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リノベのプロがやさしく解説「リノベの七不思議」 第2回 リノベって、そもそも、何をどうしたらいいんですか……?

2022年09月30日 15:02  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
大学でまちづくりや設計を学び、ワンストップリノベーションサービス「リノベる。」で累計約700組の住まいづくりに寄り添ってきた小野寺七海さん。住宅購入の先にある人生も見据えた住まい方の提案を通じて、お客様にとっての「らしい暮らし」と、CO2排出量を抑えた環境にも優しい住まいづくりを推進しています。


今回、マイナビニュース会員に、リノベーションに関する疑問についてアンケートを取らせていただきました。リノベーションの方法に関する疑問、お金に関する疑問……などなど、沢山のご質問をいただきました。残りの6回は、いただいたご質問からピックアップする形でリノベーションの疑問にお答えします。



今回お答えするご質問は、こちらです。


リノベって、そもそも、何をどうしたらいいんですか…?

(30代・女性・主婦)



○リノベる 小野寺七海さんからの回答



みなさんは、「リノベーション」と聞いて何をイメージされますか? おしゃれな内装でしょうか? 自由な間取り、ということもあるかもしれませんね。とは言え、理想は何となくあるものの「何から考え始めたらいいかわからない」と質問を受けることがあります。



そこで私からのアドバイスは、”自分の生活の中からヒントを探す”ことです。



あまり良くない進め方としては、「対面キッチン」「広いリビング」など、いきなり条件を並べてしまうこと。この方法だと、具体的な暮らしのイメージが湧きづらく、オーダーだからこそできるフィットした間取りにたどり着くことが難しくなることもあるのです。

おススメの具体的な方法をご紹介します。


・今の住まいの不満や苦手な家事を書き出す

・家の中で「どんな時に幸せを感じるか」を考える

・平日の朝と帰宅後のルーティンを書き出す

・休日の過ごし方のルーティンを書き出す

・本当はこんな時間を過ごしたい! …など、憧れを思い出してみる


みなさんが人生の中で大切にしている「価値観」が現れるのが、住まいです。その価値観をもとに、暮らしに求めることを書き出していくと、自分に、家族に一番フィットした住まいを実現することができます。



実は、これは不動産選びでも適用できる考え方と言えます。理想の住まいというと、「駅徒歩〇分」「築浅」「70㎡以上」と条件を並べてしまいたくなりますよね。でも、もしかしたら、少し駅から離れたとしても緑が豊かな場所に住むことで心が豊かになったり、多様な世帯が住む場所での子育てが理想に近かったり、条件で排除してしまうのではなく理想をしっかり思い描くことで、思いもよらぬメリットに気付くことができるかもしれません。



ここで30代ご夫婦の事例をご紹介しましょう。



賃貸の更新を機に住まいを検討されたお二人。賃貸住まいは20年30年先を思うと少し不安だし、資産形成もしたい、周りの人たちも住宅を購入しはじめていたこともきっかけになったそうです。でも、家族構成が変わるかもしれないし、将来実家に帰る可能性もある。夫婦だけではなかなか意見が合わない……という不安も抱えていらっしゃいました。



漠然と考えられていた住まいの条件は、以下の3点でした。

・部屋数と収納を考えると広さは70㎡以上

・ローンの支払いを今の家賃と同じくらいにしたい

・都心は良いけどあまり優先度は高めではない


そこで、カウンセリングの一環として、まずお二人が叶えたい暮らしを私と一緒に整理をしていただきました。そこで出たポイントがこちら。


・ご夫婦ともに街歩きがお好きでおしゃれなカフェやお店がある場所が良いけれど、都会の喧騒は苦手

・靴磨きや手芸がお好きで、趣味に集中できるスペースが欲しい

・家族構成の変化や、実家に帰る可能性もあるため、売り貸し前提

・在宅勤務のためワークスペースが必要

・共働きのため家事は効率重視


何が好きで、どんな暮らしがしたいかを具体的に考えることで、様々な可能性が生まれた瞬間でした。上記を整理して決まったお二人のコンセプトは「街一帯が心地よく、好きなモノ・コトが彩る暮らし」。20年30年後も安心できる資産と、街歩きができて住んでいて楽しい街、趣味のアイテムに囲まれた住まいを目指すことになりました。


その結果、物件の広さは間取りで工夫ができるため重要度を下げ、その代わりに住環境の重要度をグッとあげることに。また、物件価格は上げ、価値ある資産に正しいお金をかける事で、リスクのない資産と「らしい暮らし」の実現をされました。



お二人から、こんなコメントをいただきました。



「テレビも音楽もつけず、窓の外から聞こえてくるご近所のお子様たちの声をBGMに、2人でのんびり過ごす時間が増えました。はじめはこだわりの強いデザインばかりに目が行きがちでしたが、お部屋の中だけではなく、環境にもこだわって本当に良かったです」


不動産や住まいというと、どうしても数字や必須条件を先に考えがちですよね。でも、その先に続くのはみなさんの”暮らし”です。



今の住まいに対する不満、どんな時に幸せを感じるか……まずはじっくりとご自身やご家族の「価値観」と向き合うことで、唯一無二の「あなただけの住まい」を実現してみてはいかがでしょうか。


調査時期: 2022年7月15日

調査対象: マイナビニュース会員

調査数: 500人

調査方法: インターネットログイン式アンケート



小野寺七海 おのでらななみ リノベる株式会社 コンセプトデザイン本部 営業推進部 部長。今年度、27歳で歴代最年少部長に就任し、累計4,000戸超の実績を持つワンストップリノベーションサービス「 リノベる。」にて、ミッションである「日本の住まいを、世界で一番、かしこく素敵に。」の具現化に向け邁進している。 この著者の記事一覧はこちら(小野寺七海)