか交換率は等価が基準となり、一物一価がユーザーに支持されると、全国的にホールもこの流れに追随。結果としてお客さんにとっては厳しい設定と釘の遊技台ばかりが跋扈することになり、ホールを去る人もあったという。
そして2000年代前半には1円パチンコ、5円スロットなどが登場していくわけだが、これだって今までのレートではお客さんを呼べなくなった店が多くなったから全国的に普及したようなもの。
儲けは減るわ電気代に設備投資費は通常レートと同じだわ、結構な苦肉の策のようなレートなのである。
ただ、ビギナーにしてみれば幸いなことに、まずは遊んで仕組みを覚えるという意味では低レートは役に立つ。あと、カネがないのにパチンコをしたいという重度かつ末期のパチンコ依存症の人の最後の受け皿みたいにも機能している。
っていうか今はどこの店も、朝から並んででも低レートに走っていくお客さんが随分増えた。通常レートはガラガラなのに、低レートのシマだけは満員御礼というホール。全国各地にあるし。
前項のスレ主もまた、低レートで遊んでいた。時間がかかる割には儲けが少なかったものだから今後ハマるか未知数。他に釣りという趣味もあるんで、再度の来店はないのかもしれないし、その方が彼にとっては良いことのように思える。
これが通常レートであれば4万円以上の勝ちになっていたため、危ないところだったのだ(笑) パチンコファンとしてはユーザーは増えてほしいけれど、今時分にパチンコにハマるような人に対しては流石に「ソシャゲとかのほうがよくない?」と心配になってしまうし……。