苦しい時期を乗り越えた経験が財産になる人もいる。「新卒で入社した会社は政府系金融機関でした」と語る東京都の60代男性(専門職、コンサルタント・士業・金融・不動産/年収500万円)は、「配属ガチャ」をテーマにしたアンケートに
「ほかの同期の人たちは何か楽しそうに仕事をしているのに、俺はハズレちゃったなと思いました」
と配属当時の心境を明かす。同期は21人。入社式の後に配属先が通知されたという。(文:谷城ヤエ)
キャリコネニュースでは「配属ガチャについて思うこと」をテーマにアンケートを行っています。回答はこちらから。https://questant.jp/q/XBP0NVJA
配属先を見せたら「とたんに先輩達の顔が曇ってしまいました」
通知の紙に書かれていた配属先は「事務管理部」という部署だった。
「はて、どんな部署でどんな仕事をするのかわからないまま独身寮に帰宅しました。食堂にたむろしていた先輩達にどこの部署だったのか問われ、通知書を見せたら、とたんに先輩達の顔が曇ってしまいました」
男性の配属先である「事務管理部」は、「システム部門で仕事がきつく残業がハンパない部署」だったそう。翌日、事務管理部に出社したものの、部署の雰囲気は「上司や先輩達に挨拶してもそっけなく、皆さん疲れ切っている様子」だったという。
「最初に与えられた仕事はマニュアルの清書。当時のマニュアルは手書きで追加・変更があれば赤ペンで加筆されていて超読みにくいものでした。中身がわからないまま清書をして先輩にチェックしてもらう日々でした」
楽しそうに仕事をする他の部署の同期を見て、「俺はハズレちゃったな」と感じていたという男性。
「1か月後に、プログラミングの研修がスタートしました。いわゆるビデオ学習です。これは眠くて眠くてつらいものでした」
つまらないと感じてばかりの毎日。入社前に想像していた未来とは程遠いものだっただろう。しかし
「今になって振り返ると、この時のつらい研修が、忍耐力だったり論理的な思考を養うことにつながっています。石の上にも3年といいますが、この事務管理部で過ごした3年間が、今の自分の基礎になっています」
男性は当時の経験がいまに生きていることを綴っていた。