Text by CINRA編集部
毎週更新のCINRAプレイリスト「Songs We Dance To」。ロック / ポップ、インディ、ヒップホップをはじめ、実験的なエレクトロニックミュージックからK-POPまで、ジャンルレスに選曲したプレイリスト(2022年9月26日週更新)から、編集部員が特におすすめしたい楽曲を紹介します。
1998年生まれの作曲家 / 鍵盤奏者、Sara Wakuiの第4弾シングル。3歳よりピアノを9歳より作曲をはじめ、東京藝術大学音楽学部楽理科を卒業した和久井の才気がみなぎるピアノと、その脇を固めるのはTENDREら擁する「RALLYE LABEL」のニューカマーdawgssの森光奏太(Ba)と上原俊亮(Dr)。タイトなキック、リムショットやスネア、シンバルを巧みに織り交ぜたBPM130台後半の高速ドラミングはほんのりドラムンベースが香り、和久井のコード遣い、鍵盤さばきは現代的なジャズの感覚も感じさせる。
昨今のドラムンベース再燃も関係しているのだろうか、と思いながらSpotifyを確認するとロンドンや台北、シンガポールにもまとまった数のリスナーがいるようだ。Khamai Leonに加え、「CRCK/LCKS以降」と言っていいであろうアカデミックな出自とポップス感覚を持つ新星の登場に、「APOLLO SOUNDS」の今後の展開にも期待が高まる。(山元翔一)
10月に4年ぶりのニューアルバム『Orbit』のリリースを控えるSTUTSが、Awichを迎えた先行配信曲。Amazon Original連続ドラマ『モアザンワーズ/More Than Words』の1~3話の主題歌としても決まっている。昨年6月に開催された2マンライブなどでも交流があったAwichとSTUTS。本曲はそのライブ以前から制作が進んでいたものだという。ミックスはSTUTS自身によるもの。
2020年リリースのミニアルバム『Contrast』ではラップにも挑戦するなど、「一人でやるモード」だと語っていたSTUTSだったが、今作ではAwichはじめさまざまなゲストを迎えての賑やかなアルバムになりそうで、楽しみ。(川浦慧)
蓮沼執太によるソロ名義のインスト楽曲。タイトルの“Pierrepont”は、蓮沼が住んでいたニューヨーク・ブルックリンの住所名だという。ニューヨークの家のセントラルヒーティングの音、福島・浪江町で採集した大堀相馬焼の陶器づくりの音、バシェの音響彫刻などの環境音を、ピアノやシンセサイザーの音色でゆるやかに縫い合わせるように楽曲化している。ニューヨークとの二拠点生活、蓮沼執太フィルをはじめとする多彩な活動を経た現在の蓮沼だからこそ鳴らすことができる、ノスタルジックでありつつ後ろ向きではなく、未来に向けて聴き手の背中をそっと押すような、秀逸なアンビエントトラックに仕上がっている。
なお蓮沼はコンセプトを決めずに月1曲ペースで新曲をリリースしていく予定とのことで、“Pierrepont”は“Weather”に続く2曲目となる。(佐伯享介)
Four Tetのレーベル「Text Records」からデビューアルバム『Bolts』の発売を控えるアルメニア系イギリス人プロデューサー、Hagop Tchaparian。1990年代にはグランジロックバンドSymposiumのギタリストとしてMetallicaなどの前座も務め、その後ロンドンのクラブカルチャーシーンの一員となってHot ChipやFour Tetのツアーマネージャーをやっていたという経歴の持ち主だ。『Bolts』にも収録される新曲“Right to Riot”は、民俗楽器の発する独特な音色が打ち鳴らされるドラムによって加速していく、インダストリアルなテクノトラック。アルメニアや地中海の国々でフィールドレコーディングしたサウンドも使用されているのだという。(後藤美波)
そのほか、THE 1975、KOHH、Crush feat. j-hope of BTS、XIUMIN、マヤ・ホーク、Floating Points、ROTH BART BARON、ドレスコーズ、C.O.S.A. feat. Ralphなどの新曲30曲を追加。CINRA編集部がいま聴いている曲をセレクトするプレイリスト「Songs We Dance To」は、Apple Musicで毎週水曜に更新中。